忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

技術屋の目線

哲学・宗教・倫理の存在意義

幾度か当ブログでも述べてきましたが、私は技術屋であり応用科学を専門とする工学屋ですが趣味は人文科学と社会科学を学ぶことです。道徳的な話や倫理的な話を時々記事にしているのはまさに趣味の発露というわけです。 少なくともこの趣味が直接的に仕事へ生…

技術屋は察することが苦手

実家が嫌いなわけではありませんし、親族を好んでいないわけでもないのですが、帰省をすると少しストレスが溜まります。 これは職場で日常的に接している技術者集団とはまったく異なるコミュニケーションを求められるためです。もう少し直接的に言えば、毎度…

精神論ではポカミスを完全に防ぐことはできない

ポカミスとは不注意などで引き起こされる様々なミスを指す言葉です。注意していれば防げたはずの間違いや失敗であり、類似の言葉としては「うっかりミス」や「ケアレスミス」があります。 ポカミスを完全に防ぐことはできません。過去にもヒューマンエラーに…

世界は分数で記述されている(過言)

「分数の割り算なんて社会に出てから使わないよ」なんて言葉を時々耳にします。それはある面で正しく、使えば便利なことはありますが別に使わなくても日常生活を送ることはできます。 とはいえ、日常生活で使う・使わない、或いは使える・使えないはさておき…

「教わってないから分からない」「聞いてないから知らない」はどこまで通用するか

「教わってないから分からない」 「聞いてないから知らない」 よく聞く言葉ではありますが、それが実際どこまで通用するかについて技術屋の感覚を述べていきます。 人によっては少し厳しい見解になるかと思います。 聞いて分かる範囲には限界がある 教育にお…

三現主義への過信に対する戒め:人材の育成こそが重要

問題解決における概念、フレームワークの一つに三現主義があります。これは「現場・現物・現実」の三現を重視して物事に当たることを推奨する標語です。 なにも難しい話ではなく、当たり前のことです。ただ頭の中でだけ考えていては机上の空論に陥りかねませ…

営業さんには美味しい飯屋を把握しておいてほしい願望

ただの我儘。 技術屋の出張 製造業の技術屋は基本的に設計がお仕事なので職場の事務所に居ることが多いですが、なんだかんだチョコチョコと出張することもあります。顧客との仕様打ち合わせであったり、サプライヤーとの図面打ち合わせであったり、製品不良…

設計が”できる”のレベル感:機械設計者に求めたい技能

大ベテランにはとても敵わない中堅技術者が語るには大上段過ぎるテーマではありますが、今の時点での考えを残してみます。 図面を引ける≠設計ができる 新人には図面の引き方を比較的早期に教えます。設計部署に配属される新人は学校で製図を学んできている子…

持続可能な社会のイメージ:永遠性と可変性

人や組織、物事や社会が落ち目になると世間では栄枯盛衰が謳われます。 栄枯盛衰とは「繁栄や衰退は繰り返すものである」ことを意味しますが、盛者必衰と混ざってしまいがちなのか、どちらかと言えば落ち目の際に用いられることが多い言葉です。 栄枯盛衰の…

ありとあらゆるものに余裕(バッファ)を持とう

所詮この世は諸行無常。 全ての物事は流転して変化するものであり、常の形は存在しない。 ・・・なんて仰々しく述べるまでもなく、何事においても決められた通り予定通りに動くことはありません。全ては変化の途上であり、物事は外部からの影響を受けます。 だ…

技術屋の目線には幸せホルモンが足りない

技術屋的な思考は幸福度を下げるのではないかと思う、今日この頃。 今日は私の「ひねくれ者」な側面を紹介します。 LOVOT欲しいけど、お高いよ LOVOTの広告を見かけたのでサイトを閲覧していました。 今現在は熱力学で食っていますが、大学ではメカトロニク…

対等よりも相互の敬意を:関係性の縦横

今どきの若者は「横の関係」を好むと評されることがあります。 横の関係とは、親と子ども、上司と部下、先輩と後輩、そういった上下性のある「縦の関係」ではなく、友人関係のような対等な関係を意味します。 若者が横の関係を好んでいることが事実かはさて…

コミュニケーション能力は重要なサバイバル技術のひとつ

技術屋の世界に生きている人間の感覚ではありますが、技術屋が楽しく仕事をするためには何はともあれ技術力が必要です。 専門家やスペシャリストの世界は大抵の場合で実力社会ですので、仕事が出来る人は裁量権を多く得られて余計な横やりを入れられることも…

ビジネス界隈で頻繁に見かける生存者バイアスがつい気になる

先日、「底辺を経験した人は強い」「エリート街道を突き進んできた人よりも底辺を経験したことがある人のほうが強い」という言説を見かけました。 底辺を経験したことが無い人間よりは底辺を知っている人間のほうが底辺への解像度が高くリスクを取って挑戦し…

新しいものが必ずしもベストな選択とは限らない:フロン冷媒を事例として

新しい技術や手法が登場する度、ドラスティックな社会導入を推し進めようとする動きが発生します。 もちろんそれは必ずしも悪いことではなく、新しい技術や手法は現時点で社会に存在している課題や問題を解決する見込みがあり、それらを迅速に導入することは…

そろそろエアコンの試運転をしましょう

私はエアコン屋の回し者ではありませんが、エアコンの試運転は4~5月に行うべきだと推奨します。4~5月がエアコンの試運転には最適な時期です。つまり、そろそろ行うべきです。 私はエアコン屋の回し者ではありませんが、夏本番になると業者が込むからです。…

社会を変革するのは意思(will)か、技術(technology)か

時々ですが、物語やインターネットでの言論において暴力による変革を肯定する言説を見かけます。例えばアメリカ南北戦争や公民権運動といった過去の事例を用いて、変革には暴力が有効であったとする言説です。 それに対する直接的な反対意見、というわけでは…

人工知能チャットボットに感じる「頭の良い友人」くらいの距離感と道具的な効用

昨日はChatGPTを援用して記事を作成してみました。 仕事で活用する方法を模索しようとここしばらくChatGPTを弄っていますが、趣味のブログに使ったのは初めての試みです。 すでに人工知能チャットボットに関しては有識者が多数の見解を示しており今更私がな…

なぜなぜ分析は分岐しない:なぜなぜ分析とロジックツリーの違い

「なぜなぜ分析」とは問題や課題に対して「なぜ?」を何度も繰り返して根本原因を掘り下げていく手法です。 この「なぜなぜ分析」の作成例を書籍やインターネットで探すと、多くの場合で次のような図を用いて解説されています。 しかしながら、このように分…

一足飛びではない合理性と現実論:トヨタイムズを読んでの感想

唐突ですが、気に入った記事を紹介するコーナーをやります。 今回の記事は完全に人様のフンドシです。 トヨタイムズの記事 世界的な潮流として自動車のBEV化が進んでいます。トヨタは日本を代表する自動車メーカーであり、そのためにトヨタのBEV戦略やBEV販…

「やってみなければ分からない」を技術屋は安易に言うべきではない

景気の悪化、財務の悪化など、失敗できる余裕が無くなると組織はリスクテイクではなくリスクヘッジに傾きます。 そしてリスクオフの空気が組織内に広まると組織は手広く様々な事柄を「とりあえずやってみよう」として進めるような前向きな姿勢は取れなくなり…

「日本スゴイ」や「日本駄目だ」は個人的に使い勝手が悪いと考えている理由の言語化

メディアやインターネットでは様々な「日本スゴイ」或いは「日本駄目だ」が日々飛び交っています。 良い側であろうと悪い側であろうと極端な意見を打ち立てれば賛否双方の人を呼び寄せてPV稼ぎになりますので、使い勝手が良い言葉として商業ライターやまとめ…

技術屋から見た問題に対する日米の違い:スタビリティとレジリエンス

先日、一週間程度の短期ですが初めてアメリカへ行きました。 そこで見た日米の社会の違いについて、技術屋目線での感想を少し述べていきます。 日米の社会の違い 日米それぞれの社会における最大の違いは「問題に対する捉え方」だと感じました。結論から言え…

そういえばエンジニアとはあまり名乗らないなと思う機械技術屋の独り言

先日話題になっていたまとめサイトの記事を読んでの感想。 ◆エンジニア飲み会を開催したら意表を突かれた参加者が集まった「世の中いろんな技術者がいるんだな」 - Togetter 曲がりなりにも、エンジニアです 私は工学部を卒業してメーカーで機械設計をしてい…

AIが発達すれば人間が仕事をしなくていい未来は訪れるか

AIでは訪れないと思う人間の戯言。 働かなければ食べていけない世界 この世にはブルシット・ジョブ、すなわち『完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態』があることは事実です。やらなくてもいい仕事、無くなってもいい仕事、それどころか…

100均の製品は品質が良い:品質(クオリティ)と性能(パフォーマンス)の違い

品質(Quality)の概念は意外と奥深く難しいものです。 そのためか、世間、それどころか品質を深く考えなければならない製造業やサービス業においてすら品質に関する誤解が広く蔓延っているような気がしています。 過去にも取り上げたことのある話題ではありま…

ブログと仕事での文章の違い

ブログで毎日適当な文章をネット上に投稿している私ですが、仕事もデスクワークのため、毎日適当な文章を作成しています。 ふと、ブログで書いている文章と仕事で書いている文章にどの程度差があるのか、気になりました。 さっと比較をしてみたいところです…

一つのことに熱中できる人を尊敬している

好奇心には主に二つの種類、拡散的好奇心と特殊的好奇心に分類されます。 色々なことを知りたいと横に広がっていくのが拡散的好奇心であり、あることに対して深く知りたいと縦に伸びていくのが特殊的好奇心です。 そんな、好奇心と、尊敬に関する小話。 好奇…

日本は特殊な国なのか:良い/悪いの評価基準と定性的/定量的の違い

当ブログでは国際的な団体の統計データや国際ランキングを時々紹介しています。様々な国際統計やデータ群を見ることが私の趣味の一つであり、せっかく見たものは誰かに紹介したいという気持ちがあるためです。 また何かしらを客観的に比較する際は定性的な情…

「祈り」に対する捉え方

新年あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いいたします。 年始一つ目の記事には少し重いテーマですが、私が帰省する度にいつも思索へ浮かんでくる「祈り」について、少し考えを述べていきます。 幼い頃の思い出 「母さんはよくお祈りをしてい…