忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

最高の国ランキングの詳細

  USニューズ&ワールド・レポートの最高の国ランキング(Best Countries Ranking)が非常に良くできているため、日本のスコアについてもう少し詳細に見てみましょう。 

 スコアは全て100点満点で付けられています。

冒険的要素(Adventure) スコア:41.6 順位:28位

  • 友好的(Friendly):56.0
  • 面白さ(Fun):29.2
  • 観光に適しているか(Good for tourism):78.0
  • 快適な気候(Pleasant Climate):13.7
  • 風景(Scenic):66.9
  • セクシー(Sexy):1.2

 目を引くのがセクシーのスコアです。これはもはや小泉環境大臣に頑張ってもらうくらいしか解決方法が思いつきません。気候に関してはちょっと地理的に解決するのは難しいでしょう。もっとフレンドリーさを増して海外旅行客向けに面白いイベントを開けばスコアが伸びそうです。

機敏性(Agility) スコア:88.4 順位:7位

  • 順応性(Adaptable):43.3
  • 活力(Dynamic):76.8
  • 現代的(Modern):99.6
  • 進歩的(Progressive):92.2
  • 反応性(Responsive):86.4

 全体的にハイスコアですが、特に現代的・進歩的な点が評価されているようです。日本人からすると言うほど最先端に居るような気はしないのですが、他国で行われている様々な評価を見ると、日本人は新しいもの好きでモダンな人々だという評価が多いです。内に居ると分かり難いのかもしれません。唯一順応性だけはスコアが低いです。総じて、新しいものは好きで進歩的に取り入れるものの、それに順応し切るわけでもなく古いものもそのまま使うということでしょうか。確かにE-mailやチャットツールを導入しつつFaxもモリモリ使っているような企業を見るとそんな感じはします。

文化的影響(Cultural Influence) スコア:77.7 順位:5位

  • 文化的意義(Culturally significant in terms of entertainment):67.0
  • おしゃれ、高級(Fashionable):38.8
  • 幸福(Happy):31.2
  • 文化の影響力(Has an influential culture):90.6
  • 強力な消費者ブランド(Has strong consumer brands):92.7
  • 現代的(Modern):99.6
  • 名声(Prestigious):82.5
  • 最新の流行(Trendy):63.8

 全体的にハイスコアですが、若干FashionableとHappyがスコアの足を引っ張っています。文化的影響の上位であるヨーロッパ勢、特にイタリアやフランスにFashionableで勝つのは難しいかもしれません。Happyに関しては正直気持ちの問題が大きいです。他のランキングでも日本人は幸福度が低く出ています。もうちょっと楽観的になったほうが良さそうです。

起業家精神(Entrepreneurship) スコア:100.0 順位:1位

  • 世界との繋がり(Connected to the rest of the world):91.7
  • 教育を受けた人口(Educated population):98.8
  • 起業家精神(Entrepreneurial):85.0
  • 革新的(Innovative):100.0
  • 資金調達のしやすさ(Provides easy access to capital):57.2
  • 熟練労働者(Skilled labor force):100.0
  • 技術的専門性(Technological expertise):100.0
  • ビジネスの透明性(Transparent business practices):74.7
  • 整備されたデジタルインフラ(Well-developed digital infrastructure):100.0
  • 整備されたインフラ(Well-developed infrastructure):100.0
  • 整備された法的枠組み(Well-developed legal framework):73.0

 圧倒的なハイスコアで1位となっています。若干足を引っ張っているのは資金調達のしやすさに関してです。確かに日本にはエンジェル投資家やベンチャーキャピタルが少ないです。ただ日本でも徐々にクラウドファンディングのような手法が一般化しつつありますので、今後に期待です。

地位、遺産、伝統(Heritage) スコア:72.2 順位:10位

  • 文化的なアクセス性(Culturally accessible):55.4
  • 豊かな歴史(Has a rich history):82.6
  • 美味しい食べ物(Has great food):60.0
  • 多くの文化的魅力(Many cultural attractions):86.3
  • 多くの地理的魅力(Many geographic attractions):73.5

 極東の島国ですので、文化的なアクセス性が低いのはもう仕方がないでしょう。ただ美味しい食べ物に関してはもっと高得点が欲しい!食べ物のランク付けは騒乱待ったなしのアンタッチャブルな領域ではありますが、せめてもう一声…もっとアメリカ人に寿司を食わせねば。

国家の発動力(Movers) スコア:74.8 順位:6位

  • 区別(Different):48.2
  • 独自性(Distinctive):91.6
  • 活力(Dynamic):76.8
  • 固有(Unique):63.3

 国家経済の弾力性や回復力に関してのスコアです。上位の国を見るとアラブ首長国連邦、インド、エジプト、シンガポール、中国、日本と続いています。日本のように独自性でハイスコアを持っている国もあれば、アラブのように区別や独自性が高い国、中国やインドのように活力が高い国と各国で強みはそれぞれ異なります。日本のように資源が無い国で、今後さらに進んでいくグローバル化を考えると活力の維持がもっとも重要になるものと考えます。

ビジネスの開放度(Open for Business) スコア:57.1 順位:26位

  • 製造コストの安さ(Cheap manufacturing costs):3.6
  • 良好な税務環境(Favorable tax environment):4.8
  • 官僚的でない(Not Bureaucratic):87.5
  • 腐敗していない(Not Corrupt):99.9
  • 透明性の高い政府活動(Transparent government practices):27.0

 製造コストの高さと税制が全力で足を引っ張っています。資源の無い国ゆえ製造コストの高さは如何ともし難いところではありますが、税制は改善余地があるはずです。税制改善は政府活動のスコアアップにもつながります。国によっては「この税金は何に使用されたか」がちゃんと追えるようになっています。この仕組みは税を納めることへの納得感や満足にも繋がりますので、日本も採用すべきです。

国家のパワー(Power) スコア:68.8 順位:6位

  • リーダー(A leader):69.3
  • 経済的な影響力(Economically influential):92.5
  • 好調な輸出(Has strong exports):88.3
  • 政治的な影響力(Politically influential):47.3
  • 強固な国際提携(Strong international alliances):76.2
  • 強力な軍隊(Strong military):27.7

 全体的にハイスコアですが軍事と政治のスコアが低いです。まあ軍事と政治の影響力は表裏一体ですので致し方ないでしょう。軍事力を上げることに関しては大変な議論が必要になりそうですので、ここのスコアを上げるにはまず国民的な合意が必要です。

人生の質(Quality of Life) スコア:69.2 順位:13位

  • 良い労働市場(A good job market):74.1
  • 手頃な値段(Affordable):1.4
  • 経済的な安定性(Economically stable):96.2
  • ファミリー向け(Family-friendly):38.0
  • 所得の平等(Income equality):15.1
  • 政治的な安定性(Politically stable):71.4
  • 安全(Safe):72.2
  • 整備された公教育システム(Well-developed public education system):92.9
  • 整備された公衆衛生システム(Well-developed public health system):87.4

 極端なスコアが多いカテゴリです。安定性やインフラに関する項目は概ねハイスコアですが、物価と所得平等が大きく足を引っ張っています。これはとても難しい問題です。市場原理を適用して価格競争をさせることで物価を下げることはできますが、市場原理に基づいて所得の格差も拡大することになってしまいます。物価を下げるのではなく労働者の賃金を増やすことで所得を伸ばし、手頃な値段にするほうが現実的でしょう。

社会的目的(Social Purpose) スコア:29.7 順位:20位

  • 動物の権利への関心(Cares about animal rights):6.3
  • 人権への関心(Cares about human rights):33.6
  • 環境への関心(Cares about the environment):36.7
  • 温暖化対策への取り組み(Committed to climate goals):34.7
  • 社会的正義への貢献(Committed to social justice):20.5
  • ジェンダー平等(Gender equality):8.4
  • 人種の公平(Racial equity):12.8
  • 信仰の自由(Religious freedom):20.1
  • 財産権の尊重(Respects property rights):54.9
  • 信頼できる(Trustworthy):76.6
  • 分散された政治力(Well-distributed political power):33.9

 全体的にスコアが低い項目が目立ちます。このカテゴリの上位はカナダやデンマークニュージーランドスウェーデン、オランダやノルウェーのような人権関連で見かけるいつもの顔ぶれです。サブカテゴリを見る限り、どうしても各国の地理的・エネルギー的・文化的な状況に合わせた進め方が必要なところが多々あるため、安易なスコアアップ方法は思いつかないです。個別のテーマ毎に熟議し、日本に適したやり方で一つ一つ進めていくのが良いでしょう。