あるべき姿とは?
目標設定や問題解決手法において「あるべき姿」というものがあります。
ギャップ分析、カッコいい表現で言えば「As is / To be」とかいうアレで出てくるやつです。
現状に対して
あるべき姿があり、
その差異・ギャップが
「課題」なんだ!
というやつです。
言いたいこと、やりたいことは分かるのですが、常々疑問に思うのは
「じゃああるべき姿ってどう決めるの?」
ということです。ギャップ分析はロジカルシンキング的な研修で学んだはずなのですが、なぜかこれを決めるためのロジカルなサムシングは教えてもらえませんでした。
ギャップ分析はビジネスフレームワークの初歩中の初歩なので色々な解説サイトがありますが、どこを見ても
まずはあるべき姿To beを定めましょう。現状As isから考えてしまうと発想が縮こまってしまい、飛躍的な発展が望めません。
みたいな感じのことばかり書いてあります。
まあ、うん、言いたいことは分かるんです。
で、じゃあ具体的にどう決めればいいの?あるべき姿をまず決めるとして、
大きな牙と立派な翼を生やして口から火を噴けるようになりたい!
これが俺のあるべき姿なんだぁ!
というのもOKということなんでしょうか?
現状とのギャップは牙と翼が無いこと、火が噴けないことです。課題は牙と翼を生やすことと火を噴けるようになることですかね。正直このギャップを埋める方法は思いつかないですし、達成できそうもないんですが・・・とか言ってると、「そんな非現実的な課題を立てたって仕方がないだろ」って言われるんです。
つまり暗黙の了解、本音と建て前ということで、
あるべき姿は現状As isよりも先に考えるべきですが、
現状As isで達成できる範囲で定めましょう。
というわけです。現実的でないこと、例えば明日までに売上1000倍アップとか顧客クレーム完全ゼロとか製造不良率0%とかはあるべき姿として不適当ということです。いやいや、現状を把握する前に現状で達成できそうな「あるべき姿」を決めろなんて言われても、もはや勘と経験に頼るしかありません。ロジカルも何もあったもんじゃないです。
このロジカルさの欠片も無いギャップ分析、あるべき姿こそが世の社会人を苦しめる元凶の一つでしょう。達成できそうな目標を立てれば目標が低いと怒られ、それじゃあと高い目標を立てても達成できずに怒られる。解決方法は未来予知能力を身に付けるくらいしかありません。就活生はコミュニケーション能力を磨いている暇なんかあったら超能力の訓練をしたほうがいいでしょう。
「あるべき姿」先行主義ははっきり言って害悪です。現状のリソースを把握していなければ適当に考えた「あるべき姿」を達成できるかなんて分かりません。無理なものは無理ですし、できないものはできないのです。成果の偽装や粉飾、横取りといった悪事は無理な「あるべき姿」を無理やり追わせているから起きるのです。しっかりと現状を把握し、できる範囲を見定め、必要なリソースを割り振って、達成できる目標を着実にこなしていくことこそ地に足のついた正しいやり方です。