社会人にお馴染みのビジネスフレームとしてPDCAというものがあります。
- P:Plan、計画
- D:Do、行動
- C:Check、評価
- A:Action、改善
それぞれの頭文字を取ってPDCAです。これを繰り返し行うことは「PDCAサイクルを回す」と表現されます。
PDCAは実行する物事を徐々に改善していく手法のため、ビジネスに限らず日々の運動やトレーニング、料理や家事、それこそブログの書き方など、何事においても活用することができます。例えば学校の勉強であれば、勉強のやり方を決めて(P)、勉強をして(D)、テストを受けて点数を見て(C)、点数が悪ければ勉強のやり方を変える(A)というような形になります。
PDCAは特に意識せずに実施している場合が多いでしょうが、このサイクルを意識的に回せるようにPDCAというフレームでわざわざ表現されています。PDCAサイクルは回せば回すほど物事が改善する速度も上がるため、意識して早く回すことが推奨されているためです。
PDCAが使えない事例
PDCAは確かに便利な手法ですが、万能ではありません。なんでもかんでもとにかくPDCAを回せという人がたまにいますが、実のところ使いどころには注意が必要です。
まず大規模な変更や大きな変化、高額な出費のような一発勝負の案件に対しては使うことができません。
例として人生において最大規模の出費である家を買うことを考えてみましょう。どんな家を買うかを考えて(P)、契約をして(D)、気に入らなかったり問題があることが分かった(C)としましょう。そんな場合にどんな改善(A)が取れるというのでしょうか。気に入らないから新しい家を次々に買うなんて簡単にできるはずがありません。
特にビジネスにおいては基幹システムの変更や新工場の設立、高価な設備の導入や新しい市場の開拓のように、やり直すことができない一発勝負の物事が多数存在します。そういった物事に対してPDCAは回しようがないため使うことができません。PDCAは「繰り返し挑戦ができる」物事のみに適用可能な手法ということです。いくらメジャーなビジネスフレームだからといってどんな時でも使えるわけではないのです。やり直しができない物事の場合は改善(A)をできない分、とにかく失敗をしないように計画(P)に力を入れなければいけません。
もう一点、PDCAは回せば回すほど改善できる手法ですが、その分時間が掛かります。目先で最大限の成果を出さなければいけないような時間勝負の物事には使うことができません。速度が必要な場合はOODAループやプロコン表、意思決定マトリクスのような別のフレームワークを使うべきです。PDCAは万能ではなく、日々の日常や定型業務の効率化などに力を発揮する手法だということを覚えておかなければいけません。
すでにある物事を変える場合はCAPD
新しく物事を始める場合には計画(P)から行えばよいのですが、多くの物事はすでに動き出していたり続けているものです。そのような場合はCAPDサイクルのほうが適しています。PDCAから並び順を変えただけのものですが、まずは現状把握(C)から入り、改善点(A)を見つけてから、それをどう取り入れるかの計画を立て(P)、実行する(D)という手順です。
例えば料理の技術を向上させたいとします。まず行うべきは計画を立てることではなく、今の実力がどの程度かを把握して問題点を見つけることです。いきなり計画を立てても良いやり方を見つけることなどできません。現時点での問題点と求める達成の度合いを先に考えて、それに合わせて料理本を買うなり料理教室に通うなりを計画するのです。
まとめ
PDCAは万能ではないことを説明してきましたが、決して使えないフレームワークというわけではなく、適切な物事に対しては非常に有効です。むしろ日々の様々なことに対して意識して回したほうが良いとさえいえます。ただ、何事にもどんな時でも使えると過信してはいけないというだけのことです。
新人や若手社員はとにかくPDCAを回せと教わるでしょうが、それはまだ若者に一発勝負の案件を任せていないからです。これは一発勝負の意思決定が必要になる中堅・役職持ちになったらPDCAを堅持してはいけないという話です。若者は自らのスキルアップのためどんどんPDCAを回していきましょう。