「若者の○○離れ」という言葉、最近はあまり聞かなくなりましたが一時期流行っていましたね。クルマなり、お酒なり、ファッションなり。
先日、久しぶりの○○離れとして「若者の政治離れ」という言葉を見かけましたので、今回は若者と政治について少し論じてみましょう。
ちなみに厚生労働省の若年労働者の定義は満15歳~34歳ですので、私は若者側に立って意見を述べます。いや、自分のことを若者というのは相当に気恥ずかしいですが・・・若者というのは個人的に20代までだという感覚です。でも私が40代になったら30代を若造だと思うんでしょうねぇ・・・そして50代になったら40代のことを・・・いくつになっても若者に追い立てられる!
この記事はエビデンスも何もない言葉遊びの思い付きです。軽い気持ちで流し読んでいただけますと。
別に好きで離れてたわけじゃない
私の世代は様々なパターンでの「若者の○○離れ」を散々言われてきましたが、若者側からすれば別に好き好んで離れたわけでもないです。そもそも最初から近づいていなかったり、こっちが離れてるんじゃなくてあっちが離れていってるんだよ、と思うようなものばかりでした。
もっとフランクに言えば、「生活に余裕があれば近づくけど、そもそもお金が離れていってるから近寄れないんじゃ!こっちが離れてるわけじゃないし!」という感覚です。
確かに昔の若者だって生活に余裕があったわけではないでしょう。しかし少なくとも将来的な昇給による年収増加は見込んで散財できたと思います。現代の若者は年収増加が見込めない未来を想定しているので、そんな散財なんてとても怖くて出来たものではありません。
あと単純に税が増えているので可処分所得も明確に減っています。使えるお金自体が少ないのですから近づきようが無いというのが実情です。
蛇足ですが、娯楽の種類が増えたのでお金を注ぎ込む先が変わったというのも事実でしょう。これは他の理由とは違い、若者側からの離れですね。
政治が若者から離れている?
さて、そんなわけで「若者の○○離れ」は若者が離れているだけでなく○○が若者から離れている場合も多いのではないかと思うのですが、もしかすると政治も若者から離れているのでは?と思い立ちました。政治家というのは人気商売です。効率を考えれば高い人口比率を占める年齢層に広報を仕掛けたほうがお得です。
ということで国交省のグラフをお借りして人口構成の変化を見てみましょう。
1960年代あたり、若者が安保闘争のような政治活動を活発に行っていた時期は生産可能人口(15~64歳)が多く、高齢人口は少ないものでした。
対して現在は高齢人口の比率が高くなっており、将来的な減少傾向にも無く安定した票を期待できる層になっています。
このグラフを見る限り、私が1960年代の政治家であれば多くの票を期待できる生産可能人口に有利な政策を考えるでしょう。対して2022年の政治家であれば安定した票を期待できる高齢人口をターゲットにした政策を考えます。
つまるところ若者が政治に興味を失って離れていったのではなく、政治が若者から離れていった結果、若者が政治に興味を持てなくなった可能性もあるのかもしれない、と思った次第です。根拠とかは特に無いのですが。
実感的なところ
若者は政治に興味がない、ということの若者視点の実感についてですが、これは個人の感覚では判断が難しいです。
政治に興味を持ち始めるのはどうしても政治が身近になってからだと思いますので、早熟な子は別として一般的には早くても高校生以降だと思います。そうなるとすでに受験が終わっており知能の近い集団に属することになるので、実感が何の役にも立たなくなるんですよね。偏差値の高い学校であればそういった政治の話題もするでしょうし、偏差値の低い学校であればあまり話題にはならないでしょうから。
ネットでの政治系クラスタにも若者はたくさん居ますが、そもそも興味がある人が集まってるわけですので、たくさん居るというのはやはりバイアスです。
そういった集団による認知バイアスがあること前提の話ですが、私の会社での同期組、つまり同年齢の8割以上は政治に関心を持っており、ニュースや政治情報を収集した上で投票行動を行っています。ギリギリ若者世代ではありますが政治離れという感覚はまったく無いです。うーん、どう考えてもバイアス。
そういうバイアスを除外するのであれば無難にアンケートや統計結果を見たほうがいいですね。
【叫ばれる“若者の政治離れ”】30代以下の3割は、政治への不満の意思表示として「選挙に行かない」|日本トレンドリサーチのプレスリリース
明らかに他の年齢層と比べて若者が政治に興味を持っていないことが分かります。若者が政治から離れたのか、政治が若者から離れたのかは分かりませんが。
まあなんにせよ、政治に興味が無いのはモッタイナイ派ですので、若者の皆さんはぜひ興味を持ってみるといいですよ。
余談
若者に甘い考えを持っているせいか、「若者の政治離れ」という言葉がどうにも引っ掛かったのです。それって若者の責任?興味を持たせなかった大人の責任では?という風に。
若者は社会を映す鏡であり、若者が「そう」育ってきたとしたら私たち大人が「そう」育ててきたからであって、それは若者の責任ではない、と思うわけです。
今日の私は若者側なのか大人側なのかさっぱりですね。いや、いい歳こいて若者自称するのはやっぱり恥ずかしいので大人側に席を置きたい・・・