忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

間違えたっていいじゃないか、人間だもの

あ、あそこに居るのは佐藤(仮名)さんだ。話すことがあるから近づいて声を掛けよう。ん?最近あまり見かけなかったせいか少し痩せたかな?背もなんか縮んだような。歩き方もいつもとちょっと違う感じがする。よくよく見ると顔も違う、というかこの人佐藤(仮名)さんじゃないし!気さくに話しかけなくてよかった!

 というようなことを月一くらいでやっています。声を掛ける前なのでセーフ。相貌失認なんて大層なものではなく、ただボケているだけです。

 子どもの頃から数多くの見間違いをこなしてきた私はもはや知らない人に話しかけるプロと言えるでしょう。言えるかもしれません。言えるかな。言えませんね。

 

間違えた時のフォローが大切

 人は誰しも間違えるものです。間違えない人間なんて存在しません。どれだけ優秀な人でも無数の間違いをしています。

 優秀な人とそうではない人の差は間違いの有無ではなく、そのフォローをどう行っているかです。優秀な人は間違えた時に放置したり諦めたりすることはしません。自身の職業倫理・プロ意識・責任感に則り、「即座に」「出来る限り」「必死に」尻拭いをします。

 そのような経験を経ると間違いをフォローする技術が身に付きます。それは技量の向上という形で間違いの再発防止にもなりますし、次に間違いを犯してもまたフォローすることが出来るという自信に繋がります。そもそも尻拭いは大変だという経験から間違えにくいように予防措置を取るようにもなります。

 反面、間違いを別の何かのせいにして自身で尻拭いをしなかったり適当なフォローをする人は優秀な人にはなれません。自身で必死に尻拭いをした経験がなければフォローする技術もフォローできる自信も身に付かず、再発防止や予防措置を取ることも出来ないため、いつまで経っても間違いを犯し続けることになります。

 

 最初にろくでもない事例を紹介したためどの口が言うんだという話ではありますが、例えば私の他者誤認に関しては

  • いきなり話しかけない、10秒くらい誤認を疑って観察する
  • 顔、動作、体形、のように観察項目をクロスチェックする
  • 自身の認知特性から、視覚情報よりも聴覚情報を優先する

というようにすることで、今のところ「すみません、見間違えました」という事態に陥ることは年に1回以下に減りました。未だに間違えている時点でポンコツではありますが、優秀になれない人の憂愁を感じていただければ。

 まあ、いろんな意味でボケてはいますが、毎週のように間違えていた子ども時代に比べれば格段の成長です。

 

 社会人になったばかりの新人や若手はまだ技量が不足していることから必然的に無数の間違いを犯します。それは仕方がないことですし、上司や先輩もその程度のことは織り込み済みです。特に新人の間は学校のテストとは違って間違えても許される期間です。長い長い人生における数少ないボーナスタイムなのです。ですので間違えることを恐れる必要はなく、間違えた時のフォローをどうするかにまずは注力したほうが良いでしょう。

 

若者のタイプそれぞれ

 さて、ここからは偏見になりますが、個人的な若手判別法を語ります。何かを間違えた時にどんな行動を取るかでその若手の将来性を判別しているのですが、まあ偏見です。話半分、いえ話2割程度だと思ってください。

 まず、慌てて自力で処置しようとしたり、すぐに周囲に助けを求めるタイプはとても有望です。事態を何とか収拾しようという意思、つまり何よりも育成が難しい責任感やプロ意識をすでに持っているということであり、まだ技量が伴っていないだけです。成長するにつれて立派な戦力になることが期待できます。

 但し自力で処置しようとするタイプは火傷する危険も大きいため、ちゃんと見守ってあげる必要があります。また周囲に助けを求めるタイプは他者に依存し過ぎないよう、直接的なフォローではなく導くようなフォローに留めたほうがよいでしょう。

 逆に間違いを放置したり知らん顔をしたり何かのせいにするタイプは要注意です。前述の勝手に間違えてくれるタイプは自己駆動力がすでに備わっているので上手く誘導するだけで良いのですが、こちらは間違えること自体を恐れる人に多いタイプと言えます。

 間違えることを恐れるタイプは間違いのフォローを間違えることも恐れてしまう傾向があります、だからこそ放置したり自分でフォローしようとはしないのです。ですが失敗してもいいからやってみようという姿勢が無ければ技量の成長を期待できません。結局はやってみないと覚えません

 こういったタイプにまず教えるべきは、仕事の内容ではなく仕事に対する姿勢、責任感です。そしてあえて失敗をさせるべきです。失敗しても大したことが無いと体で覚えることが出来れば、徐々に自己駆動できるようになるでしょう。

 若いうちに間違えられるだけ間違えてフォローの仕方を学んでおいたほうが絶対に良いのです。嫌な話ですが、歳を取った時に間違いをフォローできる技量が身に付いてない方が怖いですよ?それに比べれば若いうちの間違いなんて大したことないのです。

 面白いのは間違いを隠蔽しようとしたり必死に言い訳をするタイプです。このタイプは少なくとも間違いを犯すだけの行動力がありますし、それをごまかそうとするのは知恵が回る証拠です。頭は良いけど少し責任感に欠けているということで、このタイプが一番将来の予測が付きません。上手く責任感を身に付けることが出来れば地頭を活かして凄い成長をするのですが、質が悪いパターンだとその頭の良さを全力で自己保身に使う場合もあります。

 このタイプは間違えることへの恐怖よりも自分のプライドが傷つくのを好まない場合が多いため、尖ったプライドを丸めてもらうかもっと尖らせるかは組織の風土次第で決めれば良いかと思います。

 

 

余談

 好きなジョーク。

「おうミュラー。しばらく見ないうちにだいぶ変わったな。髪も白くなったし、ヒゲも生えてる。それに、だいぶ太ったみたいだな」
「すみませんが、私はミュラーじゃありませんよ」
「そうか、名前も変わったのか」