仕事の雑さで言えば私も決して人様のことを揶揄できるような人間でないことは重々承知しているのですが、先日届いた迷惑メールがあまりにも酷かったので紹介します。中国ドメインの適当な自動生成メールアドレスから届いた架空請求メールです。
ご利用金額がどのメールでも同じでは芸が無いと思ったかどうかは知りませんが、仕事が雑過ぎません？[RAND_INT_100_255],[RAND_INT_100_999] 円ってなんだ？いくら払えばいいんだ？
内容云々ではなく雑なことが気に入らない
いや、まあ、やりたいことは分かるんですよ。ランダムに指定範囲内の整数値を出力することで100,100円から255,999円までを表示しようとしているだろうことは。プログラムに詳しくないですけど多分そういうことでしょう？およそ10万円から26万円というのは詐欺で騙し取ろうとする金額としてはリアルな感じですし？
最近は自動生成文章や翻訳ソフトの質も上がってきていて迷惑メールのクオリティが上がってきていますが、それでも今なお文章の質が低い迷惑メールが来るのはいいんです。口の悪い表現を使わせていただきますが、詐欺師なんてクソみたいな仕事をしている人間なのだから当然知能も能力も低いのでしょう。だから迷惑メールのクオリティが低いのは理解しています、どうせその程度の連中です。あら、ごめんあそばせ。
ただ、コードを張り付けて出力を確認していないという仕事の雑っぷりが気に食わないのです。人様を騙したいのであればせめて真剣に、そして丁寧に仕事をして欲しい。メールを送る前にちゃんと確認して欲しい。せめて騙し取ろうとする金額くらいはっきりして欲しい。
ツッコむポイントがおかしくない？
確かに。
そもそも迷惑メールを送ってこないで欲しい。
雑な仕事と拙速は違う
私は巧遅は拙速に如かずを仕事の信念としています。巧いけど遅いよりは拙いけど早いほうがいいものです。遅さは全てを台無しにしてしまいます。
しかし拙いと雑は意味合いが明確に違います。はっきりと別物です。巧拙は技術を意味しますが雑と丁寧は姿勢を意味します。
分かりやすいのは字です。下手なりに丁寧に書いた字と上手いけれども雑に書いた字というのは印象がはっきり違うものです。
物事において下手なのは仕方がありません。それは技術的な問題であり、努力によって必ずしも改善できるとは限りませんし、努力していれば今後改善する可能性もあります。
しかし雑なのは駄目です。それは姿勢の問題であり、物事に対して真摯に向き合っていないことの証明です。人間関係や社会は信頼によって構築されているものですが、その信頼を産み出す源泉こそが誠実さや真摯さといった姿勢であり、つまりは丁寧さです。丁寧であれば拙さはある程度許容されます。
拙速とは完成度が低くても早く行うということであって、雑に短時間でこなすという意味ではまったく無いのです。短時間でも全力を注ぎこみ限られた時間内に出来る限りまでは仕上げるという丁寧な仕事、真摯な姿勢、真剣な態度が必要不可欠です。そういった丁寧な仕事であるからこそ拙くても許容されるのです。
「結果の出ない努力は努力じゃない」という厳しい言葉を好む私ではありますが、それは自分に対してのみであって他人の努力を無碍にするのは好みません。丁寧な仕事をするという努力を伴った行動であれば結果が伴わなくても評価すべき対象になります。反面、雑な仕事であれば結果が伴わない限り一切評価しません。結果以外に評価すべき点が無いのですから。
はっきり言えば、雑な仕事というものは積み上げてきた信頼を一撃で吹き飛ばすほどの威力を持っています。雑な仕事は「貴方のことを軽んじている」という意思表明であり、「貴方のことをちゃんと考えてはいない」という態度であり、「貴方のことはどうでもいい」という意味に他ならないのです。そんな姿勢で向き合ってくる人を誰が信頼するというのでしょう。ましてやそれが評価に値すると誰が考えるのでしょう。
もちろん雑さが許される状況、許される関係性、許される仕事というものはあります。しかしそれは雑さによって目減りする信頼程度では揺るがないほど強固な関係性を築けている場合や、そもそも信頼関係が不要な状況という特別な場合のみです。少なくとも常日頃において雑さが許されることはそうそう無いということは肝に銘じておいたほうが良いでしょう。ええ、人のことは決して言えないので私も気を付けます。
まとめ
詐欺師こそ信頼を得るための努力、すなわち真摯さや丁寧さといった姿勢が最も必要な仕事でしょう？お金を騙し取ろうと画策するならしっかりやって欲しいものです、まったくもう。
あ、いえ、丁寧な詐欺師も勘弁して欲しいものですけど。というか詐欺自体止めて欲しいですけど。詐欺師はとっとと全員捕まってしまえ。あっしは善人と普通の人は好きだが悪人は嫌いじゃ。(辛辣)
