忘れん坊の外部記憶域

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マスコミ批判で気を付けること

 インターネット上では今も昔も報道機関(マスコミ)への批判が活発に行われています。これは日本に限らず諸外国でも同様です。いえ、むしろ日本よりも海外のほうがマスコミへの批判は強いと言えるかもしれません。

 社会学者が国際プロジェクトとして行っている世界価値観調査において、メディア(新聞・雑誌・テレビ)の信頼度は日本が60%台であるのに対して他の先進国では20~30%台となっています。日本でのマスコミへの批判の声は大きいとはいえ、他の先進国と比べれば日本ではマスコミが信頼されているということが分かります。

WVS Database

 また別のデータ元として、総務省が例年発表している情報通信白書では新聞・テレビ・ラジオの信頼度が他の情報媒体よりも高く、信頼度はおよそ50~60%という調査結果になっています。世界価値観調査とほぼ同様の結果であり、日本人の半数以上が新聞やテレビといったマスコミを信用していることは事実と言えそうです。

関係情報:情報通信関連:情報通信白書

 私としても、マスメディアとネットのニュースサイトと個人運営のサイト、どの情報源が信用できますか?と並べられれば、それはまあマスメディアを選びます。マスコミは情報のプロであり、マスコミの意見(オピニオン)に関しては人それぞれ思う所はありましょうが、事実(ファクト)を入手する手段としては他のメディアに勝ると考えます。

 

マスコミ批判で気をつけること

 マスコミも人の運営するものである以上、先走りによる誤報やスポンサーに配慮した情報操作の一つや二つは致し方ありません。そんなことは別に他の情報源でも同じことであり、視聴者側が情報を鵜呑みにしないよう気を付ければいいだけの話です。信頼度の意味合いは異なりますが、それこそ50%、半々くらいの気持ちで信頼すればいいかと思います。

 とはいえあまりにもひどい誤報やおかしな見解を見て批判的な気持ちになるのも人というものです。

 その際、対象を大きく取って「マスコミなんかいらない」「マスコミは噓つきだ」というような論陣を張らないようにすべきだと考えます

 その理由として第一に、前述したようにマスコミも人の営為であり、必ずしも正しい情報や適切な見解を出し続けることができるわけではないということです。相対的に見ればマスコミは他の情報源に比べて正しい情報を出している比率が高く、安易に「マスコミは嘘つきだ」と言ってしまえば「じゃあ他のメディアはどの程度信用できるのか」と反論を受けることでしょう。

 第二に、民主主義国家における主権者は国民です。主権者たる国民が政治活動に参加するためには多くの情報に触れることが不可欠であり、情報発信の役割をマスコミは果たしています。マスコミは民主主義のために生まれた集団ではありませんが今や民主主義を支える一つの柱として存在しており、「マスコミなんかいらない」というのは民主主義の根幹を支える柱を折りかねない意見です。たとえどれだけマスコミの意見(オピニオン)に不賛同であろうとも、民主主義では情報源が多いに越したことはありません。民主主義を維持するためには「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」必要があります。言論の制限や統制は全体主義や専制の始まりです。

 

マスコミは必要だが・・・

 以上より、マスコミは民主主義国家において必要ですし概ね有益なものです。よってマスコミ全体の信頼を毀損したり不要論を唱えることはあまり望ましいことだとは思いません。

 しかし、マスコミは必要ではありますが、それが〇〇〇社(お好みの会社名を当てはめてください)である必要は無い、ということも言えます。民主主義国家においてはマスコミという機能と組織があればいいわけで、別にそれが今時点で活動している〇〇〇社である必要はないでしょう。

 よって批判的な見解を示すのであれば、マスコミ全体を対象とするのではなく自身の見解と相違がある〇〇〇社に限定して論陣を張ったほうが良いと思います。日本でのマスコミの信頼度を鑑みればマスコミ全体が悪だと語ってもあまり賛同を得ることはできません。しかし〇〇〇社のこういった意見には同意しかねる、という意見であれば全体を否定するよりも他者からの賛同を得やすいのではないでしょうか。

 

 

余談

 別にどこか特定の企業を批判したいわけではないのですけどね。ただ「マスコミは不要だ!」というような論調の意見を見かける度、それはあまり効果的ではないんじゃないかな、と余計なことを思ってしまうので・・・