人様から時々「頭が良い」という不思議な評価をいただくことがあり、とても恐縮します。私は私を頭が良いとは思っていないので感性のズレに違和感を抱きつつも、まあ誉め言葉を無下にするのもそれは悪いことですので、謹んで拝受するばかりです。
拝受とか拝承とかを使うと、「なんだか日立の人みたいですね」と余計な偏見を口走りたくなるあたり、私は頭が悪いと思うのですが。
(参考情報)
◆拝承とは (ハイショウとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
(日立グループの人とやり取りしている時に日立用語が出てくると何故か嬉しくなるのは私だけでしょうか)
切り口は無数にある
良い車ってなんだ?と言われれば、人それぞれ答えがあります。
速い車、見た目がカッコいい車、燃費がいい車、乗り心地がいい車、人に自慢できる車、人それぞれ様々な側面によって良い車を定義することでしょう。
頭の良さってなんだ?となれば、同様なわけです。
奇抜な発想ができる人、知識をたくさん持っている人、論理を組み立てるのが上手い人、判断速度が速い人、柔軟な思考ができる人、人は様々な側面によって頭の良さというものを考えます。
よって画一的な「頭の良さ」を定義することは困難です。
よく「知識をたくさん持っているからといって頭が良いとは限らない」と言われますが、その意味の取り扱いは難しいということです。記憶力があり知識を豊富に持っていることは頭の良さの十分条件ではありませんが、頭の良さの一側面ではありますので。
たとえ話
まずそもそも頭が良いとはどういう様かと言えば、それは「頭脳が明晰で物事の道理をよく分かっている様子」とされます。つまり単純に思考速度が早かったり論理的な思考ができるというだけではなく、頭の良さはもっと広い範囲で判定する必要があります。
「物事の道理が分かっている」を言い換えれば、適切な解法を選択し最短で目的を達成するための諸能力とすることができるでしょう。適切な解へ至るための道筋は多々あり、その選択肢の多さは頭の良さが複数側面で表現されることと一致します。
たとえ話として、「ある目的地へ辿り着くこと」を考えてみましょう。物事の道理が分かっているということは、ある目的地へ的確に最短で到達することができることで例えられます。
まずは何をおいても行動への意思を持つ駆動力や即座に行動する決断力が重要です。着手が遅ければ遅いほど、行動が遅鈍であればあるほど目的地へ到達するのは遅くなります。この意志と瞬発力の差異は頭の良さを左右する最たるものと言えるかもしれません。
どの道を通るか、どの道が快適に進めるかといった選択をするための知識量も重要になるでしょう。知識の有無は判断力の行使に対して大きな影響を与えます。
正しい道を進めているか、道を誤っていないかに疑念を抱く疑う力も重要です。人はつい自身の定めたやり方に確信を持って誤った道を突き進んでしまいがちなものです。都度状況を確認し正しい道へ修正するために、自身の思考へ疑問を持つことはとても重要だと言えます。
渋滞の度合いによってルートを変えるような、状況に応じてやり方を変える柔軟性も頭の良さの一側面です。最初に定めた方法が常に適切であるとは限らないため、適宜補正を掛けてより良い方法を模索することができるのは頭が良い証拠です。
目的地へ最短で辿り着くまでには瞬発的な思考ではなく様々なことを考え続ける必要があります。しかし考え続けるというのは容易ではなく、だからこそ複雑に変化する状況の中でより良い道を探し続けるための持久力も頭の良さを構成する一要素となります。
やり方を大きく変える奇抜な発想力も一側面に数えられます。誰もが車で向かう中、電車と飛行機を乗り継いだほうが短時間で向かうことができると気付くような抜本的な思考の転換ができることは頭が良いと言って過言ではないでしょう。
結言
これらそれぞれが頭の良さの一側面であり、どれを重視するかは人それぞれです。
ただ、人は特に自身に欠けている技能へ着目しがちなものですので、頭の良いと思う他者を見て、どの側面が優れているからそう思ったのかを考えてみると、自身に今不足していて鍛えるべき弱点が見えるかもしれません。
余談
頭の良さに関するもっと詳細な分類や分析であれば、東京大学の西成教授が提唱する思考体力がとても参考になります。詳細は西成教授の著書をぜひご一読ください。