口が悪い
「データの送付をお願いします、納期はXX日です」
は?知らんがな。
納期とは契約である
納期とは納入期限、つまり期日・〆切です。
納期は社会人として必ず守らなければならない絶対の約束事・契約に他なりません。
そして契約とは当事者間の合意によって成立するものです。一方向での単独行為は契約にはなり得ず、必ず意思表示の合致が必要になります。
つまり、
互いがそれで良いって合意するまで納期とは呼ばねえんだぞ!
ということです。
なぜ世の中には一方的に納期を押し付けてくる方がいらっしゃるのでしょうね、不思議。
正しい納期設定の仕方(一例)
「データの送付をお願いします、期限は2日で可能でしょうか?」
「大丈夫です、問題ありません」(*合意の形成)
「よろしくお願いいたします」
正しい?納期設定の仕方(稀によくある)
「データの送付を今日中にお願いします」
「データ作りに1日掛かりますし今日は別件で手が離せないので無理です、2日後でお願いします」
「そこをなんとか」
「じゃあ別件のほうは先方に話をして期日の調整をしますので、そちらも1日なんとか調整してください、そうすれば明日には送付可能です」
「承知いたしました」(*合意の形成)
正しくない納期設定の仕方(稀にあるから怖い)
「データの送付を今日中にお願いします」
「データ作りに1日掛かりますし今日は別件で手が離せないので無理です、2日後でお願いします」
「そこをなんとか」
「じゃあ別件のほうは先方に話をして期日の調整をしますので、そちらも1日なんとか調整してください、そうすれば明日には送付可能です」
「そこをなんとか今日中に」
「物理的になんともならないって言ってるじゃないか」
「今すぐにでも必要なんです」
「今すぐ必要になるものを事前に手配してなかったそっちの落ち度なんだから、そっちがなんとかするのが筋ってもんだろ」
「それはそうなのですが、でも必要なんです」
(合意の形成に至らない)
(無駄に浪費される時間)
(溜まるストレス)
(誰も幸福にならないやり取り)
(殺伐!)
私が弱いパターン(秒殺)
「困ってるんです、助けてください!」
「えー、もうしょうがないなぁ・・・」(*合意の形成?)
互いの都合を調整することは政治に他ならない
もちろん物事というのは関係者それぞれに都合があります。
特に依頼側はいつまでに依頼したものを受領したいという明確な必要性を持っている場合が多いものです。モノづくりであれば顧客納期に合わせた部品手配の生産計画があるように、雑誌であれば発刊日に間に合わせるため原稿を受け取らなければならない〆切があるように、最終的なリミットから逆算して個々の要素を揃える必然性がある以上、依頼側が期日を要求するのは自然なことです。
しかし同様に、請負側にも残作業の進捗度合いや別件対応など様々な事情があります。暇で暇で仕方がないという人は少数であり、抱えている案件の優先度を勘案して計画を組み替えることが不可欠であり、必ずしも依頼側の意に沿う状況とはなりません。
よって納期の設定では多くの場合で利害関係の対立を生じることになります。
対立する意見の利害を相対化し調整する行為を政治と言います。
つまり、仕事の契約や納期の設定、そういった日常的な調整においても私たちは政治を行わなければならないということです。
人を動かす力学
特に具体的な研究がされているかも知らず、個人的に考えている程度のことですが、人と人の意思決定において働く力学には主に3種類あると考えています。
一つは政治、すなわち利得や功利です。これは先に述べた、互いの利害関係を双方で提示し合い、調整する力学的作用を指します。
一つは権力、すなわち財力や暴力などを背景とした強制力です。暴力団や警察力といった物理的な力の他、親会社子会社の資本力の差による強制や下請け虐め、上司部下の権力勾配による強制も含みます。
一つは共感、すなわち心情や状況による心の力です。憐憫や友愛、仲間意識や心意気、そういった人の情による心の動きは人の意思決定に強く働きかけるものです。
他にも倫理や道徳などバックグラウンドには様々な力学が存在すると思いますが、意思決定の合意が発生する直接的な作用は概ねこれら3種類で説明が付くと考えています。
納期調整の合意については政治、少なくとも共感によって解決したいものです。
間違っても権力で解決することが常態化するのは望ましくないと考えます。それは関係性の崩壊を招きかねません。押し付けられる側は疲弊するばかりとなり、それは持続可能な関係性にはならないでしょう。
双方win-winの関係を維持できるよう、政治や共感で解決していきましょう。
結言
だから納期を一方的に押し付けるのは止めましょうね。