忘れん坊の外部記憶域

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日本における”正義”の課題:World Justice Project Rule of Law Index

 先日の記事では様々な指標を統括した腐敗認識指数を紹介しました。

 その中でも個人的に気になった指標のWJP Rule of Law Indexを追加で紹介していきます。

 気になった理由は名前です。World Justice Project・・・なんともストレートな名称です。

 

World Justice Project(WJP)

 World Justice Projectは2006年にアメリカを拠点として発足した、「世界中で法の支配を推進するための知識を創造し、意識を高め、行動を促進するために活動する」ことを目的とする国際的な独立非営利団体です。

 日本ではほとんど馴染みがなく、日本語Wikipediaすらありません。私も腐敗認識指数を調べている際に初めて耳にしました。そのためWJPをどう日本語訳するかは悩むところですが、もう直訳で世界正義プロジェクト、もしくは世界正義計画としましょう。元々World Justice Project自体が直球のネーミングですので、和訳が直球になるのもやむを得ないというものです。

 

 世界正義プロジェクトの主な活動は法の支配を進めるプログラムを作成するための世界正義フォーラムの開催、法の支配の促進に貢献した人を称える世界正義チャレンジの表彰、そして各国の法の支配の度合いを定量的に評価する法の支配指数の発表です。

 

法の支配指数(Rule of Law Index)

 法の支配指数は毎年WJPによって発表されている国際ランキングです。8つの項目から各国の法の支配を評価し、0-1でスコアを付けています。

 2022年に発表された報告では、日本の総合スコアは0.79、総合順位は16/140位です。極めて優秀な順位ではありませんが、少なくとも平均よりは上位にいます。

 8つの項目における日本の個別スコアと個別順位は次の通りです。比較用として、平均値AVGも併記します。

1 | 政府の制限に対する制約 (0.73 : AVG:0.55) (22/140位)

2 | 汚職の非存在 (0.82 : AVG:0.51) (13/140位)

3 | 開かれた政府 (0.70 : AVG:0.52) (24/140位)

4 | 基本的権利 (0.78 : AVG:0.54) (20/140位)

5 | 秩序と安全 (0.92 : AVG:0.72) (8/140位)

6 | 規制の施行 (0.80 : AVG:0.54) (17/140位)

7 | 民事司法 (0.78 : AVG:0.54) (11/140位)

8 | 刑事司法 (0.76 : AVG:0.47) (8/140位)

 全ての項目で平均よりも高いスコアを取っていますが、このうちスコアと順位が最も低い開かれた政府(OPEN GOVERNMENT)が日本の課題だと言えそうです。

 開かれた政府のサブ項目におけるスコアと順位は以下です。

3.1 | 公表された法律・政府データ (0.76 : AVG:0.45) (18/140位)

3.2 | 情報を得る権利 (0.63 : AVG:0.51) (31/140位)

3.3 | 市民参加 (0.69 : AVG:0.53) (27/140位)

3.4 | 苦情メカニズム (0.72 : AVG:0.58) (30/140位)

 全体的にスコアが低めですが、特に低いのは情報の権利(RIGHT TO INFORMATION)です。この項目では政府機関が保有する情報への要求が認められるか、合理的な期間内で、適切かつ完全な情報が賄賂等無く合理的な費用で認められるか、さらには人々が情報を得る権利を認識しているかどうかも測定されています。

 これは妥当な判定だと思われます。日本の公文書では時々黒塗りをされて開示される場合がありますが、これは対外的に情報を開示するためのフォーマットが適切に整備されていないことの証左です。公文書においてプライバシーに関する項目など開示できない部分があるのは当然であって、そもそもそういったデータは黒塗りで隠蔽するのではなく別枠で保管するような仕組みである必要があります。

 

結言

 透明性を確保するためには、公文書の開示を要求された時に隠すのではなく、出せる部分と出せない部分は最初から区分して管理し、その区分の基準を明確に示す、それが日本の公文書管理に今後求めるべき最低限の水準かと考えます。

 要求があったからと慌てて黒塗りして隠すようなやり方では、隠蔽や隠匿を疑われても仕方がないでしょう。

 

 

余談

 今回はJusticeを"正義"と直訳しましたが、西洋の"Justice"と東洋の"正義"はイコールの概念ではないため、本当は"公平"と訳すことが望ましいです。"正義"の対義語は"悪"ですが、"Justice"の対義語は"Evil(悪)"ではなく"Injustice(不正・不当)"だからです。