規程・規則・マニュアル・ガイドラインなどなど、組織には様々な内部ルールが存在しています。
新人には可能であれば真っ先に、そうでなくてもOJTの傍らでなるべく早期に内部ルールを習熟する時間を取ることをお薦めしています。そして上司やメンター、OJT担当者など新人を指導する立場にある人は積極的に新人へ内部ルールを教え込まねばなりません。
ルールを知らずには戦えない
これはとても単純な理由で、何事もルールを知らなければ話にならないからです。社会生活では法律を知らなければ不利なように、スポーツでは競技ルールを理解していなければ勝負の舞台に立てないように、組織で働くのであれば組織の内部ルールを習得する必要があります。
例えば書類作成の仕事一つ取っても書類の書き方をただ教えるだけでは新人が書類作成を出来るようになったとは言えません。どういった時にどのような書式の書類を作成して、どう回覧して承認を得てどこに保存するか、といった流れを理解して初めてその仕事が出来るようになったと言えます。
ルールを知らずに振舞うと無用な掣肘を食らうことになります。やれ書式が間違っている、やれ承認が不足している、やれ添付資料が足りない、そういったくだらないことで行動を阻害されるのは馬鹿馬鹿しい話です。
しかしルールはルールであり、くだらないからと掣肘を無視しては立場が不利になる一方です。よってルールを無視するのではなく、そもそも掣肘を受けないようルールを熟知しておくことが適切な防衛策となります。
真っ当な組織であれば仕事の流れは細かく内部ルールに記述されているものです。よって新人に仕事を教える際には内部ルールの教育が優先的に行われて然るべきでしょう。
真っ当な組織でない場合は新人教育以前の話ですので、まずは内部ルールの明確化が必要です。
OJTにおける座学の必要性
真っ当な組織であればOJT指導者である上司やメンターに対して教育が施されるため心配いりませんが、そうでない場合は指導者側がOJTのやり方を充分に教育されておらず、OJTのことを「実際に手を動かさせることで仕事を覚えてもらう教育方法」だと誤解している可能性があります。
確かにOJTは実際の仕事を通じて知識や技術を継承する教育方法ですが、それは"実際の仕事の場で行われる教育"を意味するのであって、座学が不要なわけではありません。現場に存在する暗黙知だけでなく明文化された形式知もしっかりと継承する必要があり、むしろOJTでこそ手を動かす教育と座学が並行して行われなければなりません。
もちろん真っ当な組織の指導者であればこの程度のことは重々理解されているとは思いますが、OJTを誤解してひたすら手を動かすことばかりをやらせる指導者も時にいらっしゃいますので、それは違うということを述べておきたいと思います。
結言
ルールを知らなければ舞台に立つことは出来ない以上、新人には何をさて置いてもルールを教育すべきです。そしてルールの教育は座学で行う必要がある以上、OJTにも座学は不可欠です。
「OJTは現場で手を動かして教育する方法で、座学はOff-JTでやることだよ」なんて、それは誤解です。OJTとOff-JTの違いは実際の職場で行うか職場から離れて行うかの場所の違いでしかありません。OJTにだって座学は必要です。