記憶力は、とてもとても残念ながら個人差があります。
ひとたび本を読めばその内容を全部覚えられる人もいれば、その反対に何度繰り返して読んでもなかなか覚えられない人だっています。
こればかりはほぼ先天的な能力差ですので覆すことはできません。
ただ、「記憶が定着しにくい」ことと「記憶が定着しない」ことは別であり、記憶力が悪い人でも暗記は努力次第で補えます。
今回は記憶力が悪い人に向けた暗記のコツについて私見を述べていきましょう。
記憶力は悪いが暗記は得意
私は『度を越した忘れん坊』です。記憶力を母のお腹の中に忘れてきたのではないかと疑うくらいには物覚えが悪いです。昨日の夕飯だってもう忘れました。老後は朝飯を食べてすぐに「朝ごはんはまだかのう?」とのたまうような老人になることは間違いないだろうと自信を持っています。
そんな私ですが、暗記は得意分野です。
意識していないと全てを忘れる空っぽ頭のくせに、意識して覚えようとしたことは大抵なんでも覚えています。
これは何も矛盾した話ではなく、記憶の速度と記憶が定着するか否かは別の話であるだけです。記憶速度は非常に遅いですが記憶を上手く定着させるにはどうすればいいかを私は知っているので暗記には長けています。
忘却曲線と間隔反復
実のところ暗記はとても簡単で、忘却曲線(Forgetting curve)を理解していればいいだけです。
忘却曲線とは「時間経過とともに記憶保持力が低下する」とした仮説で、時間の経過に応じて情報がどのように記憶から失われるかを示しています。
もっとも著名な忘却曲線はヘルマン・エビングハウスが示したものです。その信憑性や正確性には疑義の声もありますが、重要なのは方程式の正しさではなく「時間経過とともに記憶保持力が低下する」ことを理論的に確立したことだと言えます。
忘却曲線の理論に基づいて提唱された学習方法である間隔反復(Spaced repetition)は多数の長期記憶を増やす際に有益で、特に第二言語学習過程での語彙習得に適していると評価されています。
◆Spaced repetition - Wikipedia
どの程度の間隔でどう反復させることが効率的かは様々な研究がなされていますが、合理的で最高効率での学習を目指すよりも愚直な繰り返し学習に時間を割いたほうが良いでしょう。
なんにせよ忘却曲線と間隔反復から導き出される重要な事実は「人は忘れる生き物であり、暗記をするには間隔を置いて繰り返し学習すること」です。
私の暗記法
最近の私は英単語をひたすら暗記していますが、その方法はとてもシンプルに「英語勉強アプリで毎日500~1000の単語問題を解く」だけです。
例えば英語勉強アプリのmikanに収録されている『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』は1611語の問題がありますので、これを3日程度で一周することを繰り返して2週間程度で一通り暗記しました。
「単語を一つずつ覚える」、「今日は何単語を覚える」と区分せず、多少うろ覚えでも数を増やして数日に分けて勉強することに意味があります。たとえ一日中何度も繰り返して100単語を暗記したとしても、人は数日後にはほとんど忘れます。それよりも数日の間隔を置いて何度も学習したほうが記憶の定着には有益です。
よって「1日100単語」と区切るよりは「10日で1000単語」とした枠で勉強したほうが自然と間隔反復になって暗記効率が上がります。
結言
今回はアプリでの学習を例としましたが、テキストであれば「今日はこのページからこのページを暗記しよう」とやるのではなく、とにかくテキストを最後まで進めて何度も初めからやり直す、そのほうが遥かに暗記効率が高いものです。このやり方であれば自然と間隔反復になり、暗記に適した学習方法を行うことができます。
もちろんテキストの量が多い場合は多少区切る必要もあります。目安としては3~5日を1サイクルとして周回するのが良いでしょう。