忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

やたらと髪質で同情された

 住所変更に関連する手続き、ライフラインである公共サービスの手続き、転院や新しい病院の探索、などなど引越しをしたらやるべきことは様々あります。

 それらに続いてそこそこ優先度が高いものの一つに理容・美容関連があるでしょう。

 理容・美容関連の店はコンビニよりも数が多く、しかしコンビニよりも個性があります。腕の善し悪し、相性の良し悪し、好みの差異などなど比較項目は無数です。よって引越しをした先で新たに良いところを見つけるには運や努力といった何かが必要かと思われます。

 

適当でいいじゃないか

 などと書き出しつつ、年度初めの部署異動や引越しで理容室へ行く暇もなく伸びっぱなしになっていたボサボサ頭を整えるため、目についた理容室に飛び込んできました。

 まったくもって適当です。相変わらず前評判や口コミは調べず、「よし、髪を切ろう。この道を真っ直ぐ行って一番近いところでいいや」と選びました。選ぶ努力を完全に放棄しています。

 まあこの手のものはいくつか行って比較しなければ分からないものですし、たとえ失敗しても髪の毛ならば取り返しがつく事柄ですのでさっと飛び込んでみるのが正解、だと思います、と言い訳してみます。

 

 その日、真っ先に目についた理容室は、少なくとも若者は入らないだろう昭和風の外観をしたレトロな理容室でした。とはいえ長年続いているということは恐らく実力はあるはずだと信じてエイヤと扉を開けると、そこには新聞を読んで暇そうにしているご高齢のおじいさんがお一人。

 お、失敗したかなとさっそく思いつつもカットを頼んだところ、思ったよりもお喋りで、思った以上に腕は良く、特に問題ない仕上がりとなって驚きでした。適当に選んでもなんとかなるものです。

 

そんなに硬いか

 それはさておき、私の髪に触った理容師との会話が記憶に残っています。

「おお、これは凄いな」

「そうなんですか?」

「ああ、長年やってきてるがここまで硬い髪は珍しい。これは難しいぞ、下手に短くしたら全部立ち上がっちまう」

「ええ、まあ、今まで通っていたところでも硬くてよく立つ髪だとは言われました」

「短くすると立っちまうが、量があってクセが無いから伸ばすと収まりがつかないな、こりゃあ今まで大変だったろう」

「いやー、特にそこまで気にしたことはないですね」

「うーん、これは難しい、こりゃあ苦労してきたな」

あ、はい、まあ、ええ

 

 同情されてもどうにもコメントに困ると言いますか、私としては生まれてこの方この髪の毛としか付き合ったことがありませんので、それ以外を知らないから大変かどうかも分からないのですが。

 学生の頃は重さで落ち着くまで髪の毛を伸ばしていましたし、社会人になってからは最低限の清潔感を出すためツンツンでも気にせず短髪にしていたので、正直に言えばそこまで苦労という苦労をした記憶もありません。

 まあたしかに髪が指に刺さるくらいには硬いですが、それがどうしたという話ですし。

 

結言

 この手の身体的なものは他者と比較しても意味がありませんので、そもそも比べること自体が無意味だと思っています。優越感も劣等感も生じる必要がないことです。

 髪にしたって「もしも私があの人のような髪質であれば」なんて考えは個人の妄想に過ぎず、別の髪質にはその髪質なりの何かしらがあるわけで、その想像が何かをもたらすわけでもありません。

 

 そんな考え方ですので、そもそもこの髪質が大変だとか苦労とかは考えたことがありませんでしたし、それに同情的な言葉を掛けられたのも意外でした。

 つまるところ、当人にとってそれが普通であれば別にどうということはない、そんな話です。

 

余談

 この延長線上に各種の慈悲的差別があるのかもしれない、なんて重いことまでは言わないですが、少し地続きな気はします。