米中貿易戦争のニュースでちょくちょく麻薬の単語を見かけます。
正直なところ、麻薬問題に関してはさっぱり感覚が分かりません。
幸いにして麻薬とは一切縁のない世界で生きてきたため、どうして麻薬に手を出すのかも理解できませんし、麻薬に手を出したいと思ったこともありませんし、そもそもどうやって麻薬を手に入れるのかも分かりません。恐らく手を出す理由も入手経路も人づてなのでしょうが、そういった悪い人がいる世界に生きてこなかったため麻薬問題に関する直感的な理解は難しいと感じます。
思ったよりも大問題
実感的なものが無くとも人は数字を扱うことができます。
そんなわけで、今回はWorld Life Expectancyというサイトから麻薬のデータを見てみましょう。
麻薬の使用や支社に関してはWHOが詳細な統計データを提供していますが、それを個別に分析するのは大変なので、整理された情報を提供しているこの手のサイトは正直助かります。やたらと赤色の強いうさんくさい配色、データベース運営者の怪しさなど微妙に信頼しきれないところはありますが。
さて、健康に影響する様々な統計データから『10万人あたりの麻薬による死者数』のページを見てみましょう。地図に落とし込んで色分けされているのでとても分かりやすいです。
日本はLowを意味するグレーで、数値は0.33です。大体30万人に1人が麻薬によって死亡している数値となります。本データベースで統計がまとめられている183国のうち177位ですので、かなり適切に麻薬の取り締まりが機能していると言えるでしょう。私のような一般人が麻薬に触れる機会がそもそも無いのも納得です。
次に、話題となっているアメリカはHighを意味するレッドで、数値は21.28です。およそ4700人に1人が麻薬によって死亡していることになります。
そりゃあ問題視されるわけです。
この数値は183国の中でも圧倒的なワースト1位であり、2位のカナダ(8.70)をダブルスコアで上回っています。
要するに現在のアメリカは世界で類を見ないほどの麻薬常習国家です。そりゃあ社会問題にもなりますし、麻薬が身近な存在でもあります。
悪いビジネス
ちなみに、ふと気になったのが産地と使用地の差です。
麻薬の産地と言えばやはりアフガニスタンやミャンマー、メキシコやコロンビアあたりのはずですが、それらの国よりも欧米先進国のほうが麻薬による死者数が多い結果となっています。
これは麻薬が商品作物・換金作物であることがはっきり数値にも現れていると言えるでしょう。自家消費のためではなく金のためにだけ育てられています。特に麻薬は商品作物特有の問題である生産地の経済不安定化や飢饉リスクの増大だけでなく世界の安定性や人々の幸福を阻害しますので、「ダメ。ゼッタイ。」です。
結言
感覚的にはよく分からない麻薬の世界ですが、数字で見ると想像以上に欧米社会、特にアメリカを蝕んでいる問題なのだと分かりました。
解決が難しい問題であることは重々承知しつつも、技術者的な目線で言えば不正のトライアングルは「機会、動機、正当化」で構成されていますので、麻薬撲滅のためには何よりもまず機会を潰すことが必要だと思います。
余談
東アジア・東南アジア方面は麻薬優等生の国が多いですが、中国だけ少し成績が悪いです。なんとも、イギリスの爪痕が残っているような気がします。
余談2
雑な思索ですが、食料自給率の低い先進国が近くにあることは麻薬抑止に役立つのではないかと思いました。
欧米はアメリカやフランスのように食料供給源があります。対して東アジア方面の先進国は日本や韓国のように食料自給率が低く自活できていません。それらの国には自家消費も可能な普通の食料に需要があるわけで、わざわざ麻薬なんて食えないものを作って売る意味がない、だから東アジア・東南アジアでは麻薬がそこまで流通していないのではないか、なんて。
もちろん文化的な側面や歴史的な推移など麻薬の多寡は様々な原因が分析されていると思いますので、これは実に雑で意味の無い思索です。