忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

アジア版NATOの非現実と国際的な世論の変化

 

 昨今の国際的な時事問題はアメリカさんが大暴れしていてすぐに目新しい情報が更新されてしまうため、ちょっとストレートに触れにくいです。さらにはそれに振り回されてやたらと極端な陰謀論めいた言説も無数に飛び交っており、軽く拾うだけでも火傷しそうな雰囲気を感じます。

 

アジア版NATOの非現実性

 それこそ例えば先日は「アメリカが信頼できなくなった今、アジア版NATOが現実味を帯びてきた」なんて言説を見かけました。

 正直、ちょっと意味がよく分からないです。

 ロシアとウクライナの状況を中国と台湾に置き換えて、アメリカの安全保障が信頼できなくなったとするのが言説の根底にあるのでしょうが、地理的に見たアメリカにとってのウクライナと台湾はイコールではありません

 前提として、「アメリカが覇権国家であるためにはシーパワーの維持が不可欠」であり「そのためには太平洋・大西洋の軍事プレゼンスを維持」することが重要で、要するに太平洋にある日本や台湾はアメリカの庭先です。

 もっと単純な視点で言えば、太平洋戦争とはまさに太平洋を取り合う戦争でした。太平洋はその戦争に勝利したアメリカの領域であり、アメリカにとっては核心的な利益です。

 よって太平洋の領域を失うことはアメリカにとって許容できない以上、太平洋にある同盟国は優先的な協力対象のままです。

 嫌な現実ではありますが、アメリカにとって台湾は守る価値があり、ウクライナは台湾ほどではありません。だから米共和党はウクライナに対してお金を出し渋っているとも言えます。

 西側諸国からすれば非常に同意しがたい現実ではありますが。

 

 また、アジア版NATOの目的は大元のNATOと同様、アジアでの膨張主義に対する集団安全保障のはずであり、もっと直球で言えば中国への牽制が目的とされています。

 よってアジア版NATO構想にはそもそもアメリカも入っていることが前提です。

 というかアメリカが居なかったら他に対中国で核兵器を持っている国はありませんので集団安全保障が機能しません。アメリカの居ないアジア版NATOは無意味です。

 ですので、「アメリカが信頼できなくなった今、アジア版NATOが現実味を帯びてきた」は正直なところあまり意味のない言説だと言えます。それっぽい文章ではありますが、前段と後段に繋がりはありません。

 

 まあ、そもそも論としてアジア版NATOは現実的ではありませんので、アメリカの方向性がどうなろうとあまり関係なかったりします。

 

結言

 バックグラウンドを理解していれば分かるものの存外難しく充分議論の余地がある話題「アジア版NATOの現実味」ですら一日二日で流れ去ってしまうほど情報の更新が早い昨今、一日一回更新のブログでは国際時事を取り上げにくいので困ったものです。

 元々そこまで時事を取り上げるつもりもないのですが、気になった時は時々取り上げていますので、それが出来ないほどスピーディでドラスティックな現状はどうにも乱世感を覚えていまい、非常に落ち着きません。

 

 そう、乱世感です。最初は米大統領の破天荒さに引き摺られて国際世論も乱暴化しているのかと思っていましたが、乱世感が高まって人々が焦燥を覚えているから言説が乱暴になったりやたらと情報の流通が増えたり混乱しているのではないか、最近はそう思います。

 どうにも、嫌な現実です。