忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

ビジネスにこそコスパ・タイパの概念を

 

 コスパやタイパなど、支払ったお金や時間に対するパフォーマンスを意識する言葉があります。プライベートでそういったことを意識するよりも、パブリックや仕事でそういった意識を持ってもらえたらと個人的には思っています。

 

弥縫策の愚

 社会人の基礎知識である問題解決手法とは、【問題の明確化】にして、データに基づいて【原因の特定】をし、その原因に対して【解決策の立案】をしたうえでそれを実行して【対策の検証】によって改善効果を確認し、問題が解決するまでPDCAを繰り返していくフレームワークです。

 非常に初歩的かつ当たり前のやり方ですのでそこまで難しく考える必要はありませんが、実際にいざこれが厳密に出来る人は意外と少ないものだと感じます。問題が起きた時に「とにかく手当たり次第思い付く限りのことをやる人」がいることはよくあるパターンです。

 弥縫策を繰り返してなんとかしようとする行為は実に宜しくありません。問題と事象は別物であることを適切に認識せず問題解決のプロセスを疎かにした場合、必要以上にロスが生じることとなります。

 起きていることそれ自体は事象に過ぎないものです。事象を分解しなければ問題を認識できず、問題を認識できていなければ具体的な原因が分からず、原因が分からなければ実際的な対策を打つこともできなくなります。

 

 例えば仕事で使っているパソコンが動かなくなったとしましょう。

 問題解決思考を用いないで弥縫策的に行動する人は、バッテリーを変えてみたりモニターを買い替えたりすることで解決しようとします。もちろんこれは極端な話であり実際にそこまでする人はあまりいないとは思いますが、もっと抽象的であったり大きなトラブルの時はこのような手当たり次第のやり方をする人が散見されます。

 パソコンが動かなくなること、それは問題ではなく事象です。実際にはパソコンが壊れようと壊れなかろうと仕事が滞ることが問題です。

 よって対策は人なり機器なりに冗長性を持たせて仕事が常に進むように仕組みを変えること以外にありません。

 仕事が滞ることを問題と認識しないと、いざ手間暇を掛けてパソコンを直したとしても今度は別の部品が故障してまたパソコンが動かなくなったり、何かしらのトラブルがあってその仕事をできる人がいなくなったりして、仕事が滞る問題は結局いつまで経ってもモグラ叩きのように発生し続けることになります。問題の原因はバックアップが無いことであって、パソコンの部品のどこが壊れたかなんてことは些末な話です。

 

結言

 要するに、問題解決手法のフレームワークに則らず弥縫策的に手当たり次第思い付く限りのことをやる行為は、具体的な問題解決の役に立たず、それどころか適切な問題解決に用いるべきリソースを無用に持ち出し、その無駄によって本質的な問題解決を阻害する悪しき行為に他なりません。支出したお金や時間に対するパフォーマンスは著しく低く、弥縫策はコスパ・タイパの面で非常に劣っている愚策であり、可能な限りそのような浪費を避けて問題解決手法を適切に使いこなす必要があります。

 もちろんトラブルにおける目先の消火は大切です。とにかく別のパソコンを引っ張り出してきて今すぐ仕事を処理しなければならないこともあるでしょう。

 しかしそれは弥縫策であることを重々承知して後に適切な問題解決を実施することが前提です。お金や時間は有限であるのにただ思い付くままにリソースを投入することはやはり不適切であり、問題解決手法によって原因を特定したうえでやむを得ず行うべき方策でなければなりません。