属人性とモチベーションの話。
人の企画書
企画部署へ異動して約1年。自分で書いた企画書はまだそこまで動きが進んでいないため、仕事での比率は引き継いだ企画書のフォローのほうが多くなっています。
前任者が書いた企画書に対して、会議の場で「どういう理由でこの内容を書いたんだ」「この根拠はどういう理由だ」なんて問い詰められましても(知らんがな!書いた人に聞け!)と思うしかないのですが、参加者からすれば誰が書いてどう引き継がれたかなんて知ったことではありませんし一切関係ありませんので、こちらとしてもその場凌ぎで「(たぶん、知らんけど)これこれこういう理由です、その点についてはご指摘いただいた意見を参考に再検討させてください」と答えるのが関の山。
建設的な討議が行われる会議は健全ではありますが、仕事が増える実務側からすれば疲れます。
属人性とモチベーション
人に仕事が就くよりも仕事に人が就く状態の方が持続可能性は高くなります。属人性が高く「その人しかできない」状態は人員の流動性を損ねたりトラブル時に業務が滞ったりと色々と問題を引き起こしますので、誰がやっても結果が出せる状態にすることが営利団体にとっては理想的です。
ただ、そうやって仕事を定型化して人を代入する仕組みは大きなデメリットもあります。それは労働者のモチベーションが上がらないことです。
人は自分の思い付きや意思に基づいて行動することは楽しめますが、人から押し付けられたり人のアイデアで行動することはあまり楽しめません。適度な自己効力感と自由度が無ければモチベーションを維持することは叶わないでしょう。
仕事の属人性が無い状態とは「人の書いた企画書の説明」をするようなものであり、そのような状態を楽しむには相当な努力と才能が不可欠です。
よく「言ったもん負け」と呼ばれる類の、何かしらの提案や改善策を提唱した人が全てを押し付けられるせいで誰も提案を出さなくなる悪しき組織風土があります。
もちろん「言ったもん負け」になるのは宜しくありません。しかしその真逆で「誰かの提案ばかりをやらされる」状態が良いかと言えば、それも疑問です。それではやる気は損なわれる一方となります。
要するにバランスの問題です。
言った人に基本的には任せるものの権限と責任を適切に付与して予算なり業務配分なり人員なりをちゃんと配慮すればアイデアマンは自己効力感とモチベーションを高めたまま仕事をできるので続々とアイデアを出すようになりますし、補佐を好む人はそういったアイデアマンのフォローをするポジションにつけばやはり仕事がやりやすいでしょう。無理やり仕事に人を代入するのではなく人に仕事を合わせていくこともある程度は必要なのではないか、私はそう考えます。
結言
私の話はだいたいバランスが重要だと結論付けます。
実際、大抵の物事は極端に振れていると宜しくないものです。悪いと言われている事柄もそれを真逆にしてみたら同程度に悪いことは多々あります。
悪い部分を無くそうとして新たな悪さを生まないように、結局のところ中道的視点でバランスを取ることが最適解です。
そうやってバランスを取ることが実際は一番難しいのかもしれませんが。