人に仕事を上手く頼めるようになってこそ一人前。
上手く頼めるようになりたいものです。
丸投げと、そうではない依頼
ビジネスとは人と人のやり取りであり、大抵のビジネスプロセスでは誰かが誰かに依頼をする行為が発生します。
もちろん特殊なパターンとして、ゼロから一人で作り上げるような生産物を作る人は他人から依頼を受けませんが、それもある意味では内的な依頼、自身で自身に依頼を行っているとも言えます。
何はともあれ、ビジネスにおいて「仕事の依頼」は極めて一般的な行為です。誰もが日々依頼をし、依頼をされて仕事をこなしています。
仕事の依頼においては概ね2種類のパターンがあります。
一つは普通の依頼であり、もう一つは仕事の丸投げです。
これらは近しい行為に見えますが、前者は特に問題とされず、後者は特に受託側に不満をもたらします。
丸投げとそうではない依頼は何が異なるのか、その差異についていくつかの言葉をもって検討してみましょう。
情報の差
まず、これらの間には情報の差があります。
通常の依頼はその仕事の目的や背景、責任や権限について明確であるのに対して、丸投げの場合はこれらの情報共有が不明瞭です。
目的や背景が共有されていない仕事は達成の目安が分からず、そして人はゴールが見えないレースを強いられると非常に負担を覚えます。
責任や権限も同様です。丸投げされた仕事とは自由度が高いように見えて、その実、範囲が明確に定まっていないため窮屈なものです。たとえ広い森の中に居ようとも、霧が濃ければとても狭く感じるでしょう。そんな状況を人は面白いとは感じ難いものです。
さらに言えば、丸投げの仕事は権限が曖昧なために責任転嫁が生じる可能性も高くなります。
普通の依頼と異なり仕事を丸投げされるとなぜ負担を感じるのかは概ねこれらのワードで説明が付きそうです。
共創か否か
次に、「共創」の概念で考えてみましょう。
先に述べたように、ビジネスでは誰かが誰かに依頼をする行為が当たり前に生じます。
それは専門性による分業であったり人数による処理能力の向上を目的としていたりと多様な理由によるものですが、何にしても仕事の依頼とは本質的に共創です。誰かが誰かに依頼をすることでより良い結果がもたらされるため、ビジネスでは仕事の依頼が発生します。
対して丸投げでの依頼は共に創り上げるものではなく、共創の理念から外れています。つまりはビジネスプロセスとして望ましい発展的・進歩的な構造ではなく、だからこそ本能的に拒絶される行為です。
信頼の対価
或いは信頼でも説明が付くかもしれません。
通常の依頼は「任せる」行為です。単に作業を渡すのではなく、相手の判断力や経験、力量や価値観を尊重し、判断の余地ごと託して期待する行為であり、言い換えれば相手に対して信頼という名の通貨を支払う行為です。人は誰かに何かを頼む時、直接的な金銭の介在の有無に関係なく、無形の信頼を支払っています。
一方で、丸投げにはこの信頼の通貨が存在しません。信頼を払って任せるのではなくタダで押しつける行為に他ならず、それを好んで受け取る人はそうそう居ないでしょう。
結言
色々な切り口で普通の依頼と丸投げの違いを考察してみました。
どの考え方が適切かは分かりませんが、何はともあれビジネスでは仕事の依頼が常に生じ続けるものであり、丸投げをせず上手く依頼をできる人こそが良いビジネスパーソンです。
それはある意味で極意なのでしょうが、私も色々と考えつつ上手く依頼ができる人間になれるよう努力したいと思います。