興味本位で意見を収集してみた。
私の考え方
最初に私のポジションを明確にしておくと、「台湾有事は日本有事だと考える」「起きる可能性は低いが、備えない理由はない」「起きると困るので起きないように抑止すべき」とした考えです。
どう考えても日本は物理的に巻き込まれますので、台湾有事が起きないように軍事的にも外交的にも経済的にもありとあらゆる手段をもって必死に阻止すべきだと考えます。
今回は反対の意見をネットで収集して、自論と突合してみたいと思います。
読んだ人がどちらに賛同しても構いません、論破したいと思っているわけではなく、私の意見と別の意見を両論併記したいだけです。私は両論併記肯定派の人間ですので。
なるべくバラエティ豊かに
そんなわけで、いくつか意見を収集してみましょう。
>>中国が勝つ見込みのない戦争をするとは思えない
同意です、勝てないうちはやらないでしょう。そして現在のシミュレーション結果では日米台VS中で戦った場合は中国が必ず敗北するとされています。逆に、日米の協力がなければ台湾の必敗です。
つまり日米の軍事力が抑止力として機能している以上、中国が勝つ見込みがないと思う程度の軍事プレゼンスを日米で配置しておくことには意味があると考えます。
>>経済的に不合理であり、戦争を望むはずがない
これはCapitalist Peace(商業的平和論)ですが、残念ながら戦争は経済的に非合理的でも起こりますので理論としてはすでに衰退しています。世界大戦やロシアでも説明できますが、何より経済的合理性を無視して資源や産業を依存していた国に宣戦布告をしたわれらの大日本帝国の事例が恥ずかしながら証左です。
>>国際的な非難や孤立を引き起こすことから戦争は起こらない
困ったことに常任理事国はそれを無視できるだけの力があることをアメリカやロシアが証明していますので、あまり有効な言説ではないと思います。そもそも中国が侵攻したとしても、アフリカの途上国を筆頭に侵攻へ賛同する国の方が下手したら過半数を超えるでしょう。
>>台湾は台湾であり、台湾有事は日本有事ではない
中国が台湾進攻を成功させるためには日米の軍事力を排除する必要があり、それができないから現在は軍事的衝突を避けることができています。それは「中国が勝つ見込みのない戦争をするとは思えない」でも述べたように合意できる点のはずです。
つまりいざ台湾有事が生起した場合、中国は勝てると踏んでいるわけで、その場合で真っ先に攻撃するのは日米台の空港です。勝てるのだから反撃を気にせず、むしろ損害を減らすために最優先で攻撃するでしょう。
その結果として日本の国民や国土に被害が出ますので、台湾有事が起きた場合は必然的に日本有事(武力攻撃事態)になります。日本が積極的に参戦するかどうかは無関係です。勝てると踏んだ中国からすれば攻撃しない理由がむしろありません。
>>仮定に基づいて危機感を煽るべきではない
これは逆で、日本としては他国の戦争へ積極的に関与したくない、だからこそ中国が「チャンスあるかも?」と誤認しないように軍事でも外交でもメッセージを送る必要があり、「うちは危機感覚えてますよ、チャンスないですよ」とアピールすることに意味があります。
「うちは危機感なんて覚えてませんよ」なんて発信するほうがよほど「チャンスあるかも?」と誤認させかねません。
>>戦争になれば外資が逃げて失業者がたくさん出るので戦争はしない
困ったことに、そして嫌な話ですが、最高の失業対策は戦争です。皆兵隊に引っ張っていけばいいので。
ですので、この理屈は残念ながら成り立ちません。
>>台湾有事を煽ることで軍事予算を増加させようとしている
そういった側面はあり、少なくとも各国の軍は戦力の均衡を保つために予算を必要としていることから世論の理解を得たいとは考えているでしょう。それは日米中台の全部がそうです。
ただ、基本的に軍隊は戦争を好みません。そもそも戦争で優先的に命を失うのは兵隊であり、大抵の軍人は戦争なんか起きないほうが良いと思っています。
そして今時「戦争が起きれば出世できる」なんてことも言えず、兵器の射程距離が地球全体にまで広がった現代戦では高級将校も狙い撃ちにされます。そんなリスクを冒すよりも無駄飯食らいの公務員として安全に給料をもらっているほうが誰にとっても理想的です。
よって、軍隊が待遇改善ではなく正面装備のために予算を求めている状況を陰謀論的な策謀だと安易に片付けるべきではないと考えます。
結言
現実的には中国が軍事的なチャレンジに走る可能性は低く、政治的・経済的な浸透を優先するとは思います。
ただ、それは「軍事ではチャンスがない」とちゃんと地域的なコンセンサスが取れている場合に限る話であり、日本も東アジアの国家としてそのコンセンサスに沿って「チャンスはないからやっちゃ駄目だぞ」とありとあらゆる手段を持って発信する必要があります。
ロシアのように、「いけるかも?」と国家が誤解することが何よりも戦争の引き金になるのですから。
余談
こんな記事を下書きに置いていたら、ちょうど関連ニュースとして『トランプ大統領が台湾への4億ドルの軍事支援パッケージを承認しなかった』といったニュースを見かけました。
今までの支援額からしてそこまで大きな金額ではありませんし、大統領が承認を見送ったり停止することは珍しいわけでもありません。また、他のニュースソースを見ると米台の軍事協力は今後も強化されていくと発表されていますので、アメリカのメッセージが変わったわけではありませんし騒ぐほどのことでもありません。
ただ、まあ、不安になるのは分かります。元々アメリカは外交が上手くないとはいえ、アメリカの内政問題は外交に影響が出ないようにやって欲しいものです。