内政不干渉の原則はどこまで有効なのか。
国際関係論・平和学・倫理学などに興味あり
もう少しだけ台湾有事の話をしましょう。
少し頻度が多いと思われるでしょうが、私の関心分野の中でも「戦争と平和」はかなりの比重を占めており、台湾問題に関しては注視しているため語りたいのです。
そもそもロシアとウクライナの戦争しかり、中国と台湾の軋轢しかり、どちらも隣国で起きている事態ですので、気にしないわけにはいきません。
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さて、私の考えとしては「戦争を抑止するため、地域の関与している国家は日本を含めて積極的に行動を取るべき」と考えていますが、これに対する反論として内政不干渉の原則が挙げられるかと思います。
「中国と台湾は一つの国家であるとアメリカも日本も承認しているはず、すなわち中国と台湾の問題は内政問題であり、他国が口を出すべきではない」
これが国際慣習的に妥当かどうかを考えてみましょう。
内政不干渉の例外
内政不干渉の原則は国連憲章の第2条第7項で明記されていますし、国際慣習法としても効力を持っています。
この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7章に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
ただ、当然ながらこれは無制限のものではなく、国連憲章の第7章でも述べられているように人権や武力行使の問題は例外です。たとえ国家内部の問題であろうとも人々の人権が蹂躙されていたり内戦が生じている場合は国際社会が干渉を認めることもあります。
もちろん国際社会は民族自決を是としており、他国からの限度ない干渉が許容されるわけではなく国連憲章第7章に則った方法論が必要ではあります。
しかし人権や平和を守るためには例外的に他国が良い具合に干渉する必要もあることは、それこそミャンマーやシリア、ユーゴスラビアやソマリアなどが良くも悪くも証明してきたと言えるでしょう。
また、日本やアメリカは台湾有事を「自国の安全保障や経済的利益に関わる問題」と位置づけた発言に終始しており、国際法上は内政干渉と区分されない、正当な安全保障措置と認定されています。国際社会はそれを熟知しており、日本やアメリカに対して内政干渉だと批判する声が中国以外の諸外国からは無いようにです。武力行使の予防や地域安定のための発言・準備は内政不干渉の原則における例外として規定されており容認されます。
結言
要するに、「台湾はこうすべきだ」とか「中国はどうすべきだ」と他国の政府が語ることは内政干渉ですが、人権や武力行使に対してであれば内政干渉との批判は的外れとなります。
なんとも、ややこしくて難しい話です。