大人げない話を大人のように話す。
せっかち人間
個人的な趣味として、質疑応答においては「当意即妙」「丁々発止」「打てば響く」などで表せる状態を好みます。相手方の質問に対して口ごもったり質問意図を適切に読み取らずポヤポヤした回答をする人がいると、口には出さないものの(黙ってないでとりあえずちゃっちゃと話せばいいのに) (そういうことを聞かれているわけじゃないだろう)などと思ってしまう辛辣なタチです。
「打てば響くように言葉のキャッチボールができる人」と「口ごもってしまったりピントのズレた回答をしてしまう人」の差異。
それは頭の回転速度や知識量といった表面的な賢さの差ではなく、単純に認知モデルの違いや習慣にあると考えます。頭の回転が速く物凄いスピードで"ピントのズレた回答"をする人もいるように、適切な質疑応答は技量依存です。
すなわちスペックではなくスキルの違いであり、訓練次第でどうにかなる、かもしれません。
もちろん質問に答えられる程度の最低限の知識量と自信は必要ですが、今回はその先で差が出る原因と対策について検討します。
質問は「クイズ」ではない
ポヤポヤ回答をする人は質問を”そのまま文字列”の一次元情報として受け取り、背景・前提・目的などを推論せずに「何を聞かれたか」だけにフォーカスしています。言うなれば、「質問」を「クイズ」のように捉えて、正解を返そうと模索する認識です。
対して、打てば響く人は質問を”ただの文字列ではない”多元的な情報として受け取ります。質問には何らかの意図や目的、背景や懸念があると推論し、質問の文字列そのものではなく背景にある論点を抽象化して把握しようと考えるものです。「質問」は「クイズ」ではなく「共通認識に至るための共同作業」と捉えます。
両者の見分け方は簡単で、打てば響く人は再質問を躊躇いません。「クイズ」に正解しようとする意識が無いためです。
打てば響く人は、必要であれば「回答の方向性はこちらで正しいか」「質問の意図をこちらが読み取れているか」「要約すればこういうことか」などなど適宜再質問を行うため、口ごもることもなければピントのズレたポヤポヤ回答をすることもなく、速やかに共通認識と合意が形成されていきます。
よって当意即妙な質疑応答をするためにはまず「質問」は「クイズ」ではない、これを認識することから始めるのが良いでしょう。
打てば響くようになるための考え方
スキル的な面でのトレーニングや習慣も考えてみましょう。
まず、口ごもってしまったり質疑応答が苦手な人は再質問に慣れることが第一歩です。
特に「今の質問の意図はつまりこういうことですか?」と、質問に対する推論と要約を再質問してみることが効果的だと考えます。当たっていればピントの合った回答ができますし、外れていてもピントが合っていないことは判明するので、ピントを合わせ直せばいいだけです。
次に、質問を受けたらどこに注意を向けるかです。
「クイズ」だと思い込んでいると、正解を検索するために"自分の頭の中の情報"に注意が向きますが、しかしそれでは質問意図を掴み切れていなかった場合にポヤポヤした回答となってしまいます。
そうではなく”質問者の頭の中”に注意を向けることが適切です。何を知りたいのか、なぜ今それを聞くのか、何を比較しているのか、どんなリスクを気にしているのか、どういった思考材料を欲しているのか、そういった方面へ注意を向けて予測あるいは再質問して確認することが良いでしょう。そうすれば相手の質問に対して本当に必要な情報を返せるようになり、スムーズに質疑応答が進みます。
質疑応答の全体をメタ認知することも効果的です。
「クイズ」は一次元的で、一つの問題に一つの答えがあります。
対して「質問」はもっと多元的で、深い疑問を解消するためのジャブであったり相手も本意を認識していないうえでの問いであったりするものですので、質問それ自体だけでなく流れや全体をモニタリングしなければなりません。
今の回答は相手の目的に合っているか、相手はまだ何か疑問をもっているか、次に来る質問は何か、どの程度の粒度で答えるのが適切かなど、状況をメタ的に捉えることが良いでしょう。
結言
打てば響くようになると、質疑応答を受け身に答えるのではなく質疑応答の流れ自体を自ら設計することができるようになります。先回りして相手の疑問に答えられるようになれば、質疑応答は恐れるものではないどころか得意分野にすらなれるでしょう。