忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

政治思想と属性(アライメント)

 

 趣味の試み。

 

属性(アライメント)

 世界で最初のロールプレイング・ゲームとして名高い『ダンジョンズ&ドラゴンズ』には属性(アライメント)と呼ばれる分類があります。

 これは人々や生物、社会の倫理観や道徳観を分類したもので、倫理(秩序⇔混沌)と道徳(善⇔悪)の二軸で表現されて、中立を含めた合計9種の特性が提供されます。

 

秩序にして善 中立にして善 混沌にして善
秩序にして中立 真なる中立 混沌にして中立
秩序にして悪 中立にして悪 混沌にして悪

 

 秩序は名誉や信頼、権威への服従や頼りがいを意味していますが、その一方で法を順守することへの偏狭さや固執、適応力の欠如といった側面も含まれます。

 混沌は自由や適応性、柔軟性などを意味しており、同時に無謀さや正当な権威への反感、無責任さといった負の側面も含まれます。

 秩序と混沌に対する中立とは、権威に対しては正常な敬意を払い、規則に従う義務も反抗する義務も感じない立場です。

 

 善とは利他主義、命への敬意、他者への尊厳や配慮を意味します。他者を助けるために個人的な犠牲を払うことを厭わない属性です。

 悪とは、他者を抑圧し、害することを意味します。他者への思いやりもなく、自身の都合で他者を扱う属性です。

 善と悪に対する中立とは、罪のない人を害することには抵抗を感じ、他者のために犠牲を払うことは望まない考え方です。道徳的な指標ではなく、個人的な人間関係を通じて物事を判断します。

 

 これらに親しんだ人であればこの分類は理解しやすいですが、慣れない人からすれば秩序と中立の違いなどが分かりにくいかと思います。

 説明がてら、あえて実際の政治思想や態度をこのアライメントによって分類してみましょう

 まあ、要するに個人的な趣味の遊びです。

 

秩序にして善

 「制度化された善」「正義の規範を守る善」に当たる属性で、融通が利かない側面はありますが、規範によって社会正義と善を為そうと考える人々です。

 ポリティカル・コレクトネスを推進する人、自由より正しさを優先する気質、人権を絶対的な規範として扱うリベラル派や社会民主主義、正義のために法改正を求める活動家などが該当します。

 

中立にして善

「柔軟な善」「多元性と自由の両立」を是とする属性で、本来的な自由民主主義、多元主義的リベラルやロールズ的なリベラルが該当します。「秩序にして善」との大きな違いとして、この属性は「制度や規範は自由のための手段」と捉えて、制度や規範よりも自由を重視する考え方です。

 

混沌にして善

「自由のために秩序や規範を疑う善」であり、古典的な自由主義や左派リバタリアン、市民的不服従や反権威主義的リベラルが該当します。

 権威には抗いますが目的は善であり、非暴力の座り込みや抗議を行う市民運動などはこの属性です。

 

秩序にして中立

「秩序そのものを重視」して目的意識のある変革は取らない性質であり、官僚主義や法治主義、保守的な立憲主義など、システマチックな持続性を是とする属性です。官僚や行政的な性質とも言えます。

 

真なる中立

 「中立・調停・実利」を好み、善悪よりも現実的に最適な解を是とするタイプで、テクノクラシーや日和見主義、実務的な政策志向が該当する属性です。学者や専門家、紛争の調停者などが該当することが多いと言えます。

 

混沌にして中立

「自由そのものを最優先」とする、右派リバタリアンや無政府主義者、強烈な個人主義などが該当します。極端な場合、「国家の存在そのものが悪」と考える無政府主義者や「政府は信用できないから全部拒否する」タイプもここに当てはまるでしょう。

 

秩序にして悪

「秩序を利用して支配する」タイプの属性であり、権力を乱用する権威主義者や官僚機構による独裁、監視国家などが該当します。治安維持法を悪用していた特高や行政権力を駆使して市民を抑圧するような政府はこの属性です。

 

中立にして悪

「利益のために何でもする」属性です。腐敗政治や利権政治、企業ロビー活動の悪用や極端な拝金主義などが該当する性質で、善悪よりも利益を重視します。

 

混沌にして悪

「破壊的な反秩序」であり、過激派や破壊的なポピュリズム、暴力革命など暴力を伴う思想です。暴力的な破壊行為を正当化する極端な活動家や、社会秩序そのものを攻撃したい人もこの位置にいます。

 

パターン:道端で人が倒れていたら

 誰かが道端で倒れていた場合、それぞれの属性は次のような態度を取ると考えられます。

秩序にして善

義務に基づき助ける

中立にして善

柔軟に助ける

混沌にして善

衝動的に助ける

秩序にして中立

手続きに従う

真なる中立

実利で判断する

混沌にして中立

気分で決める

秩序にして悪

利益のために形式だけ守る

中立にして悪

利益が無ければ無視

混沌にして悪

無関心

 

結言

 どれが偉いというわけでもなく、理解促進のための個人的な区分です。

 

「そもそも自由主義は定義が広すぎる」

「ポリコレ的な自由主義と無政府的な自由主義は真逆だし、大きな政府を好むリベラルと、小さな政府を好むリベラルも別物だ」

「多元的な自由主義を概観するためには別の指標を持ってきたほうがいいだろう」

と思ったので、D&Dのアライメントを持ってきて考えてみました。