忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

プロ意識に関する諸考察

 やる気やモチベーションに依存せず為すべきことを為すのがプロ意識というものです。プロ意識を持っている人は愚痴を言いながらでも機嫌を損ねながらでも必要なことを必要な時に実行します。どれだけやる気や気合に満ち溢れていたとしても為すべきことを為さない人はプロとは呼べません。プロとは経過によって示されるものではなく結果によって現れるものです。

 やる気やモチベーションを高める方法のようなノウハウが巷では溢れていますが、極論、そういったものは無くていいとも言えます。やる気があっても成果を出せない人よりもやる気が無くても成果が出せる人のほうがプロであり優れています。とても厳しい言葉ですが、「結果の出ない努力は努力とは言えない」というのが社会の現実です。

気分を無視すべきではない

 とはいえ体調が悪い時に物事へ積極的になることが難しいように、気分や調子というものはどうしても存在します。心と言うものが誰にも存在する以上、見て見ぬふりをして無いものとして扱うほうが後々に問題を引き起こしかねません。

 またやる気やモチベーションが低いと仕事の質が下がりえるということは、逆に考えればやる気やモチベーションが高ければ仕事の質も高めえるということでもあります。心が落ちている時でも為すべきことを為すのがプロではありますが、逆に心がアガっている時は為すべき以上を為せるのがプロでもあるのです。

 つまるところやる気やモチベーションが重要でそれさえあればいい、というわけではなく、結果を出す、為すべきことを為すという前提条件はありますが、その先の段階としてやる気やモチベーションがアガるように管理するというのも必要だということです。やる気やモチベーションといったもののコントロールは新人や若手ではなくむしろプロにこそ求められる技能になります。

プロ意識の持ち方

 仕事の効率的なやり方や手法に関する情報はやる気の上げ方と同様巷に溢れています。しかしプロ意識の持ち方はなかなか具体的な教育手法が定まっていません。プロ意識を醸成するのは大変に難しいものだからです。

 プロ意識を持つ方法は言葉にすれば簡単です。仕事に対して責任感を持つことです。責任感こそがプロ意識の正体です。どれだけしんどい気分だろうと肉体的な辛さがあろうと自らが為さなければならないことを期日内に必要な品質でアウトプットするという責任感をプロ意識というのです。

 しかしながら言葉にすれば簡単なのですが、責任感がある人、つまり自律できる人を社会人になってから育成するのは実のところとても難しくあります。自律できるかどうかは幼少期や青年期の環境や教育に依存するところが大きく、成人期になってから変えるのは難しいからです。とはいえ昨今では企業も若者の教育の一端を担わなければいけないという情勢である以上、社会も成人の責任感をどう育成するかを本気で考える必要があります。

 若手にプロ意識を持たせる一番簡単な方法は、少し古臭い方法ですが上司や先輩の背中を見せて育てることでしょう。上司や先輩が責任感を持ち、プロ意識を持って働いていれば後輩は自然と同様に育っていきます。それが難しいんだという職場もあるかもしれませんが、上司や先輩がプロ意識を持っていないような職場で後輩にプロ意識を求めるのは強欲というものです。まずは率先垂範、リーダーや前に立つ人こそが模範を示さなければいけません。

プロ意識の利得

 「仕事なんてお金稼ぎが目的であって、プロ意識みたいな意識高いことは考えたくもない」という価値観があることも分かります。しかしなんだかんだ仕事は人生のほどほどの部分を占める人が多数です。フルタイムの労働者であれば諸々込みで一日8時間以上拘束されるわけで、それだけの時間を退屈と苦痛と我慢で占めるのはモッタイナイです。

 プロ意識を持つと顕著な利点が一つあります。なんと、仕事が楽しくなるのです。ええ、変なことを言っているのではなく真面目な話です。プロ意識を持って仕事をするということは前向きに仕事へ向き合うということであり、そうすると仕事から達成感や満足感を得やすくなります。それは自己肯定感にも繋がりますし、承認欲求や自己実現欲求といった高次の欲求を満たすことにも繋がります。

 仕事がつまらないから後ろ向きになるのではなく、後ろ向きだから仕事がつまらなく感じるとも言えます。そうであれば反対に、前向きであれば仕事が楽しくなるのは道理です。

最後に

 プロ意識に関する思うところをいくつか書き連ねてみました。個人的にはプロ意識を持って仕事をしたほうがお得だと考えています。とはいえそうはできない仕事があることも重々承知してはいますので、誰にでも薦めるわけではありません。ただ少なくとも研究開発職やエンジニアはプロ意識を持つに足る職場・仕事であることは間違いありませんので、そのような仕事をしている人はぜひともプロ意識を持つといいでしょう。

 

余談

 私は世間では多数派とは言えない「仕事が好きな変人」であるため、プロ意識を押し付け過ぎないよう気を付けなければいけないタイプです。誰もが仕事を好きになるなんて誤解をしてはいけないと戒める必要があります。

 なんというか、研究開発職やエンジニアは基本的に仕事が楽しいのでずるいですよね。(技術屋の妄言)

 ただちょっと思うこととして、仕事が辛い=仕事がつまらない、というのは等式が誤っていると考えています。技術屋の仕事は別に楽なわけでもなく辛いこともあります。でも辛いけども楽しいのです、マゾヒズムとかそういうわけでもなく。

 辛い辛くないと楽しい楽しくないは必ずしも連動していないという考えです。これはこれで別記事を書けたら書いてみます。