忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

社会全般

快適さの人権化:トイレ論争に対する一意見

最近、トイレの男女比や行列を巡る話がネットで不定期に燃えているのを見かけます。 同じような構図の対立が起きているため、並び立っている論点の整理をしてみました。 論点のクラスタ 整理すると、概ね以下のような立場が入り乱れています。 面積配分がゼ…

「平和」という同じ根から伸びた異なる枝

このブログでも度々言及してきたように、私はどちらかと言えば相対的平和主義を支持しています。国際政治はアナーキーであり、透明性と信頼形成を伴いながら能動的に軍事力を設計・運用して均衡を取ることが結果として戦争を防ぐことになると考える次第です…

利己主義を社会で包摂する仕組みの検討

このブログでは幾度か利己主義に対する苦言を呈してきました。 個人主義との違いを整理したり、個人の悪と社会の悪の話をしたりと、切り口を変えては同じ対象を突いてきたように思います。 今回はもう一歩踏み込んで、利己主義に対して社会はどう対処すべき…

「分からない」という言葉が隠している二つの軸

腑に落ちる、腑に落ちない。 知っている、知らない。 分かる、分からない。 冒頭から余談 私は絶妙に保守的なところのある人間なので、ビジネス用語である「腹落ち」に納得いっていない派です。「腑に落ちない」が元で、その変形として「腑に落ちる」までは…

「アインシュタイン」の比喩が隠す剥奪と差別

珍しく、今回は抽象化したトピックではなく、SNS上のやり取り観察から話を始めます。あまりブログでは取り上げないトピックではありますが、気まぐれに取り上げてみます。 批判と反論 先日、SNSでこんな投稿が話題になっていました。 「ただ女性に生まれたと…

苦痛を最小化するため、全ての動物を管理下に置くのはどうだろう

とても極端な思考実験。 自然状態は必ずしも幸福ではない 動物愛護・畜産やペットへの批判に関する議論を見ていると、ある暗黙の前提があると感じます。 それは、自然な状態こそが幸福である、とした前提です。野生・自然な状態を「あるべき姿」として、それ…

神は死んだ しかし宗教戦争は続く

SNSなどでの言い争いの一部は、宗教戦争の類型です。 過去にも一度言及しましたが、少し表現を変えつつまとめていきます。 価値観の衝突 ネットを見渡せば、今日もどこかで誰かが激しく言い争っています。 論争のテーマは男女論や政治論争、環境や世代、健康…

自己正当化の循環論法という無敵の手法

無敵の理論。 本当に無敵だから困る。 自己正当化の循環 宗教関連では頻出で、たいへん困ったことに政治や社会問題の議論でも何故か時々見かけるフレーズとして、「私は正しい、よってそれに反対するお前は間違えている、間違えているお前を指摘できた私は正…

利己主義(エゴイズム)の「反社会性」

非常に苛烈な主張となりますが、反社会的である一点からして、利己主義(エゴイズム)は暴力団や闇バイトと本質的に近しい思想です。 利己主義・個人主義・全体主義 「己にとってそれが良いかどうかが重要であり、周囲や社会や慣習は関係ない、他者への迷惑や…

戦後平和主義の後退と”フェアトレード”の精神

率直な話、戦後平和主義は現代の若者からあまり支持を得られていません。 それに関して、別の分野ですが"外部不経済"や”フェアトレード"と同軸にある倫理が影響しているのではないかと考えるため、少し理屈を纏めてみましょう。 対比とそれぞれの理論 まずは…

秘密工作に頼らざるを得ない権威主義国家の"弱み"

国家間では実に薄汚い策謀が飛び交うものです。 私たちはそれを垣間見て、 「なんて恐ろしいことをするんだろう」 と思いがちですが、 「たしかにそれは有効かもしれない、俺たちもやろう」 と考えることもできれば、 「そもそもそれは本当に有効で強力な一…

我々は多くの物事に対して”意見”を持つ必要があるのだろうか

オピニオンをメインとするブログで書くテーマではないかもしれないが。 意見を持つ必要性と現実 規範的な人々からすれば、次のような発想は自然なことだと思うでしょう。 私たちは世界で起きている様々な問題について目を向けて、情報を収集し、意見を持つべ…

政府に万能を求めるのは権威主義的・家父長制的である

それが絶対的に悪いことだとは言いませんが、万能な政府とは、つまりは強権的で独裁的な政治権力ということであり、個人的にはさほど魅力的ではないと思っています。 原材料不安におけるメーカーの流れ 誰もがニュースでご存じのように、ホルムズ海峡封鎖に…

道徳を用いた批判による自由主義の後退

SNSなどで、「法」「論理」「科学」などではなく「道徳」を根拠に他者を批判する言説を見かけます。 これは特に次のような分野で顕著です。 マナー・恋愛・家庭など価値観が時代とともに変化して正解の無い分野 貧困・労働・政治など複雑で社会的な問題が自…

批判と銘打たれた不平不満や愚痴の必要性について

「批判」についてまとめた記事をいくつか書いてみましたが、最後の考察として、個人における批判の必要性について検討してみます。 「社会」「倫理」「個人」のレイヤー これまでの二つの記事では、批判行為を「社会的機能」と「倫理的側面」から整理してき…

「人権」の例え話を考える試み

人権の考え方について。 人権の捉え方 人権とは『全ての人が生まれながらに持つ、人間らしく幸せに生きるための権利』です。 "全ての人"が持っていることが重要なポイントなのですが、残念なことに、「自分の人権」を振りかざして物事を押し通そうとする人を…

昨今議論されている社会問題の本質は全て同じ

カルト的構造を持った社会問題に関する論争と、それらに通底する根本的な問題について。 公開論争は分断に至る 論壇やSNSでは様々な論争が日々行われています。 それらは論理の整合性や感情の大小など様々な切り口で語られており、参加者の傾向は紋切り型に…

「合理性」の分類検討

「合理性」「合理的」という言葉は時々混乱を招いていると感じます。 「合理性」が議論等で使われる場合、「唯一の正しい合意点や結論がある」といった用途で使われることが多いと思いますが、誰もがそれに同意できるわけではない、そんな不一致による混乱で…

心の底から重視している根本的な価値のすれ違い

世の中には、議論がどうしても噛み合わなかったり、対話が成り立たなかったりする場合があります。そんな時は互いに「なぜこんな当たり前のことが分からないのか」と苛立つこともあるでしょう。 大抵の場合、その原因は”どちらかが無知で愚か”だからではない…

Geopolitics(地政学)は学問か否か

一応、当ブログでも微妙に配慮してGeopoliticsを「地政学」と言ったり「地政論」と言ったりしてきましたが、個人的にはどちらでもいいとは思っています。そんなに重要なポイントではないです。 今回は「これはそもそも日本の学問全般についての課題ではない…

変化の影響を分析する上での多面的思考を補助するフレームワークの検討

安易に物事を変えないため。 或いは適切に物事を変えるため。 保守にも革新にも必要な枠組みとして、見るべき側面を考えてみます。 今回は完成形ではなく、素案レベルの記録です。 フレームワークの検討 なにかしら物事を変えた場合、実際には変えた直接的な…

ネットリンチ、ネット私刑を抑止する方法の検討

法治を重視するからこそ、法律を整備するべきだと考える次第です。 ネットの炎上と私刑 毎日ネットでは誰かしらが炎上しています。 炎上のトリガーとなる火付け屋がいる場合もあるのでしょうが、大火となるかは結局人々の関心次第ですので、炎上とは「組織立…

「話し合い」過激派の主張

日頃より急進的な活動や過激な言動は宜しくないと主張している当ブログではありますが、「話し合い」についてだけはそこそこに原理主義的な過激派だったりします。 「話し合い」とは、極めて過酷で、自らを摩耗する茨の道に他なりません。 そんな「話し合い…

戦後秩序の経年劣化とリベラル的価値の未来

大人として素朴に「世界は安定していたほうが望ましい」と思っていますが、そうは問屋が卸さないのが現実です。 感覚的、或いは統計的にも20世紀型の戦後秩序が不安定化しつつあることは、恐らく多くの人が認識しているかと思います。 理由は様々な切り口で…

人々は複雑化する世界に耐えられるか

ある意味、現代社会の根源的な病巣について。 複雑化の非直線性 人口の増加。 技術の発展。 情報量の拡大。 グローバル化。 多様な価値観の可視化。 これらは必然的に多元化を招き、世界の複雑性を増やす方向に働きます。 エントロピーは増加するものであり…

能動的優しさと受動的優しさ:優しさの本質に関する考察

「優しさ」には主に二つの種類があると言われます。 一つは「能動的優しさ」で、もう一つは「受動的優しさ」です。 私としてはどちらも優しさだと考えますが、人によっては「受動的優しさはやっていて当然であり、優しさではない」「受動的優しさは弱さや怠…

意見の一貫性と信頼性の神話

現代社会のバグであり、解体すべき神話について。 一貫性=信頼性、という直感の正体 「この人は昔、こう言っていた。こんな人は信用できない」 「この人は昔、こう言っていたのに、今ではこう言っている。こんな人は信用できない」 昔の意見や考え方を引っ…

正義の種類と役割分担

"社会的正義"について論じた先日の記事に対するムっくん (id:nmukkun)さんのブックマークコメントが示唆に富んでいるため、そこから話を展開しましょう。 「今の世の中、一周回って、大衆が正義とは言えなくなっている」 これがまさに"社会的正義”の課題であ…

「正義の味方」から考える正義の暴走

自らを「正義」と定義する人は、誰を「悪」と見なしているのか。 「正義の味方」 ヒーロー番組「月光仮面」から使われ始めた言葉である「正義の味方」。 「正義の味方」とは、人々の正義に寄り添い、人々を支え、時に助ける存在です。 「法の番人」が法その…

寛容のパラドックスを解消するための視点

DEI(多様性・公平性・包括性)に対して総論賛成・各論反対の批判的な見解を示しがちな当ブログですが、今回は少し前向きな提案ができるよう努力します。 寛容のパラドックス 寛容のパラドックスとは、「寛容な社会を維持するためには、寛容な社会は不寛容に不…