忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

社会全般

小さな共同体の限界と都市化の利益

われわれが自分たちの食事をとるのは、肉屋や酒屋やパン屋の博愛心によるのではなくて、かれら自身の利害にたいするかれらの関心による。われわれが呼びかけるのは、かれらの博愛的な感情にたいしてではなく、かれらの自愛心にたいしてである。 アダム・スミ…

異なる価値基準の寛容:「分かり合う」そして「さて置く」

異論は攻撃してもいい、といった一部の風潮がどうにも好みではない。 SNSや雑誌・記事などで社会問題を取り扱う議論の場を見ていると、常々そう思います。 わからないものはわからない 以前、自然科学の領域における考え方の紹介として、「わからないものは…

公私の区分を明確にする:正義の"押し付け方"の是非

人それぞれどのような主義主張を持つかは自由ですが、それを社会全体の新たな規範としたいのであれば自身の主張を他者に伝達し他者の主義主張へ干渉する必要があります。 もっと抽象度を下げて言えば、自身の信じる正義を社会の倫理規範とするには、他者の正…

人の努力に口を出すべきではない

努力に関する、特に奇抜な視点でもなんでもない話。 他者には測定不可能 「努力が足りない」 「努力不足だ」 時々見かける言葉ですが、どうにも好みではありません。 人の努力に対して口を出すべきではないと考えているためです。努力の絶対値は他者と比較で…

過激派の他責性に関する考察と、暴力の排除に関して

「少数派の意見に対して多数派が耳を貸さない場合において、その意見を通して物事を変革するためには暴力的な手段も許される」 個人や何らかの団体が暴力的な手段に出たり、強硬な態度を持って自論を押し通そうとする際に時々見かける言説です。古くから述べ…

我慢は美徳か:苦しみの分類と我慢の是非

我慢とは苦しいことを耐え忍ぶことを意味する言葉です。 世間一般には我慢をすることは美徳であると捉えられている節があります。辛く苦しいことを耐え忍ぶのは立派なことであり、優れていることだと。 そんな我慢の是非について語っていきます。 苦しさの分…

ストレスは分散して軽減することが望ましい

恐怖に対して動物が示す反応に、戦うか逃げるか反応(fight-or-flight response)があります。これは外敵や生命の危険といった回避すべきストレス事態に動物が直面した際、肉体や精神に変化が起こる反応です。英語ではfight-flight、日本語では闘争・逃走反応…

”悪いところだけ”を丁寧に刈り取ることが必要

大抵の物事は、子ども向け作品のように善悪がはっきり分かれていることは珍しく、むしろ善悪で割り切れない複雑で複層的な構造を持っていることが一般的です。 言い換えれば、世の中には「悪いことにも別の側面から見たら良いところもある」という状況が無数…

陰謀論について思うこと、珍しくツッコみたいこと

陰謀論に対する私の考え方は、個人の趣味の範囲であれば別に目くじらを立てることは無いが、他者に押し付けるべきではない、です。 陰謀論に対する考え方 福澤翁が述べるように、人の自由とは天の道理に基づき人の情に従い他人の妨げをなさずしてわが一身の…

SNSプラットフォームの住み分けは推進されるべきか?

不定期に話題となるSNSプラットフォームの住み分け 2020年アメリカ大統領選挙におけるトランプ大統領や関連アカウント凍結の影響を受けてパーラーや新規SNSが話題になったように、また2022年のイーロンマスクによるTwitter買収の影響を受けてマストドンが話…

楽観と悲観に関する考察:心と頭が一致する必然性は無い

隙あらば楽観と悲観の差異を語る楽観主義者、それが私です。 今回もまた楽観と悲観についての思索を述べていきます。 楽観と悲観に関する情報整理 楽観と悲観を分かつものは何かと言えば、その感度差は科学的にセロトニントランスポーター遺伝子の型で説明が…

学校の先生の「先」には何があるのだろう

とある記事を読んで考えたことを記録がてら。 教育関係者ではない他業界の人間が考えた、ただの感想文と雑想です。 あまり同意していない記事を取り上げるのは気が引けるけども ある言論サイトで「離職率0.65%の公立学校は本当に“ブラック”なのか?」という…

情報の独占と伝搬:情報価値の変化に関する考察

情報は人にあげても質的には減らないが、価値は減る。 では、減る価値の量はどの程度でしょう? 人はどれだけ無知か 私たち個人個人は世界や物事をどれだけ知っていると言えるでしょうか。 たとえば1%、まさかそんなに知っているわけも無さそうです。古代の…

「今どきの若者論」に対する不快感の言語化

若い頃は「今どきの若者論」に対して年相応の言語化できない不愉快さを感じていたのですが、若者ではないこの歳になると多少言語化できるようになってきました。 年長者からすれば私などまだまだ若造だと思われるかと存じますが、私も若手を指導する立場にあ…

集団の合意形成における作法:過激派と穏健派の役割

何かしらの問題が目の前にある。 しかし人々がどう対応すべきか意見が定まらない。 ある人はAをすべきだと言い、ある人はBこそが良いと主張し、ある人はむしろCだと提起する。 議論が紛糾し喧々諤々の様相を呈するもまとまらず、結局は何も定められずに膠着…

リスク管理の観点から見た自衛戦力の保有に関して

自衛戦力をどの程度保有するか、そのためにどの程度の予算を確保するかが昨今議論されています。 防衛関係予算をどの程度確保するかという「予算ありき」の官僚的思考は望ましくないだろうことは過去の記事で述べました。 今回はその前段階、そもそも自衛戦…

結局テレビってどっちに偏ってるの?

結論の無い、ただ疑問を呈するだけの話。 中道的視点 私は良い言い方をすれば中道、悪い言い方をすれば日和見主義者です。極端こそを避ける穏健派でありたいという願望を持っています。 直ちに物事を変革したい急進派の気持ちが分からないわけでもないのです…

STEM分野での男女比率に関して

テーマとしては少し扱いにくいジェンダーに関わる話。 前提として、本記事における男女差は平均の話であって、それぞれの事柄におけるトップ層の男女比や個々の人が特性に合致するかどうかはまったく別の話です。当然ながら個々人の特性には違いがあり、デー…

結局、頭の良さを一言で説明するのは難しい

人様から時々「頭が良い」という不思議な評価をいただくことがあり、とても恐縮します。私は私を頭が良いとは思っていないので感性のズレに違和感を抱きつつも、まあ誉め言葉を無下にするのもそれは悪いことですので、謹んで拝受するばかりです。 拝受とか拝…

研究に無駄金を払う覚悟:研究のギャンブル性と公共性

定例記事として毎月のように流れるニュースの一つに研究者の就職難やポスドク問題があります。 雑に説明すると、大学の博士課程を修了したり海外大学でPh.Dを取得した人が、就職先が無いために低賃金で大学に残ったり、正規雇用ではなく非正規の労働に就かざ…

デモクラシーを弱体化させるメディアの致命的な錯誤

時代を問わず、民主主義国家においてポピュリズム的な人気を取り強権的な施策を掲げる政治家が登場するのが常です。 ある政治家をどう思うかは人それぞれ異なりますので絶対的な事例を挙げることは難しいですが、近年でそのような強権的な政治家がいると話題…

我々はもっと「おばさん」に向き合うべきか

いらん考察。 おじさんは人気コンテンツ 働かないおじさん 教えたがりおじさん 今どうなってるんだおじさん 子供部屋おじさん 友達いないおじさん あしながおじさん 世の中、特にネット圏では「○○○おじさん」というフレーズが溢れています。最後のはちょっと…

中道と、たまに極端な意見を述べる理由

度々言及しているため多少くどいかもしれませんが、私は基本的に中道を好みます。 この中道とは一般に間という意味ですが、それは両論の真ん中ということではありません。 類似の言葉としては中正、中庸、中観があります。つまり、どこかに偏らず、中立公正…

戦争反対論の変種:意志と能力の乖離

私はそもそも争い事自体が好みではないです。痛いことよりも楽しいことのほうが面白いので。 そのため好き嫌いや快・不快による感情的見解として個人や集団の争いや国家の戦争には反対だと述べていますが、今回は一種の思考実験がてら、別の視点、合理性の観…

「敵」は殲滅しなければならないのか:子供の喧嘩、大人の喧嘩

人が争いに至る理由は様々ありますが、その根源自体はとてもシンプルなもので、私たちが「貴方と私は違う」存在だからです。 たとえどれだけ似通っていたとしてもどこかしらに何らかの違うところがあり、その差異が争いの根源になります。 極論、自分のクロ…

日本人は身内に甘いのか、厳しいのか

先日取り上げた日野自動車の品質不正において、私は「日本の製造業は駄目だと日本全体にまで範囲を広げる必要はないと思う」と述べました。 この主語が大きくなる現象は普遍的に観察できるもので、例えば先日東京新聞がスクープした島津製作所の不適切行為に…

軍事への忌避感はなんとかしたい

「病気のことを色々と調べているけど、病気になりたいの?」 「そんなわけあるかい、健康を守るためには病気について調べなあかんやろ」 「戦争のことを色々と調べているけど、戦争になりたいの?」 「そんなわけあるかい、平和を守るためには戦争について調…

話し合いが生じるということは、絶対的な正解が存在しないということ

家庭において自家用車を買うかどうか。 ビジネスにおいて新規事業へ進出するかどうか。 政治においてある法案を通すかどうか。 世の中では様々な場所で様々な議題での話し合いが行われています。 この話し合いという行為において一つ重要な点があります。 そ…

問題の捉え方と原因の追究方法

日々の生活や社会は問題解決の連続です。そのため如何に問題を解決するかがクローズアップされがちですが、問題と原因を適切に捉えることが出来なければ正しい解決方法にも至れないため、まずは何よりもモノの見方が重要です。 今回は事例を基に、問題の捉え…

議論における印象操作の是非:共同体意識の喪失

議論において「相手方の悪魔化は避けるべきだ」という提言が時折為される理由について考察をしていきます。 悪魔化(Demonization)とは 日本語での「悪魔化」という言葉に厳密な定義はありませんが、Demonizationは一神教や異教が、多神教の神々を悪魔(デーモ…