社会全般
「ちょっくらSNSでも覗いて社会科見学をしつつ思索の種でも探そうか」と読み込んでいたのですが、近頃盛り上がっている話題がたいへん憎悪に溢れていたので、読んでいて少し気落ちしました。 攻撃的なのはあまり好みではないです。 血圧は比較的低いほう ま…
"共感"に関して物申す時はとても気を遣う必要があります。 私としては共感のことを”火”や”刃物”のように「有益だけど振り回してはいけないもの」と考えているのですが、社会においては絶対的な善として道徳的聖域となっています。昨今のSNS時代において「い…
時々ですが、次のような見解を見かけます。 「中国と対等になるだけの軍事力・経済力は日本にはない。食料や資源も不足している。だから日本は平和外交しか道はない、軍事への支出は無駄だ」 平和外交を推進することには同意するものの、それは軍事力と排他…
多様性を是とするならば、たとえどれだけ認め難い思想を持つ他者がいたとしても、それは良いことだと認識する必要があります。 多様性とは茨の道であり、決して軽く実現できる理想ではありません。 私自身は多様性を是とする人間ですが、だからこそ、その大…
くどいようだが、認知バイアスの認知はとても大切。 利用可能性ヒューリスティック 利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)は代表的な認知バイアスの一つです。 そもそもヒューリスティックとは、複雑な現実に直面したときに私たちの脳が「と…
人間社会において「共感は絶対善」であり、共感の問題点を語ることは他者から共感されません。嫌味な言い方をすれば共感できないものは悪と認定されかねないのが人間社会であり、慎重に語らねばならぬタブーとなっています。 そのため、共感の課題を語ること…
公人の「受忍限度」とは、公人が公務や公共の利益に関わる言動を行う際に批判や攻撃に対して一般人と比べてより広い範囲で我慢を求められるという概念です。 これ自体は重要な概念ですが、ただ、受忍限度はそこまでマジックワードとして機能するわけではない…
感情の高まりを抑えて冷静さを保てる距離を取ること。 仲間意識 毀誉褒貶ある言葉の一つに愛郷心や愛国心があります。これらを好む人もいれば、酷く嫌う人もいるでしょう。 換言してしまえば「仲間意識」と言えるこれらは、ある種の本能的感情です。人は社会…
メンタルが疲れ気味なので、「戦争から暴力を遠ざける方法」を考えてみます。 思考が迷子です。 ちなみに戦争の定義はいくつかあり、軍事的衝突を前提とした定義もありますが、今回はもっと幅広く「政治目的を達成するために生じる国家間の闘争」程度の定義…
短期的な目線と、長期的な目線。 統制と自由 秩序VS無秩序と対立させると前者が善に思えますが、統制VS自由と対立させると前者が悪く見えるかと思います。 もちろん秩序と統制、無秩序と自由は完全に一致する概念ではありませんし、あまり善悪で区分すること…
朝田理論や権力勾配論について。 階級闘争の焼き直し 朝田理論とは「差別かどうかを決めるのは当事者自身」とした理屈です。 苦しめられた当人にしかその気持ちが分からないことは事実ですし、これは一見すると被差別者の声を尊重しエンパワーメントするため…
検査技術が発展して病名が付いたからその病気と診断される人が増えたのと同じ現象かな、と思っている話。 ラベルの有無 昨今は右を見ても左を見ても「陰謀論」の言葉が飛び交っています。 この右と左は「世を見晴るかせば」と「政治的左派右派」のダブルミー…
特に統計的なデータがあるわけではありませんが、個人的な感覚として利己主義が蔓延しつつあるように思えます。 もちろんそれは過去の全体主義に対するバックラッシュではあるのでしょうし、個々人の主義主張に口を挟むつもりはありませんが、度が過ぎるとあ…
とても辛辣だが、盤面に文句を言うのは大抵の場合で愚かである。 自責と他責 一般に、「他責的であるよりは自責的であったほうが良い」と言われています。 それは妥当な考え方でしょう。変えられない他人や周囲をどうこうしようと考えるよりは変えられる自分…
信念と争いは不可分。 信念の良し悪し 一般に、信念は[良いもの/必要なもの/重要なもの]だと考えられることが多いかと思われます。人生の困難へ立ち向かい前進するために信念は役立ちますし、人は信念に則った一貫性のある行動を好むものです。信念はリーダ…
海外から宗教的な理由に基づく厳格なヴィーガンの来客が来る度、営業担当者が食事のセッティングで毎度大変そうにしているのを見かけます。相手の好む食事を用意することも接待の一環ですのでこちら側があれこれ配慮することは否定しませんが、相手方がその…
政治経済に限らず、世の中では様々な事柄が問題だとされます。 問題は当然解決されなければなりません。 ただ、どう解決するかはとても大切です。問題の解決が新たな問題の温床となっては意味がないのですから。 私たちは外科医のように、問題箇所の切除だけ…
助けられたいのか、救われたいのか。 Help、Rescue、Assist、Saveなどなど 「助ける」と「救う」は近いニュアンスを持つ言葉ですが範囲や用途が若干異なります。 「助ける」は幅広い文脈で用いられる言葉で、主に補助・援助・支援に属する概念です。対して「…
先日の帰宅中、同じ方向へ歩いている小さなお子さん連れのお母さんが約2分の間で5回くらい「お勉強しないとね」と言っていました。 その辺りについてちょいと余計な思索をしてみます。 強制性の難しさ 勉強を強制しても子どもの成績は伸びない、強制ではなく…
不確実な未来予測に対して、意思決定者は合理性を保てない。 損失回避バイアス 人間には損失回避バイアスがあります。 損失回避バイアスとは大きな利得よりも小さな損失を回避しようと考えてしまうバイアスです。例えば100万円を偶然得られなかったことより…
問題を指摘するばかりで対策案を出さず、人の失敗を批難して他者の提案をコケにする類の行為は、正直言ってあまり好みではありません。 いつまでやるんだ? 先日、床屋で散髪してもらっていたところラジオから日本学術会議のニュースが流れてきたので驚きま…
「力を持つと使いたくなる」は誤解だと思っている、そんな話。 暴力のカード 狭い範囲であれば「武器を持つと使いたくなる」、より拡張して言えば「暴力を持つと使いたくなる」は直感的には正しい言説かと思われます。人は集団になったり強い力を持つと気持…
誰もがいずれは死ぬのです。 それはそうだが、それがどうした 最近、「どうせAIには勝てなくなる」「いずれAIのほうが人間よりも賢くなる」といった言説をちょこちょこ見かけます。 まあ、それは事実でしょう。AIに限らず、人間の能力を超える装置が作られて…
少しばかり、ではなく相当に辛辣な話。 他人は鏡 ことわざにもある「他人は自分を映す鏡」は、他人に対して感じる好悪や評価は自分自身の内面を映し出している鏡のようなものであるとする考え方です。 この言葉は自己啓発の文脈で用いられることが多いと思わ…
悪いものを隠すのではなく、選び方を教えること。 アドバイスの取捨選択 年度頭の時期になると、新たに環境が変わる学生や社会人に対する様々なアドバイスがネット上で溢れかえります。それらは全て赤の他人に対する口出しですので基本的には“お節介”ですが…
単一の判断基準では党派性を避けられないと私は考えます。 道徳的帰結主義 善悪の基準には雑に分類すると二大派閥があります。一つは義務論であり、一つは帰結主義です。もっと具体的に分類していくと広大な話になってしまうので、とりあえず二つだけをピッ…
物事にはメリットとデメリットがある。 過激なアクションが引き起こす事態への道義的責任 ここ何年も各所の著名人が散々警鐘を述べてきたイデオロギー的論争の帰結に関して、ジョセフ・ヒースのサブスタックがかなり上手くまとまっていたのでおススメします…
そもそもSocial Justiceを「社会正義」と訳すのは宜しくないと思う派。 「社会的公正」が妥当ではなかろうか。 進歩主義と保守主義 アメリカの社会分断を筆頭に、Progressives(進歩主義者)とConservatives(保守主義者)の間では意見が割れることが多々ありま…
相手を変えようとするのではなく自分を変えようとすること。 まるで宗教やスピリチュアルで聞きそうなフレーズですが、割とリアルな方針だと思っています。 変えられるものと変えられないものの峻別 過去の偉人や現代の賢者など様々な人が述べているように、…
未来予測は常に不確定で、不確定だからこそ恐れを生むが、恐れはほどほどに。 仕事はいつだって消滅と誕生を繰り返す 最近、「AIがホワイトカラーの仕事を奪うからこれからはブルーカラーの仕事が重要になる」的な意見が増えつつあるように思います。 ただ、…