忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

政治・経済

選挙を通じていない権力者の是非

論理ではなく好悪に帰結する話。 政治任用制度 ここ最近見かける言説の一つに次のようなものがあります。 「イーロン・マスクがアメリカで権力者となりつつある。選挙を通じて民衆から選ばれた政治家ではない人間が、金の力で権力を得るのはいかがなものか」…

中国とアメリカに感じた近似性

大国は似通るものなのか。 モザイク状の発展 一週間程度ではありましたが、12月は中国へ出張に行きました。 行った先は広州や重慶のような都会です。上海や北京ほどではないそうですが、さすがに日本とは規模感が異なりまさに大都市といった感じでした。なに…

経済戦争とは正しく戦争である

経済戦争と聞くと、”戦争”を比喩的に捉えてしまう人がいるかもしれません。 しかし、経済戦争とはれっきとした戦争の形態の一つです。具体的に軍事力が動かずとも、直接的に血が流れずとも、安全保障上の方策を駆使せねばならない明確な戦争だと言えます。 …

「民主主義の崩壊」に関する見解

熱狂が去って多少落ち着いてきたかと思いますので、また選挙や民主主義に関連する話をしましょう。 ホットなテーマは火傷しかねないので、冷めてから語るに限ります。 私は猫舌なので。 民主主義とは結果ではなくプロセス 波乱のあった選挙が終わると時々「…

選挙が無くても政治の話をしよう

どこかで注目を集める選挙があると政治の話題が各所で花開きますが、私はひねくれものなのでちょっとズレた感想を持ってしまいます。 「政治はブームではなく、日常であったほうがいいんじゃなかろうか」 月に一度程度の頻度で【政治・経済】のカテゴリに属…

政治と経済は常に両輪である

選挙が終わると結果について様々な論考が為されるものですが、大抵の場合は芯を外した傍論であると私は考えています。 極めて率直に言ってしまえば、選挙の結果は支配的な因子である経済で充分に説明が付くためです。 そもそも経済自体が経世済民、すなわち…

分断されているのは心ではなく、もっと物質的なもの

アメリカ社会を筆頭に、近年では政治的・社会的・文化的な分断が社会問題だとされています。 私のように歴史が好きな人間は時間スケールの捉え方が狂っていますので、「かつての貴族・農奴の封建社会辺りと比べれば現代の分断は遥かにマシではないか」なんて…

何かを選ぶときの内側と外側の視点

先日、衆議院選挙が終わりました。 選挙について特に細かい分析を語るつもりはありませんが、久しぶりの大きな政変だったと言えます。今回の選挙は日本の政治史でも一つの大きな転換点であり、様々な人に思うところがあるでしょう。 さて、恐らく私の観測範…

時事ネタに触れるようで触れない、でも少し触れる

できることであればブログへ投稿する記事をストックしておいて投稿当日に誤字脱字のチェックをするようなサイクルで過ごしたいと思っているのですが、ここ最近は手が回っておらず、朝書いてそのまま投稿することが多くなっています。 今日もそんな日です。朝…

将軍に参謀を、政治家にブレーンを

政治家も人間ですのでポンコツな発言や失言をしてしまうことはあるでしょう。 しかしポンコツな主張をする場合は注意が必要です。 それは主張の影響を管理するブレーンが居ないことを意味していますので。 誰も求めていない 一応このブログでは政治的な話題…

日本が中国と手を組むと戦争が近づく

日本が中国やロシアと手を組んだ場合、アメリカが敵になりえると以前の記事で書きました。 日本が中露の権威主義陣営に付くとなれば、少なくとも自由主義陣営の国とは疎遠になります。疎遠になる程度であればまだマシで、アメリカが敵になることすら覚悟する…

陰謀論とポピュリズムとエリーティズム

似て非なるものか、何かしらの類似性はあるか。 ポピュリズムVSエリーティズムと陰謀論 ポピュリズムは陰謀論と並立的に語られることが多い政治的立場です。それは陰謀論の典型的な物語である「一部の支配者層・エリート集団による民衆の支配」といったスト…

集団を捉える時は個ではなく群で考える必要がある

単純化された物語は理解を容易にする反面、現実を正しく捉えられなくなることには留意が必要です。 「朕は国家なり」を引き摺ることなかれ 世の中には集団を捉える際に組織それ自体とその構成員を上手く区分できない人がいます。もっと言えば集団を擬人化に…

選挙を重く捉えすぎることの弊害

先日も記事にしましたが、選挙を勝敗の視点で見ると選挙後に支障を来たします。選挙や多数決とは集団内での代表意見や代表者の選定行為に過ぎず、本来的に言えば勝敗ではありません。 もちろん有権者もマスメディアも皆口を揃えて選挙を勝敗で語りがちですの…

全部足して「民意」

選挙が終わると、各所で「民意」を用いた言説を見かけるようになります。 ただ、「民意」はそこまで安易に用いていいような言葉ではなく、むしろ個人的にこの言葉は取り扱い注意だと考えています。 人々を区切ることの危険性 選挙で多数派となった側は「これ…

長く政治に関与してきた真面目な人には分からないこと

東京都知事選の季節です。 私も一応は人並み程度に政治への参画意識を持っていますので、このブログでも度々政治的な話題の記事を書いていますし政治的な話を忌避するつもりもありません。 ただ、地方選挙は国政とは違いその地方での選挙権を持つ人が決める…

お友達人事を嘲笑う無意味

その揶揄にどんな意味があるというのか。 人が人を選ぶ お友達人事とはトップの人間が自らに近しい人間を優先的に選定して組織の人員配置を行う行為を揶揄する表現です。 このような人事は一見すると不平等感が強く、ともすれば一種の不正にすら思えるかもし…

失敗に対するレジリエンスの差は善悪ではない

都知事選のニュースが活発になりつつある昨今。 私は5月に東京都へ越してきたばかりなので選挙人名簿に登録されておらず、おそらく都知事選での投票権はもらえません。 それはまあ、この手のルールが無ければ住民票を組織的に移転させるような不正工作が行わ…

権力は生産が可能であることへの認識

『権力の生産』 これはあまり日本では馴染まない概念かと思いますが、この概念を知っていると欧州の国際的な強さが分かりやすくなるかと思います。 権力の定義と発生 一般に「権力」の言葉が用いられる際は政治がトピックである場合が多いため、権力には高低…

日本で政治の話をするのであればアサーティブに

日本で政治の話題が忌避されている理由の一つに「攻撃性」があります。 そんな攻撃性に関する私見を述べていきましょう。 日本では好まれていない 政治の分野では異なる政治信条を持つ人を悪し様に罵ったり誹謗中傷を投げつけるような行為が横行していますが…

民主主義の強み/弱みは「話し合いが続くこと」

民主集中制・民主主義的中央集権主義・Democratic centralism。 呼び名は様々ですが、これは共産主義政党や社会主義国家の組織原理の一つであり、組織の下部構成員が上級機関や指導者の決定に無条件で従う行動規範のことを指します。 もう少し噛み砕いて言え…

主張では「どうしたいか」だけでなく「どうすべきか」も必要

先週の日曜日は引っ越す街を見極めるためにいくつかの駅を出てうろついたり不動産賃貸仲介業者に物件の紹介を受けたりなどをして過ごしました。 ケータイの充電が切れそうだったので夕方頃に住処の駅に帰ってきたところ、いつものように政治団体が演説をして…

人種と民族の違いから民族自決権の意味を考える

ふと思ったことをまとめていきます。 本日のテーマは『民族自決』です。 ・・・重いテーマだこと。 翻訳の難しい言葉 民族自決は存外に難しい、字面通りには捉え難い概念です。 そのまま読めば「各民族」が「自己決定」を行うことを是とする言葉なのですが、そ…

ロシアが恵んでくれる自由はどの程度か

昨日の記事の続き。 ヘヴィなテーマではありますが、権威主義国家の国民が得られる自由に関して語っていきましょう。 「自由」の測定 各国の自由を測定している団体や指標は様々ありますが、その中でも代表的な指標として国際NGO団体フリーダム・ハウスが毎…

憲法について議論をする前段階で必要な認識の擦り合わせ

社会的なテーマの中でも触れ難いものは多々あれど、その中でも憲法は特に語りにくいと感じます。 とはいえ憲法について誰もが口をつぐんで語れなくなるほうが問題だと思っているため、過去にもいくつかなるべく穏当なつもりで記事を書いてきました。 今回は…

中国の国防費に関するニュースを見ての雑感

二日続けて軍事の話をするのは恐縮なのですが、なんとなく語りにくい話題なので続けて書き切ってしまいましょう。 今回は毎年の恒例行事である中国の全人代、そこで発表された国防費について雑感を述べていきます。 ◆中国 ことしの国防費 日本円で34兆8000億…

結局のところ、軍産複合体と呼ばれる兵器産業の規模感はどのくらいか?

軍産複合体なるワードを近年あまり聞かなくなっていましたが、各地での戦争の影響か、またチョコチョコと見かけるようになりました。 軍産複合体の影響力は半世紀以上も前、アイゼンハワーの時代であれば実際的なものではありましたが、現代では大して意味の…

苦い意見であっても、聞く必要はある:ウクライナ戦争に関する専門家の見解に耳を傾ける

ロシアのウクライナ侵略が始まってから約2年。 おそらく世界中のほとんどの人がいち早い収束と停戦を願って止まないことと思います。 しかしながら、そのような停戦は適切ではないと警鐘を上げる専門家がいることにも留意が必要です。 もちろんそのような意…

アメリカの動きを理解するための、大統領と連邦議会に対する認識

別にトランプを擁護したいわけではないけども、ただ、彼を絶対悪だとして石を投げ続けているだけでは見誤ることがある、そういう話をします。 おそらく大して面白い話題ではありません。 過去から学ぶ 2024年米大統領選挙の話題では猫も杓子もトランプを批判…

労働生産性を上げるためには、高く売ればいいんじゃない、かな・・・?

もっとみんなで合理的かつ効率的に頑張れば生産性は高まる。 労働生産性の話となるとそんな物語が各所で語られていますが、どうしてそんな精神論や根性論を前面に押し出す人が多いのだろうと常々疑問に思っています。私とは違って経済に詳しい方々の提言です…