「経営者目線」は若者に嫌われている言葉の中でもそこそこ上位に入るかと思います。
実際、雇われている人は経営者と同じだけの報酬を貰っていないのですから経営者と同じだけの仕事のレベルを求められたとしても負担ですし、実際に求めてくる組織は問題です。
そもそも被雇用者は会社運営全般に対する権限も責任も無く、ライン工が経理知識を持っていても活用し難いですし、受付担当に財務情報を詰め込んでもあまり有益ではないでしょう。
ですので、よく分からない要求だと若者が嫌うのも当然かと思います。
ただ、経営者目線を毛嫌いして極端に遠ざけると時に損をしかねないと考えます。
なにも意識が高いことを言いたいのではなく、むしろ意識が低めの発想として、個人の利得を優先する若者にこそ理解してもらいたい話をします。
気分の良くない、つまらない、面白くない、納得のいかない他者の見解であっても、役に立つエッセンスは存在するものです。
顧客のニーズを満たすこと
仕事とは顧客のニーズに応えることです。
製造業や医療、サービス業にエンタメなどなど、この世の仕事とは全て顧客のニーズに応えた対価として金銭を得る行為を指します。
次に、被雇用者の査定や考課をするのは雇用者です。
会社組織としての商売ではユーザーが顧客ですが、被雇用者個人としての商売では雇用者が顧客になると考えれば良いでしょう。
この2つから導き出されるシンプルな結論。
それは、経営者目線を持って雇用者が求めるところを理解していれば、顧客たる雇用者のニーズを満たしやすくなり、効率的に仕事をして少ない労力で自らの評価を高めることができる、ということです。
同じ労働力を提供するにしても的外れなことに時間を割いてしまうよりは経営者のニーズに刺さることへ時間を割いたほうが合理的に評価を得られるわけで、個人の利得を優先するのであれば経営者目線を知っておいたほうが断然お得です。
なにも意識を高く持って経営者と同じ志や努力をしろと言いたいわけではなく、むしろ給料分以上の仕事をするのは労働力のダンピングですので推奨しません。経営者レベルの仕事を被雇用者に求めるのであれば経営者レベルの報酬が当然必要です。
そうではなく、如何に少ない労力で効率的に顧客のニーズを満たして仕事を果たすかを考えるためには経営者目線が必要だと言うだけです。
経営者目線を被雇用者が持っていれば、被雇用者からすれば最小労力で顧客たる雇用者のニーズを満たせるので効率的ですし、雇用者からしても欲しい仕事の成果を被雇用者から的確に受け取れるのであれば何も文句はなく、つまりはWin-Winの関係を築けます。
要するに、必要なのは経営者と同じ志や努力ではなく経営者目線です。目線だけ持っていればいいのであって、同じことをする必要はありません。
結言
雑な言い回しになりますが、経営者目線を持つこととは攻略本を読むようなものです。
どこに行って何をすれば何が手に入るかが攻略本に書かれているのと同様、雇用者が何を求めて何をしてもらえば高評価を与えるかの答えが経営者目線にはあります。
ですので「経営者目線」をただ毛嫌いするのではなく、効率的で合理的で自分のために役立つ情報だと考えてみると、少しお得かもしれません。