忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

技術屋の目線

巨人の肩の上に立つときは謙虚な気持ちが必要

技術職をやっていると他者から「頭が良い」と評価されることが時々あります。 その認識ははっきり言って誤りです。知性とは単純な良い悪いの物差しで測定できるものではなく、「技術職だから頭が良い」と考えるのは大きな誤解です。 今回は学問的な知性の分…

会社は学校ではないが、親や学校を代替しなければならない時代

時代によって変わるもの。 「お勉強ができる」ことを求める 技術屋の世界では新人に大きな設計案件をいきなり任せるような事例は少なく、まずは基礎的な勉強や評価試験のやり方から教育を行います。 もちろん新人からすればひたすら勉強や評価試験をすること…

技術者の早期育成には限度がある:作業者が欲しいのか、技術者が欲しいのか

昨今は様々な業界で人手不足が叫ばれていますが、弊社も例に洩れず日本の人口動態影響を受けて人手が足りていません。特に専門職の確保には苦戦しています。 そんな中、上層部が技術職に対して度々発令するのが『技術者の早期育成』とした方針です。若者を重…

自社商品の強みを技術屋に聞いてこないでほしい

聞く相手を間違えているので。 自社商品の強みを一番知っているのは誰? 「うちのこの製品の強みはなに?」 「うちの製品は競合他社と比較して何が優れている?」 このような商品の売り・強み・ストロングポイントに関する問い合わせが営業部門から技術屋の…

変革を推進する側が示すべき責任感と与えるべき安心感

物事を変える時は、それがどれだけ合理的で効率的であっても反対されるものです。よって変革をスムーズに進めるためには反対勢力への理解、すなわち変化を起こしたい側からの配慮が必要になります。 現実に対する責任感 様々ある業界の中でも私のいる製造業…

MPaオーダーの圧縮空気はホントに危険だから注意してほしい

エアコンプレッサーの圧縮空気をいたずらで吹き付けて他者を殺傷する事故のニュースを時々見かけます。日本でも稀に起きていますし、胸糞の悪い嫌な話ですが「Air compressor kill」でニュースを検索すれば、人のお尻にいたずらで圧縮空気を流して殺傷してし…

手に入れたものではなく、手に入れる能力が将来への自信となる

昨今は毎日のように「AIによって減る仕事」といったニュースが流れてきます。 もちろん日に日に発展しているAIに各種の危機感を持つ人がいることは自然です。産業革命における機械化やパーソナルコンピュータの発展時にも恐らく同様の論調は存在していたでし…

技術屋として生きていくためには勉強が必須だと思っているが

いつものようにネットの情報を漁っていたところ、次のようなニュアンスのコメントを見かけました。 「自主的に勉強しなくたってエンジニアを続けていくことはできる」 前後の流れから、このエンジニアはITエンジニアを指しています。 これは機械の技術屋から…

『継続は力なり』の理屈を検討する

当たり前のことを言語化していく。 反復練習の効用はサチる 前動続行という言葉があります。これは軍事の用語ですが、従来通りの行動を繰り返すことを意味します。 同じ行動を繰り返す行為、反復練習はナレッジベースで都度都度思考を介していた行動を無意識…

声を荒らげる技術屋は信用できない

たまには物凄い偏見を語ってみましょう。 個人的な見解として、声を荒らげる人は大抵の場合で仕事ができないと思っています。少なくとも技術屋で声を荒らげる人の仕事の能力は一切信用していません。 そんな個人的偏見を述べていきます。 暴力が何故禁止され…

哲学・宗教・倫理の存在意義

幾度か当ブログでも述べてきましたが、私は技術屋であり応用科学を専門とする工学屋ですが趣味は人文科学と社会科学を学ぶことです。道徳的な話や倫理的な話を時々記事にしているのはまさに趣味の発露というわけです。 少なくともこの趣味が直接的に仕事へ生…

技術屋は察することが苦手

実家が嫌いなわけではありませんし、親族を好んでいないわけでもないのですが、帰省をすると少しストレスが溜まります。 これは職場で日常的に接している技術者集団とはまったく異なるコミュニケーションを求められるためです。もう少し直接的に言えば、毎度…

精神論ではポカミスを完全に防ぐことはできない

ポカミスとは不注意などで引き起こされる様々なミスを指す言葉です。注意していれば防げたはずの間違いや失敗であり、類似の言葉としては「うっかりミス」や「ケアレスミス」があります。 ポカミスを完全に防ぐことはできません。過去にもヒューマンエラーに…

世界は分数で記述されている(過言)

「分数の割り算なんて社会に出てから使わないよ」なんて言葉を時々耳にします。それはある面で正しく、使えば便利なことはありますが別に使わなくても日常生活を送ることはできます。 とはいえ、日常生活で使う・使わない、或いは使える・使えないはさておき…

「教わってないから分からない」「聞いてないから知らない」はどこまで通用するか

「教わってないから分からない」 「聞いてないから知らない」 よく聞く言葉ではありますが、それが実際どこまで通用するかについて技術屋の感覚を述べていきます。 人によっては少し厳しい見解になるかと思います。 聞いて分かる範囲には限界がある 教育にお…

三現主義への過信に対する戒め:人材の育成こそが重要

問題解決における概念、フレームワークの一つに三現主義があります。これは「現場・現物・現実」の三現を重視して物事に当たることを推奨する標語です。 なにも難しい話ではなく、当たり前のことです。ただ頭の中でだけ考えていては机上の空論に陥りかねませ…

営業さんには美味しい飯屋を把握しておいてほしい願望

ただの我儘。 技術屋の出張 製造業の技術屋は基本的に設計がお仕事なので職場の事務所に居ることが多いですが、なんだかんだチョコチョコと出張することもあります。顧客との仕様打ち合わせであったり、サプライヤーとの図面打ち合わせであったり、製品不良…

設計が”できる”のレベル感:機械設計者に求めたい技能

大ベテランにはとても敵わない中堅技術者が語るには大上段過ぎるテーマではありますが、今の時点での考えを残してみます。 図面を引ける≠設計ができる 新人には図面の引き方を比較的早期に教えます。設計部署に配属される新人は学校で製図を学んできている子…

持続可能な社会のイメージ:永遠性と可変性

人や組織、物事や社会が落ち目になると世間では栄枯盛衰が謳われます。 栄枯盛衰とは「繁栄や衰退は繰り返すものである」ことを意味しますが、盛者必衰と混ざってしまいがちなのか、どちらかと言えば落ち目の際に用いられることが多い言葉です。 栄枯盛衰の…

ありとあらゆるものに余裕(バッファ)を持とう

所詮この世は諸行無常。 全ての物事は流転して変化するものであり、常の形は存在しない。 ・・・なんて仰々しく述べるまでもなく、何事においても決められた通り予定通りに動くことはありません。全ては変化の途上であり、物事は外部からの影響を受けます。 だ…

技術屋の目線には幸せホルモンが足りない

技術屋的な思考は幸福度を下げるのではないかと思う、今日この頃。 今日は私の「ひねくれ者」な側面を紹介します。 LOVOT欲しいけど、お高いよ LOVOTの広告を見かけたのでサイトを閲覧していました。 今現在は熱力学で食っていますが、大学ではメカトロニク…

対等よりも相互の敬意を:関係性の縦横

今どきの若者は「横の関係」を好むと評されることがあります。 横の関係とは、親と子ども、上司と部下、先輩と後輩、そういった上下性のある「縦の関係」ではなく、友人関係のような対等な関係を意味します。 若者が横の関係を好んでいることが事実かはさて…

コミュニケーション能力は重要なサバイバル技術のひとつ

技術屋の世界に生きている人間の感覚ではありますが、技術屋が楽しく仕事をするためには何はともあれ技術力が必要です。 専門家やスペシャリストの世界は大抵の場合で実力社会ですので、仕事が出来る人は裁量権を多く得られて余計な横やりを入れられることも…

ビジネス界隈で頻繁に見かける生存者バイアスがつい気になる

先日、「底辺を経験した人は強い」「エリート街道を突き進んできた人よりも底辺を経験したことがある人のほうが強い」という言説を見かけました。 底辺を経験したことが無い人間よりは底辺を知っている人間のほうが底辺への解像度が高くリスクを取って挑戦し…

新しいものが必ずしもベストな選択とは限らない:フロン冷媒を事例として

新しい技術や手法が登場する度、ドラスティックな社会導入を推し進めようとする動きが発生します。 もちろんそれは必ずしも悪いことではなく、新しい技術や手法は現時点で社会に存在している課題や問題を解決する見込みがあり、それらを迅速に導入することは…

そろそろエアコンの試運転をしましょう

私はエアコン屋の回し者ではありませんが、エアコンの試運転は4~5月に行うべきだと推奨します。4~5月がエアコンの試運転には最適な時期です。つまり、そろそろ行うべきです。 私はエアコン屋の回し者ではありませんが、夏本番になると業者が込むからです。…

社会を変革するのは意思(will)か、技術(technology)か

時々ですが、物語やインターネットでの言論において暴力による変革を肯定する言説を見かけます。例えばアメリカ南北戦争や公民権運動といった過去の事例を用いて、変革には暴力が有効であったとする言説です。 それに対する直接的な反対意見、というわけでは…

人工知能チャットボットに感じる「頭の良い友人」くらいの距離感と道具的な効用

昨日はChatGPTを援用して記事を作成してみました。 仕事で活用する方法を模索しようとここしばらくChatGPTを弄っていますが、趣味のブログに使ったのは初めての試みです。 すでに人工知能チャットボットに関しては有識者が多数の見解を示しており今更私がな…

なぜなぜ分析は分岐しない:なぜなぜ分析とロジックツリーの違い

「なぜなぜ分析」とは問題や課題に対して「なぜ?」を何度も繰り返して根本原因を掘り下げていく手法です。 この「なぜなぜ分析」の作成例を書籍やインターネットで探すと、多くの場合で次のような図を用いて解説されています。 しかしながら、このように分…

一足飛びではない合理性と現実論:トヨタイムズを読んでの感想

唐突ですが、気に入った記事を紹介するコーナーをやります。 今回の記事は完全に人様のフンドシです。 トヨタイムズの記事 世界的な潮流として自動車のBEV化が進んでいます。トヨタは日本を代表する自動車メーカーであり、そのためにトヨタのBEV戦略やBEV販…