聞く相手を間違えているので。
自社商品の強みを一番知っているのは誰?
「うちのこの製品の強みはなに?」
「うちの製品は競合他社と比較して何が優れている?」
このような商品の売り・強み・ストロングポイントに関する問い合わせが営業部門から技術屋の私へなぜか頻繁に届きます。一応は技術屋として技術的な見解を回答していますが、正直に言えば辟易しています。
まあ、「営業マンなのに自社商品のセールスポイントを把握してないのかよ!」と思う気持ちが僅かばかり無きにしも非ずですが、それよりもなによりも、自社商品の強みは社内の技術屋に聞くことではないです。どう考えても聞く相手を間違えています。
商品の強みは誰が一番分かっているのか。
それはもう単純明快、顧客・お客様です。
どのような商品であっても大抵の場合は競合他社が存在し、類似品が市場には溢れています。
そんな中でも自社の商品を購入してくれる、それはそこに何かしらの相対的なメリットを感じているからであり、そのメリットこそがその商品の強みに他なりません。これはBtoBでもBtoCでも変わらない普遍的なことです。
他社の商品に比べて自社の商品が技術的にどう優れているかなんて、言ってしまえば些末な話です。それは私たちメーカー側・販売側の認識と都合に過ぎません。
私のような技術屋目線であれば、例えば製品がどれだけ頑丈かの耐久性や取り回しの良さなどを強みとして考えますが、購入している顧客からすれば価格や入手性、デザインや名称、アフターサービスやカタログの見やすさなどが購入を決めた理由かもしれません。
そのどちらが重要かと言えば、それは当然後者です。私たちメーカーの技術屋が何を強みだと思っているかなんて心底どうでもいい話で、顧客が何をメリットと思っているかがよほど重要であり、それこそが商品の強みです。自社の都合ではなく顧客の考えるメリットにフォーカスしなければ商品は売れません。
だから営業マンが本気で売り上げを伸ばしたいのであれば私のような社内の技術屋に強みを聞いている場合ではなく、お客様のところに行くなりアンケートを取るなりして市場の声を聴くことに注力すべきです。そこから浮かび上がってくるポイントこそが自社商品の強みに他なりません。
結言
もちろん顧客に提供できる価値の一つとして技術屋の見解を求めていることも分かりはします。手ぶらで顧客に行くよりは、引き出しに売り文句を多く詰め込んでいきたいのは営業の本能的なものでしょう。
それは分かりますが、でも技術屋の強みに関する見解は重要ではないことも重々承知しておいてほしいものです。
様々な商品がコモディティ化している現代、プロダクトアウトでプッシュ型の販売戦略が刺さることはそうそうなく、マーケットインで顧客を指標として顧客に刺さる売り文句を用意しなければ商売になりません。
余談
それはそれとして、商品のプロモーションに関しては技術屋に聞くのではなく営業部門内で完結してくれよとは思ってます。なんのための推進部や企画部なのさと。