忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

科学

自然エネルギーの反対は、不自然エネルギー?

小人閑居して不善を為す。 或いは下手の考え休むに似たり。 不自然エネルギー 最近、ニュースで「自然エネルギー」なる単語を見かけました。 ふと思ったのですが、自然エネルギーではないエネルギーってなんでしょうね? 自然エネルギーの厳密な定義は無いは…

アリさんだって休んでるんだからさ:働きアリの法則

働きアリの法則に関する言及を月に1回くらいの頻度で見かける気がするので、私もちょっと働きアリの法則に関することを述べてみます。 法則の概要 働きアリの法則は大雑把に言えば「よく働くアリとそこまで働かないアリが存在する」という法則です。パレート…

科学の話で「信じる」「信じない」という言葉が出るのは変だと思うんだ

軽めの語り口調でちょっと皮肉めいた話を。 お仕事柄、気候変動問題には否応なしに関わらざるを得ないため、日々その辺りの情報収集をしています。国際会議の結果次第で売れる製品が変わる業界なので仕方がないですね。 ただ正直なところ、この界隈ってギス…

わからないものはわからない

私は一応科学者だから、超常現象を否定しない。わからないものはわからない。 引用元:佐伯 緑「What is Tanuki?」 このフレーズだけで筆者が真摯な科学者であることが分かります。 科学とは真理を追究する学問ではない 科学の基本は観察・測定・実験です。…

正しさは何が担保するのか~エリート主義と反エリート主義

昨今に限った話ではありませんが、学問や科学において何らかの疑いが発生した際に紛糾するのが『正しさは何が担保するのか』という論争です。 もっと単純化すると『頭のいい学者先生の見解が正しいのか、そうではないのか』という点において揉める場合です。…

簡単に説明するのは難しい~例:潜熱

定期的に困る問題があります。何が分からないか分からない人の何が分からないのかが分からない問題です。うん、何を言ってるか分からないですね。 今日は理科に興味が無い人には本当につまらない話をします。 難しく理解するよりも簡単に説明するほうが難しい…

科学をちゃんと学んだ人は科学を過信しない~トランス・サイエンス

時に科学と自然が二項対立のように取り扱われることがあります。科学側にいる技術屋の一人としてはこのような対立構造はあまり望ましいと思っておらず、どうにか双方の調和を取れるような社会にしたいと考えています。 過剰な科学忌避は文明や先人の努力を否…

記憶力はある程度習慣でどうにかなる

頭の良し悪しは様々な指標によって語られます。回転が速い、機転が利く、応用力がある、視野が広い、視点が違う、そういった様々なものです。 その中の一つに記憶力という指標もあるかと思います。記憶力が良く色々なことを知っている人は賢そうに見えるもの…

温度に下限はあるが上限は無い

新年なので理系的蘊蓄と精神論を混ぜ込んで一つ小話を。新年といえば抱負、抱負と言えば熱意、という連想で温度の話をします・・・かなり無理のある連想です。 温度の単位 温度は物質の温冷の度合いを表す指標です。現代社会では温度を測るという行為は一般的で…

子どもは寒さに強いことへの疑問

寒いです ここ最近めっきり冷え込んできてとにかく寒く、もうすっかり冬気分です。冬は好きですが寒いのは別に好きじゃないです。でも暑いよりはマシなのでやっぱり冬が好きです。でもゾウさんのほうがもっと好きです。松本引越センターの全国CMって2002年に…

度量衡と単位系について

若手の技術者に話したらさっぱり伝わらなくて焦ったので、今回は(今回も)どこに需要があるか分からない話を記録しておきます。 度量衡の意味 度量衡(どりょうこう)とは物を計ったり数えたりするのに用いる単位をまとめた制度のことで、人々が経済活動を行う…

物事は比較しなければ分からない~科学的思考の応用

科学における観察と実験 科学史における初期では観察と測定による分析が基本でした。自然や現象を詳細に見て、測り、分析し、解析し、そこから何らかの法則を導き出す行いです。古代の哲人は優れた洞察力による観察で世界の形を見極めていました。世界を眺め…

空気から水を作るにしても限度があるよ!

理科の授業って大切だなー、とふと思い出したので記録しておきます。 空気から水を作る 将来的な水資源の枯渇に備えてか、空気から水を作ることを売りにした商品(ウォーターサーバー)が微妙に流行っています。どのくらい流行っているかの市場規模は分からな…

予防原則を錦の御旗にしてはいけない

過去に予防原則について取り上げていますが、その続きです。 過去の記事でも述べた通り予防原則は原則と銘打ってはいるものの、厳密な定義や適用条件が決まっていません。 現在は将来的な危険・リスクに対して予防的な措置を取るべきと拡大解釈されることが…

ワクチンの目的と免疫系のイメージ

反ワクチン派の若い子に頑張って説明をした時のことを思い出しつつ… ワクチンの副反応 ワクチンも薬ですから、必ず副反応があります。副作用の無い薬は偽薬を除いて存在しません。ゼロリスク思考で考えればそのような危険を避けたくなる気持ちは分かります。…

反ワクチンに関する情報整理

反ワクチン派の若い子と話をしたことがあるため、その時のことを思い出しつつ少し情報を整理してみます。 ワクチンの概要 ワクチンとは感染症の予防に用いる医薬品で、一般的には無毒化あるいは弱毒化された抗原を投与することで、体内の病原体に対する抗体…

科学的思考~石油の起源とルイセンコ主義

もはや我々の生活に欠かすことはできない石油について、実はその起源については今だ議論が割れています。有機成因説、無機成因説が主な説です。一応細菌説もありますが、まあ主流ではありません。西側諸国である日本としては主流の有機成因説しか学校で教え…

予防原則に関する考察~その適用範囲について

環境問題でよくお題目とされているのが予防原則です。これには厳密な定義が無いのですが、大まかに言えば 「科学技術に対して人々の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が充分証明されないとしても、予防的措置を実…

脱炭素は科学的か?

脱炭素社会が世間で騒がれています。 個人的に「脱炭素はそもそも科学的・合理的なのか」という本質的なところの議論が必要だと考えています。つまり脱炭素というヴィジョンがまず適切であるかどうかを考えなければいけないでしょう。 脱炭素、なんだか良さ…