投票に行かない人を強い言葉で非難するのはあまり好みではありません。
それよりも、ポジティブな対策をゆるーく考えましょう。
ヘヴィなテーマですが、今回は軽めに語っていきます。
問題には対策を取らなければならない(職業病)
どこかで選挙がある度に投票率が低いことを嘆く声が各所で見られます。
投票率が低いことは問題提起として適切です。個人的には棄権も一つの意思表示ではあると思ってはいますが、棄権は白紙投票と比べれば曖昧でもあります。投票率が高ければ確実に民意を反映していると断定できるようになりますので、投票率は高いに越したことはありません。
とはいえ、「問題だ、問題だ」と騒ぐだけでは問題は消えて無くなりませんし、投票に行かない人を非難しても意味がありません。ビジネスパーソン的な問題解決思考に基づき、原因を分析して対策を取る必要があります。
どうやって関心を持たせましょう?
そんなわけで、投票へ行かない理由について見ていきましょう。
選挙関連の意識調査は総務省やマスメディアなど様々なところが行っていますが、今回は投票率を改善することを事業目的として活動している公益財団法人 明るい選挙推進協会のデータを見ていきます。
◆調査研究事業(意識調査) | 公益財団法人 明るい選挙推進協会
少し古いですが、第49回衆議院議員総選挙全国意識調査から、まずは投票参加率の傾向を見ていきましょう。
■年代別での投票参加率は顕著に傾向が見られる。若い世代ほど投票に行っていない。
■学歴ではあまり有意な差はない。
■就業形態ではそこそこに差が見られる。経営者・役員・管理職・主婦・主夫・無職が比較的高く、派遣社員・学生は比較的低い。
■職種では農林水産業に関わる仕事の投票参加率が特筆して高い。
■居住年数および投票所までの所要時間も投票参加率に影響する。
以上より、換言すればどれだけ政治と生活が身近であるかで投票参加率が変わると言っていいでしょう。分析するまでもないことではありますが。
年を取れば取るほど税や自治体など政治的な物事に触れる機会は増えていきますし、就業形態や職種によって政治との距離が変わるのも自然なことです。そういった精神的側面だけでなく投票所の場所やそこまでの時間といった物理的距離も当然影響することでしょう。
ただ一つ言えることとして、投票行動を行うかどうかは学歴や知性とは関係ないことから、ネットで見かけるような「投票しない人は馬鹿」のような非難は無意味です。
次に政治意識に関する調査結果を見ていきます。
■政治関心度と投票参加率はほぼ正の相関関係にある。
■投票義務感が高いグループと棄権を是としないグループは投票参加率が高く、個人の自由だと考えるグループは投票参加率が低い。
■支持政党があるグループのほうが投票参加率は高い。
■棄権理由の上位は「選挙にあまり関心がなかったから」「適当な候補者も政党もなかったから」「政党の政策や候補者の人物像など、違いがよくわからなかったから」
特に不可思議なところはなく、興味関心を持っていない人は選挙に関連する情報を取りに行かないし投票にも行っていない、ただそれだけです。
以上より、パレート分析的に見て投票率を上げるためには投票参加率の低い「若年世代」の「派遣社員・学生」にフォーカスすることが有効だと言えそうです。
最後に、政治に関心を持っている人は何を関心テーマとして持っているのかを見てみましょう。
・・・あー。
これは難しいです。
政治のテーマには様々なものがありますが、実際に人々が最も重視している問題は、突き詰めて言ってしまえばお金の問題のようです。
困った困った
もしかするともっと直接的な相関関係として、納税額と政治関心は強い正の相関があるのかもしれません。納税は政治システムに接する最も身近な機会であり、「若年世代」の「派遣社員・学生」はあまり納税が身近ではないので選挙も身近に感じられない、この関係性はあり得るような気はします。
ただ、もしそうだとしたら「若年世代」の「派遣社員・学生」に政治関心を持たせることはとても難しい問題です。なにせそういった層からたくさん納税させるわけにはいきませんので、お金の問題と紐付けるとなるとお金を配るような話しかできません。
・・・まとめますと、派遣社員や学生の若者達にヘリコプターマネーをばらまくような政策をぶち上げれば政治が身近になって投票率は上がる、と思います。なんともひどい結論ですが。
でも、そういった層が声を上げるようになればリーチした政策を出す政治家も出てきて「選挙は行ったほうがお得だな!」となって本当に投票率が上がる、かもしれません。
結言
投票に行かない人を非難するのはあまり好みではありません。
それよりは対策を皆で考えるほうが健全でポジティブです。
今回の私の意見は圧倒的愚見に他なりませんが、まあ愚策は無策に勝るかなと。
人に何かを紹介して興味を惹こうとする時、普通はポジティブにやるものじゃないですか。
「このお店、ピザがすっごい美味しいから行ってみて!」
とか
「このアーティストの音楽、サビがホント最高だからぜひ聞いてよ!」
とか。
政治も同じように、
「興味を持たないといけない」「投票に行かない奴は馬鹿」
みたいなネガティブ押しつけスタイルではなく、
「行ったほうがいい」「行ったほうがお得だぜ」
とポジティブな側面を見せたほうがたぶん効果的です。
まあ、今回の私の意見は圧倒的愚見に他なりませんが。
若者に政治への興味を持たせるベターな方策が世の中に出てくることを期待するばかりです。
余談
明るい選挙推進協会と言えば、2010年頃に成人式で配布した選挙啓発DVDがネットで話題になったことを思い出します。
当時は軽く炎上していましたが、話題性も啓発効果も抜群でした。何が凄いってこのDVDで動物キャラクターが踊っていた選挙の歌、「選挙 選挙 明るい選挙~♪」はまだ耳に残っていて歌えます。謎の中毒性です。
やっぱりPR活動には話題性と分かりやすさが重要です。
だって、こういう堅苦しい情報誌を発行してもなかなか皆読まないですし。
それよりもネットでバズって面白がられてMADが作られて動画サイトにアップロードされる、それくらいの温度感がいいですし、そうやって人々が自主的に動くことを後押しする活動こそがPR(パブリック・リレーションズ)です。一方的に発信するのはPRではなく宣伝に過ぎません。