忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

インボイス制度の導入に合わせて生活必需品の税率を下げておけば抵抗感が減ったのでは?

 

 門外漢の戯言です。

 

論争でちょっと気になった点

 いよいよ10月からインボイス制度が始まりますが、概ね落ち着いてきたものの今なお賛否の論争は続いていると感じます。

 私は税と向き合う生き方・仕事をしていないためそこまで真剣に論争をフォローしていたわけではありませんが、インボイス制度の導入は税制におけるとても大きな変革であり、得をする人も損をする人も居る以上賛否両論が巻き起こるのはやむを得ないことだと思います。

 

 さておき、論争を眺めていて少し不思議に感じたのですが、珍しく海外出羽守が少ないように思えました。

 消費税設立時に参照した欧州のVAT(付加価値税)ではインボイス制度が根幹にあり、イギリスやフランス、ドイツなどではインボイス制度が導入されています。そのため、「海外を見習え」とする海外出羽守がたくさん出てもおかしくない論点かと思っていたので、不思議です。

 

インボイス制度の目的

 インボイス制度の目的は取引における正確な消費税額と消費税率を把握することであり、税に必要な公平性を確保するためには否応なしに導入せざるを得ない仕組みだと考えています。

 以前のように消費税が単一税率であれば取引全体でまとめて税を計算すれば良かったのですが、軽減税率が導入されて以降は取引ごとの税率を適切に補足する必要がありますので、その取引の税率を明記するためのインボイスは不可欠です。

 もちろんそのために事務コストが上がるデメリットはありますが、脱税を目的として税率をごまかす余地を作るほうが問題だと考える推進者の意見も納得がいくものです。

 

 つまるところインボイス制度は軽減税率と強くリンクした仕組みであり、軽減税率のためにインボイス制度があると言っても過言ではないかと思います。

 日本も形だけは軽減税率を導入していますが、インボイス制度が無いために機動的な税の調整ができていません。現状ですら軽減税率の適用はやっかいなのに、対象品目を増やしたり税率をさらに増やしたりすることは現実的なコストを考えれば不可能です。それはインボイス制度を導入するよりもよほど事務コストを高めてしまいますし、脱税の抜け道が増えるだけになるでしょう。インボイス制度があれば個別取引ごとの税率を管理できるようになるため、より多品目・複数税率の税を設定することが可能になります。

 

抵抗感を減らすために効用を示すべきだったのでは?

 とはいえインボイス制度の導入によって損をする人がいることも事実です。そのような人が制度導入に抵抗するのは当然のことだと言えます。

 たとえインボイス制度の導入が必要だとしても、それらの意見を無視して押し通しては政治や徴税システムへの不信感を高めるだけです。

 

 そのため、政府はインボイス導入による機動的な軽減税率の有効性を実行すべきだったと考えています。

 

 例えば、以下のような提示の仕方です。

「スーパーマーケットで購入できるような生活に直結する大抵の品目は税率をちょっと低く、食品はもっと低く、代わりに嗜好品は高めに設定します。そうすると税収全体では変わりませんが消費税の逆進性が低下しますよ、今の仕組みではコストが掛かるので難しいですが、インボイス制度を導入すればこういうことが実行できますよ」

 つまり、海外のVATで行われている生活必需品の低税率はインボイス制度が必要であり、それを日本でも導入して日常的な支出を抑制できるよう努力しますよ、という姿勢を示していればインボイス制度の導入に対する抵抗感も減ったでしょうし、そういう姿勢を示せないのであればただの免税事業者イジメ・増税だと受け取られても仕方がないでしょう

 

結言

 個人的には上述してきたようにインボイス制度の導入には特に反対していないのですが、それは私が日本の税制を改革すべきだと考えているためです。

 インボイス制度は複雑で煩雑な日本の税務環境の改善に資するものです。個別に複雑な税制を設けなくとも消費税一本で個別に税率を設定すればいいようになるため、税収のトレーサビリティ整備と併せて必要な改革だと思っています。

 

 ただ、それは国家が機動的な軽減税率を適切に運用できる場合に限ってです。そのような税制改革を行わずにインボイス制度だけ導入するのでは増税や無駄なコストアップと批判されるのも当然だと考えます。

 だからこそ、インボイス制度の導入に合わせて機動的でシンプルな税制を実現する意思と姿勢を見せることは効果的であると考えます。

 もちろん軽減税率導入からの議論にはあまり時間が無かったため政治的調整が難しいことは分かりますが、せめてそういうことをやるんだという姿勢だけでも見せて欲しかったものです。