物価上昇、してますよね。消費者物価指数、上がってますよね。
お金が無いくせにあまり値札を見ないでモノを買う適当人間の私ですら物価上昇を感じていますので、世間様の実感としてはきっと物凄いのだと思います。
「値札を見て買い物しないからお金が無いんじゃないの?」という現実と事実からは目を逸らします。
そんな物価上昇に絡めた話をしますが、実のところ経済学はまったく専門ではないので、人様に語る知見を持っていないどころかむしろ教えてもらいたい分野です。
よって今回は無知な私が疑問に思っているところを述べるだけの記事となります。
インフレ対策は増税?減税?
昨今の物価上昇は参議院選挙の争点にもなるほどですが、その対策として多くの政党で上げているのが消費税減税です。これがどうにもいまいち分からないのです。
物価が上昇するということは、お金よりもモノの価値が上がっているという状態ですよね。つまり1単位の通貨あたりの購買力の低下、インフレです。
教科書的な話であれば、市場にあるお金の量を減らしてお金の価値を上げることがインフレ対策ですよね?だからデフレでは減税、インフレでは増税、というのが一般的な対策だと思うのですよ。
もちろんインフレには種類があり、現在の物価上昇は単純なマネーサプライの増加ではなく生産コストの上昇や物資不足による供給量の不安定さが原因であるコストプッシュ・インフレーションだということは分かります。
ただ、それでも減税は人々の可処分所得が増えますので、たとえどのような理由によるインフレであろうともマネーサプライを増やすことはお金の価値がさらに下がって物価上昇の加速に繋がりかねないような気がするのです。
いや、もちろん一庶民としては可処分所得が増える方向の政策は大歓迎です。減税してもらえるほうが嬉しいですし、個人的には減税万歳!ってなものです。
ただ、消費税って普通税じゃなくて社会保障4経費に充てられる目的税じゃないですか。つまり消費税減税で税収を減らすということは、医療や年金、子どもや介護に充てられる社会保障費を直接削る結果になりかねず、それはつまり社会保障費に頼らなければならない社会的弱者が不利になるような気もしてしまうので、なかなか諸手を上げて同意しかねるのです。
まあ、「じゃあインフレ対策で増税じゃー!」なんて言われたらたまったものではありませんし、そんなことされたら景気が腰折れどころか地に沈み込むので減税して欲しい気持ちが本音ですけども。
今のコストプッシュ・インフレーションによる物価上昇は不景気の結果だから景気対策として減税が有効。景気が上向けば税収は上がるので減税分も相殺される。景気が上向くまで物価上昇が加速するのは許容範囲で収まる。そもそも消費税自体が逆進性の高い税であり、減税したほうが救われる社会的弱者は増える。
というような消費税減税に対する説明が経済学の専門家の観点から欲しいところです。
情報を選択的に求めるのは良くないというのは分かっているのですが、物価上昇は今回の選挙の争点ですので、安心と不安、双方の意見を比較して見たいのです。
教えて!経済学の先生!
常々思っているところとして、経済学は未来予測をできるのか問題をそろそろなんとかしてもらいたい気分です。
物理学や天文学などは過去のデータから法則性を見出し、未来にも適用できる原理原則を発見するのが仕事です。絶対的不変ではないにせよ、少なくとも明日もこうなるだろうという原理原則を積み重ねていきます。
それに対して、例えば歴史学や地史学のように過去のデータを読み解くものの、その説明を付けるのみで未来予測はしない学問もあります。歴史学者は起きた事象の説明を付けることができますが、その見識で未来を予測するわけではありません。
これはどちらが上等であるという話ではなく、学問の姿勢や目的の違いというだけです。実学だけが必要な学問ではありません。
経済学はどちらでありたいのでしょう?
未来のことを決める政治的な意思決定や政策の議論に参画している以上、前者であるべき、少なくとも前者でありたい、と思っているのだとは思います。
ただ、経済学は『何をした場合にどうなるか』というのが学派や学者によって言っていることが違っており、今のところ原理原則を用いての未来予測に成功しているとは思えないのですよ。
ここらでバシっと、「現在の物価上昇はこれこれこうだから、対策はこうすればいい!」という未来予測が欲しいところです。それこそが経済学の信頼性を引き上げる唯一の方法だと思います。経済学の先生方、今がチャンスですよ!
余談
まあ、古来より権力者の傍らには意思決定を補佐する占い師が仕えているのが常ではあります。
ですが、当たるも八卦当たらぬも八卦のレベルではなく、もう少し精度の高い予測をですね、して欲しいのです。経済学が正しく実学でありたいのであれば。