究極のエシカルファッションは「はっぱ隊」なんじゃないだろうか、とふと思いました。はっぱ一枚あればいいわけですから・・・相変わらず頭が悪いです。
エシカルに関して
エシカル(Ethical)とは倫理的・道徳的であるとされる行動を指す形容詞で、昨今では特に環境問題や社会貢献で多く使われるようになってきました。もっとも流行っているのはエシカルファッションかと思われます。素材に天然染料やオーガニックコットンを用いる、皮革をなるべく使わず使う場合も食用副産物を利用する、製造においては人権侵害の無い地域や労働者の人権が守られているところから購入したり強欲なコストダウンを行っていないフェアトレードに配慮したメーカーから購入する、というように倫理的・道徳的な服飾をエシカルファッションといいます。昨今話題となっているサスティナブルや脱炭素、ESGやSDGsに近接した概念の一つです。
効果が薄く莫大な金銭を浪費するような国家による脱炭素化には個人的に反対なのですが、個々人やそれぞれの企業が自主的に行う自然配慮・環境保全活動には賛成の考えを持っているため、エシカルを推奨していくことは良いことだと思っています。
ただ難しさを感じるのは、そのような人の善意を利用する悪人をどう社会から見つけ出すかです。つまりグリーンウォッシュやSDGsウォッシュを如何に排除するかについて社会的な基準や合意が必要だと考えています。
カーボンプライシングの難しさ
例としてカーボンプライシングを考えてみます。カーボンプライシングには炭素税や排出権取引、クレジット取引など広範な方法があるため一概に説明するのは難しいですが、簡単に言えば炭素排出をお金で測ろうという方法です。
ここで課題になるのは炭素排出をどう測定するかです。
例えばある洗剤があるとして、洗剤Aは生産時の炭素排出が100、洗剤Bは生産時の炭素排出が30だとします。しかし洗剤Aは自然に分解するので使用後の炭素排出は0、洗剤Bは分子結合を切るために化学処理が必要であり、自治体によって処理能力が異なることから使用後の炭素排出が50~100だった場合、メーカーはどう表示すべきで消費者は何を購入すればいいでしょうか。製品ライフサイクルにおける炭素排出を明確に測定するのは物理的に不可能であり、メーカーは生産時のみを記載する以外無いでしょう。すると洗剤Aは100、洗剤Bは30と記載されますが、実際の炭素排出は洗剤Aが100、洗剤Bは80~130となります。条件によっては洗剤Bのほうが環境に優しい製品ともなり得るわけです。それを判断するのはメーカーも消費者も難しくあります。
炭素排出をどう判断するかは国際的な貿易面でも難しさがあります。
経産省の研究会において提出された資料では、イギリスやスウェーデンのCO2排出についてデータが出されています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kankyo_innovation_finance/pdf/001_05_00.pdf
データによると、イギリスやスウェーデンでの国内炭素排出量は減っている代わりに貿易輸入での炭素排出は増加傾向にあります。つまり炭素排出を国内で行わずに、途上国で生産して輸入するという産業構造に変わっていることが分かります。この2国は代表データであり探せば他にも同様の国は見つかるでしょう。上記リンクではドイツを除くEU各国で行われているとあります。
このような途上国への炭素排出隠し・押し付けを防ぐために炭素国境調整措置のような方法も検討されていますが、途上国でも他国の産業技術が手に入るというメリットがある以上安易にクレジット導入には同意しないでしょう。よって現状で損失を被っているのは産業が空洞化して働き先が減ってしまう先進国の中間層以下のみとなります。
上記データより、日本は現状輸出入の炭素排出増減が変動しておらず、製造業の国内生産を維持していることが分かります。しかし今後炭素排出にコストが掛かるようになればEUと同様に企業は海外へ工場を移転していくことでしょう。
結論
自然に配慮して環境保全を行うことは必須です。しかしそれをどのようにやるかは難しく、相当に考えて制度設計をしないと悪用する余地ができてしまいます。人々の善意が無駄にならないよう、最適な方法が見つかるといいのですが。お利口な官僚に期待しています。