ふと思ったことをつらつらと。
ビジネス・プロセス・アウトソーシング
仕事中、業務メールに紛れて日経関係の配信メールが送られてきます。
大抵は件名だけ見て3秒以内に捨ててしまう程度に邪魔なもの扱いをしていますが、時々面白い情報があったりするので配信は継続しています。
今回気になったのは『BPOを導入して生産性を向上させましょう』といった内容のメールです。
BPOとは放送倫理・番組向上機構のことかな?と一瞬思いましたが、もちろんそんなわけはなく、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)のことでした。
BPOは企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託することです。今どきのカタカナ言葉に装飾されていますが、要は外部委託(アウトソーシング)の一種ですね。
しかし、このメールや元記事は、なんというか、好みではないです。
外部委託・アウトソーシング・外注・業務請負などの言葉は定義が不明瞭で人それぞれ異なる使い方をしていますが、その内訳は大雑把に分けて、
◆高度な専門性を有する外部に依頼する
◆低付加価値の仕事を安価で請けてくれる外部に依頼する
の2つがあります。
前者はそれぞれの専門性を活かして付加価値の増大を図るWin-Winのビジネスであるのに対して、後者は買い叩きや下請けいじめや賃金格差の温床となる、場合によってはあまり望ましくない行為です。
BPOはどう考えても後者が主ではないですか。
内部で出来る業務プロセスを外部に委託するとなれば、当然ながら自社内でやるよりも安価で請けてくれるところへ押し付けるのですから。配信メールの本文中や元記事にも明確に「コスト削減」と書いてありますし。
つまり「BPOによってコア業務にリソースを集約して生産性を高める」と言えば聞こえはいいですが、やっていることの本質は古代の奴隷制みたいなものです。価値の低い労働は薄給の奴隷へ押し付けて、一級市民は価値の高い労働をして高給をもらう。外部委託先を自社内と同等で遇さない以上、構造はまったく同じです。
もちろんBPOの全てがこうではないですし、BPOに限らず一部派遣労働や業務委託でもこのような構造となっています。そして私は個人的にですが、この構造をあまり好んでいません。
少しでも商品のコストダウンをして付加価値生産性と市場競争力を高めようとする企業努力を否定するわけではありません。
ただ、そもそもコア業務にリソースを集約して生産性を高めたいのであれば、それ以外の低付加価値業務を他所の低賃金労働者に押し付けるのではなく、その仕事を無くしてしまえばいいではないですか。他所に出しても問題ないくらいのどうでもいい仕事、つまりはその企業にとってのブルシットジョブなのですから。
損を外部に押し付けるのではなく、そもそも損が発生しないようにする、それこそが適正な業務改革だと思います。
なんというか・・・醜悪な気がした
何よりも、元記事を書いているのが「人材派遣会社」なのがどうにも醜悪に感じてしまいます。
これが営業代行の企業や購買専門の商社などが書いているのならば、高度な専門性を持った委託専門の組織が営業をかけているだけですので理解します。
しかし人材派遣会社がこういった記事を書いているのは、どうにも勘ぐってしまうものがあります。もちろんこちらも営業の一環ではありますが、なんともはや。
結言
まあ、私が人売り・人買いの仕事を好んでいないだけかもしれません。
口入屋や手配師は必ずしも絶対悪ではなく、雇用促進や困窮者救済の側面があることは重々承知しています。職業紹介事業は不可欠でありその全般を否定するつもりはありません。
しかしそれを承知の上で、人の上前を撥ねる類の詐欺師が横行しているのがこの業界の常であり、あまり私の好みではないだけです。