忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

OJTは現代の日本には適していないのではないか

 OJT(on the job training)は企業内教育の一種です。実際に現場で実務に携わりながら業務知識を学ぶ手法を指します。OJTは直接的かつ効率的に実務を学ぶことができるため、適切な計画に基づき、充分な教育資源と効果測定、必要な教育を受けたメンターのフォローがあれば理想的な教育方法と言えます。

 

 元々は海外で生まれた手法ですが、先輩後輩の区分が明確な日本文化とは相性が良く、今でも多くの組織がOJTを導入しています。

 とはいえ、現代の日本に適しているかと言えば、個人的には疑問です。

 

OJTには充分なリソースが必要

 労働力の代替性が高く「お前の代わりはいくらでもいる」状況、すなわち人に余裕がある状況ではOJTは適切に機能しやすいものです。

 例えば高度経済成長期を迎えて人口が伸びている国家であれば、仕事量に対して労働力のほうが多く、現場に教育を行うだけの余剰リソースが存在していることから多少いい加減でもOJTは機能します。

 しかし経済成長が鈍化し人口が減少している国家においては、仕事量に対して労働力が不足しがちであり、「お前の代わりはいくらもいない」状況です。少人数の現場では目の前の仕事をこなすことに精いっぱいとなっており、現場が新人や若手の教育に割くリソースが存在していません。

 単純に考えて、3の仕事を10人が抱えている職場と、10の仕事を3人が抱えている職場では、どちらもトータルで30の仕事をしていることには変わりありませんが、教育要員として1人を供出することの負荷が段違いです。前者は10%の業務量増加で済みますが、後者は50%の増加になります。

 現状、日本の様々な職場で人手不足になっていることは各種統計によって観測されている以上、OJTが適切に行われる土壌が失われつつあることを認識する必要があると愚考します。

 

教育のアウトソーシング

 OJTが人口減少によって劣化するのであれば、対策が必要です。OJTを行う余裕がない現場で無理にOJTを継続させていては漸進的に仕事の質が劣化していくばかりです。

 もちろん人を雇って現場の人手不足を解消できるのであればOJTだけでなくその他にも色々と助かりますが、そもそも雇う人がいないのだからそれは無理な話です。

 そうなると、現実的な対策は教育のアウトソーシングでしょう。国際統計上、日本の企業はOff-JTに支出する金額が先進国の中ではとても低い水準です。よって今後は海外的なやり方に準拠してOJTからOff-JTに比重を移していくことが必要かと思います。

 

教育業界からの転身はどうでしょう?

 上述よりもさらに雑な愚見を述べてみるのですが、昨今の日本は少子高齢化が進み、大学や塾は少ない生徒を奪い合う業界になりつつあると思います。少なくとも全体のパイは拡大するどころか縮小することは間違いないでしょう。

 そこで、教育業界から教育ノウハウを持ち出して、社員研修や法人研修に教育対象を変えるなんてどうでしょう?

 将来的に人余りになるであろう教育業界が、人手不足で困っている社員研修や企業研修のアウトソーシングを引き受ける、そんな未来。

 もちろん教育内容はまったく異なるので単純にはマッチングできないでしょうが、人にものを教えるノウハウは十分に生かせるのではないかと思うのです。

 

 もしかしたらすでにやっているところがあるかもしれませんし、まったくもって的外れな話をしているかもしれませんが。

 

結言

 学校の先生上がりの研修講師が相手なら、若かりし頃を思い出して社会人講習生も真面目に講義を受けるのではないか、そんな妄想です。

 戯言が過ぎましたので、仕舞にいたしましょう。