忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

企業は管理職に役割を求めすぎでは?

 企業の管理職は主に3つの役割を求められています。

 一つはリーダー。組織のビジョンを伝播してメンバーを牽引し、変化を引き起こすことでミッションを達成する、組織の規範としての役割です。

 一つはマネージャー。メンバーを支援することでチームとして成果を実現する、組織の管理者としての役割です。

 一つはコーチ。メンバーのスキルや創造性を育成して組織のパフォーマンスを高める、組織の開発者としての役割です。

 また、昨今はプレイングマネージャーとして管理職にプレイヤーの役割を期待する組織もあります。さらにはメンバーのやる気を引き出してエンゲージメントを高めるためのモチベーターの役割すらも期待されている場合があります。

 

 率直に言って、一個人に求めすぎではないでしょうか?

 

逸材を求めすぎている

 リーダーとマネージャーとコーチ、さらにはプレイヤーやモチベーターまで兼務して完璧にこなすことが出来る人は確かに巷にはいるでしょう。

 いるでしょうが、そんな並外れた傑物が世の中の多数派だとは思えません。

 形だけであれば確かに兼務も可能でしょう。

 しかしリーダーとしては優れていてもマネージメントが苦手な人も居れば、マネージャーとしては優秀でもコーチングが出来ない人だっています。全てを完璧にこなせるのは一握りの逸材のみです。

 厚生労働省の調査では産業全体での管理職比率は約11%が平均値です。つまり大雑把に言えば労働者の9人に1人が管理職です。

 リーダーとマネージャーとコーチを完璧に兼任できる凄い人が9人に1人の割合でいるかと言えば、それはさすがに期待し過ぎではないでしょうか。

 

部活動くらいの役割分担があって然るべき

 強豪とまでは言わなくても形式が整った、学校の運動部を想像してみてください。

 そういった真っ当な運動部ではこれらの役割は分担されています

 リーダーの役割は顧問や部長が担って、プレイヤーを引っ張っていきます。

 マネージャーはメンバーとは別に配置されて、プレイヤーの支援を行います。

 コーチには専門の指導員が雇われて、プレイヤーの教育を行います。

 これら役割が分担されているのは簡単な話で、それぞれの役割をこなすには別々の専門性が必要であり、役割分担したほうが効率的だからです。

 

 翻って企業の管理職を見ると、これらの役割を1人で兼任して立派にこなすことを何故か期待されています。

 それは9人に1人の人材、つまり普通の人には求めすぎだと思う次第です。

 

結言

 一個人に集中して役割を持たせることはコミュニケーションパスの簡略化といった面で見れば短期的には効率的かもしれません。

 しかしそれは持続可能ではありません。管理職の自殺率の上昇など、一個人の耐えられる負荷の限界に近づきつつあることを各種指標が示していると考えます。

 人間的魅力が優れていて人を惹きつけるタイプであればマネージャーやコーチの役割までは期待せずにリーダーやモチベーターとして活躍してもらう、人間関係の調整が得意な人はマネージャーに配置し、教えることが得意な人にはコーチを任せる。

 そのように適材適所に合わせて役割分担と分業を進めた方が総合的なパフォーマンスも事業継続性も高まるのではないかと愚考します。

 なにより、その方が人に優しい社会になれそうです。