スケジュール管理とはプロジェクトや業務におけるマイルストーンやタスク、そして必要な成果物といった要素をマネジメントすることです。ガントチャートのような進捗管理表を用いて実行されているところが多いかと思います。
スケジュールという響きから人はつい日程や納期、つまり時間(タイム)に気を取られてしまうものですが、それは実のところ大きな間違いです。
無視された実現可能性
進捗管理表によるタイムマネジメントを否定するわけではありません。必要な中間報告やレビューに遅延が生じないようマイルストーンは不可欠ですし、やるべきタスクやそのためのプロセスを見える化し、必要な成果物の管理を行うためには進捗管理表が必要です。
ただ、マネージャーの仕事はカレンダーに線を引きその通りにメンバーが動くよう尻を叩くことだけではないことを忘れてはいけません。
もちろん引いた線の通りに事態が進捗しているか、遅延は無いか、遅延が起きたとしてそれはどうすれば取り戻せるか、という進捗を管理することは重要ですが、しかしそれよりもスケジュール管理において重要なのはカレンダーへの線の引き方です。この最初の入り口でボタンを掛け違えてしまうとスケジュールは簡単に破綻し、プロジェクトは容易に炎上します。
進捗管理表を作成する際、それぞれのタスクやプロセスに必要な人員・費用・能力といった資源(リソース)がどの程度必要かを考えて線を引く、という程度のことは教科書的には当然とされています。
しかしたとえその線をこなすに足るリソースが存在しない場合でも線を引くだけであれば簡単に引けてしまうことから、現実のスケジュール管理ではリソースを考慮しない線が引かれてしまいがちです。
アサインできる人材が居ないというのになぜか引かれている線。
バッファを考慮していないためにちょっとしたトラブルで容易に破綻する線。
そもそも現状のリソースでは実現不可能な線。
真っ当ではない進捗管理表を見たことがある人であればこういったものは見慣れたものでしょう。そのような線が引かれてしまうのは最初に線を引く時の誤り、リソースの重要性を充分に理解していないことが原因です。
リソースベースとタイムベース
製造業において、量産品の製造は基本リソースベースです。
機械の加工能力、部品の在庫と発注数、場所や電気や工具の空き、稼働できる作業員の人数と能力、そういったリソースがまず先にあり、それに基づいて生産計画が立案されます。
精神論で気合を入れるとか根性論でやり切る意志を持つとかそういったものは考慮されません。物理的に作れない量は作れませんし、出来ないものは出来ないと判断されます。工夫や努力によって拡大できるキャパシティを超える分はそもそも受注を取りません。製造業ではそのために生産管理という専門職があり、日々リソースの管理に取り組んでいます。
それに対して新規開発やプロジェクトはどちらかというとタイムベースでのスケジュール管理が行われやすいものです。いつまでに何を行う必要があるかが先にあり、そこから逆算してカレンダーに線を引いていきます。
これは多少やむを得ないところもあります。量産品は必要なリソースが明確でありマネージャーの理解と大きな差異は出ません。それに対して新しく立ち上がるプロジェクト等ではメンバーがどの程度の能力を持っており現在どの程度の負荷を抱えているのか把握するのが難しく、どのようなトラブルが起き得るかを想定するのも困難です。持つべきバッファの量も不明確であり、リソースベースで考えるには限度があります。
しかし、だからこそスケジュール管理を行う最初、入口のところでリソースに気を配らなければいけません。現実問題として、足らぬものは足らぬのであり、できないものはできないのです。いざスケジュールが動き出した後にリソースを途中追加するのは至難であり、手をこまねいている間に期日が近づいてきてしまいます。
リソース不足で期日前後に揉めてしまい信用を失うくらいであれば、リソースを熟考して最初の段階で揉めたほうがまだ日程を調整しやすく信用も失いにくいものです。
結言
とにかくスケジュール管理をするにあたっては何はさておきリソースマネジメントです。資源が無ければ何も成し得ないのは必然であり、マネージャーはタイムよりもリソースの掌握に腐心しなければなりません。
酷な表現を用いますが、カレンダーにただ線を引くだけであればマネージャーなんて立派な肩書の存在はいらないのです。現状リソースを把握してカレンダーにどのような線を引くか、その線を実現するために必要なリソースを充分に確保できるか、それこそがマネージャーに求められている能力の1つです。
余談
今回の話は当たり前のことではありますが、どうにも世の中にはリソースを重視しないマネージャーが多数いらっしゃいますので・・・