たまの日記要素。
たまの愚痴要素。
リソースとフローの優先度
仕事が忙しくて疲労感が凄いです。
何がなんでも絶対に間に合わせなければいけない納期があり、そのためにてんやわんやしています。
まあそれは仕方がないことですが、どうにも趣味的な部分で上層部と合わないところがあるため、メンタル面での軋轢が肉体的疲労を加速させている感覚です。
趣味的な部分とは、リソースとフローに対する考え方です。
これらは生産性や効率性に関連する概念です。リソースは人員や設備、資材やお金など物事を行うために必要な資源を意味します。フローは流れや工程といった時間に関連する言葉です。
『人月の神話』的な話として、フローを過剰に優先すればするほど必要なリソースは必ず増えます。通常よりも短時間で物事を進めれば特急料金が嵩みますし、他の業務が圧迫されてロスも機会損失も生じます。余分な人件費だって掛かりますし、確実な成果の為に複数手段を並行して動かすことで膨大なリソースが消費されていきます。
リソースとフローのどちらを優先すべきかは単純に峻別できるものではなく、時と場合によります。
フローを重視して最速で提供することに価値がある場合、例えばソフトウェア開発で基本機能だけを先行して顧客へ提供し、その後に追加機能を順次実装していくような事例では、顧客へ早く価値を提供できてそれだけ多くの利益が得られるため、フロー効率を高めることに意味があります。
対してフロー効率の最大化が最適解とは限らない場合もあります。顧客や関連業者の都合で日程が定まっている場合はそれよりも早く物事を動かしても意味がありません。それはリソースの無駄遣いになります。
リソースとフローは利得が最大になるバランスを模索する必要があります。早ければそれだけ利得がある場合においては許容範囲内でリソースを浪費してでもフロー効率を高める意味があり、そうでない場合はリソースの投入量を調整して適正なフローを構築することが優先されたほうが良いでしょう。
リソースの無駄遣いが嫌い
今回、私がやっている仕事はユーザーサイドに完成品を提供する日程が決まっています。そのため毎日コツコツと進めて、基本案と予備案の二つを期日に間に合わせたいと思っていました。
ただ、上層部からの業務命令で「他の全ての業務を止めてでも最優先で最短で実現しろ」と指示が出ています。よって期日の前に確実な成果を出すため、予定の半分以下の時間で複数案の実現を進めています。
気持ちは分かります。確実性を高めるために時間的余裕と言う名のバッファを大量に構築したいということは。半分以下の時間で完了まで至っておけば、もし何か問題が生じたとしても期日までに解決できる可能性は高まることでしょう。
ただ、担当者から言わせてもらえば、そのためのリソース浪費をちゃんと補填する目途を立ててから指示して欲しいのです。
当たり前のことですが、他の全ての業務を止められるわけがありません。どのような業務であっても後工程の人々が居る以上、私のところで仕事を止めると膨大なロスが生じます。私を優先タスクだけにアサインしたいのであれば、「他の全ての業務」を補佐するためのフォローリソースが不可欠です。
そして今回はそのリソースを手配されていません。
そのため、ほぼ確実に無駄になることが目に見えている過剰な予備案を進めるために、必要以上の資材手配、残業増加による余分な人件費、嵩む特急費用と日程調整のためのコミュニケーションコスト、遅れがちになっている「他の全ての業務」の謝罪や納期調整コスト、その他もろもろのリソースが浪費されています。フォロー要員の手配も無かったことから、私個人のリソースを放出しています。
つまり、上層部が安心を買うために膨大なリソースの無駄遣いをしている状況です。
こういった無駄遣いは、好みではないです。
結言
誰だって確実性を高めて安心したいものであり、それは避けようがない人間心理です。
ただ、確実性とコストは効用逓減の法則が働くものであり、90%の確実性に支払うコストと91%の確実性に支払うコストは比例関係にはありません。確実性を極限まで高めようとすれば支払うコストも極限まで高まっていきます。
支払うべきコストはどこが妥当だと線引きするか、リソースとフローのバランスをどこに置くか、それは感情的安心に依拠するのではなく手持ちの財布と相談するほうが良いでしょう。
余談
各所に大量の貸しを作っているため、この手の短納期案件も無理を言って回せるのですが、正直に言えば信用資源の無駄遣いが勿体ないとしか思えません。もっとこのリソースは利益を生むことに使いたいというのに。
短納期案件での肉体的疲労よりも、この浪費の精神的疲労のほうが大きいです。