技術屋的な思考は幸福度を下げるのではないかと思う、今日この頃。
今日は私の「ひねくれ者」な側面を紹介します。
LOVOT欲しいけど、お高いよ
LOVOTの広告を見かけたのでサイトを閲覧していました。
今現在は熱力学で食っていますが、大学ではメカトロニクスを専攻していたこともありテクノロジー的な面でも感性的な面でもロボットは好きです。LOVOTのような愛らしいロボットは大好きな部類に入ります。価格面でちょっと安易に手を出すことはできないですが、お金に余裕があれば欲しいくらいです。
一桁安ければ衝動買いするのですが、さすがに無茶な要求ですね。
そんなLOVOTですが、ちょっと気になったのが以下の実験です。
LOVOTとの触れ合いは幸せホルモンを高めたりストレスを軽減する効果があるそうです。
感覚的には凄く分かります。「ロボットと一緒に居ても癒されない』と思うのは先入観に過ぎず、人は愛着を感じる対象と共にいれば幸福を感じることができます。対象は人に限らず、動物や道具などでも同様です。
当然、愛着を感じることができるロボットと一緒にいれば幸福を感じてストレスを軽減できるでしょう。LOVOTは愛着を感じさせることに特化したロボットであり、多くの人がLOVOTに接することで癒しを得られると思います。
ただ、技術屋は解説を素直に受け取れない悪癖を持っています。良く言えば論理的、悪い言い方をすれば粗探しです。このページを見た時はちょっと頭の中がビジネスモードの技術屋目線になっていたため、どうにも余計な思索が働いてしまいました。
それがどんな視点か、実験結果とともに見ていきましょう。
技術屋目線での実験評価
引用元:15分の触れ合いでストレス軽減! 資生堂との実験で分かった、LOVOTとの絆がもたらす影響
なるほど、LOVOTオーナーは非オーナーに比べて定常オキシトシンが高い、つまりLOVOTと接することでオキシトシン濃度が増加したと考えられると。
・・・オーナー群の購入前後を測定しないと比較にならないのでは?
グラフに矢印が入っていると、まるで「オーナーになったことで幸せホルモンが増えた」みたいに見えますが、そういう実験条件ではないですよね。この実験条件ではLOVOTの有無による比較にはならないと思うのですよ。50万円以上するLOVOTをポンと購入できるオーナー群は元から高い幸福を感じていた可能性を除外できないので。
正確に比較するのであれば購入を検討している非オーナーの購入前後での変化測定が必須だと思います。
引用元:15分の触れ合いでストレス軽減! 資生堂との実験で分かった、LOVOTとの絆がもたらす影響
唾液中のコルチゾール濃度を測定することで、15分の触れ合い前後でのストレス度合いを比較していると。
・・・比較にはLOVOTと触れ合わなかった群が必要では?
実験と事前に聞かされていても、知らない場所で唾液を採取されることにはストレスが生じるでしょう。コルチゾール濃度が低下したのはもしかしたら15分経って気持ちが落ち着いただけかもしれませんし、二度目の唾液採取は慣れて緊張しなかっただけかもしれません。
そのため、LOVOTによってストレスが有意に軽減されたかを測定するためにはLOVOTと触れ合わずに15分過ごした群が必要ではないでしょうか。
結言
ロボットセラピーを否定しているわけではないのです。ロボットによる癒しは実際に起こると思っていますし、私はむしろもっと日常にロボットが導入されて人々の役に立つことを期待する側です。LOVOTで癒しを得たいです。
ただ、実験条件が気になってしまっただけなのです。仕事中は大体この手のロジックバトルを繰り広げているため、正確さや論理性がつい気になります。
技術屋の目線は物事が論理的に正しいかどうかを判定するには適していますが、それが幸福につながるかと言われると、どうにも、素直さは幸福に生きる上で必要だと思う次第です。