そういえば地元の具体的な話をブログでしたことはないので、してみましょう。
私の地元は栃木県宇都宮市です。生まれは東京ですが、物心つく前に宇都宮へ越したので東京のことは覚えていません。
宇都宮は田舎の中の都会、都会と田舎の中間、言わば「トカイナカ」にあたる街です。などと宮っ子は言い張りますが、個人的には田舎寄りだと思っています。一応不便がない程度にそこそこ栄えてはいますけども。
以前の記事で軽く厳しめな視点を晒していたりしますが、一応は愛郷心あってのものです。私は田舎も地元も好きです。
都会のような喧騒は無く、しかし田舎町ほどの閑散も無い、順当な立ち位置の地方都市。大都会のような予算が無いために大掛かりな都市開発は行われず、しかし都心から遠く離れた地方のように後から計画立てて発展させた地方都市とも異なる、雑然とした区画や曲がりくねった道が生み出す独特の霞んだ空気。人々の積み上げてきた名残りが色濃く残るモザイクめいた都市の様相。
実のところ、本質的な部分は何も変わっていないのだろう。都会のような素早さも田舎のような静けさもないこの都市の緩慢な空気は、止まっているわけではない感覚と止まっているかのような感覚の双方を同時にもたらしている。決して後ろ向きなものではなく、しかし同時に前向きなものでもない。
やはり、なんとも霞めいてぼやけている。
LRTと呼ぶべきか、ライトラインと呼ぶべきか
そんな宇都宮に関心を持つ極めて一部の界隈に話題なのが2023年に開業したばかりの新しい鉄道、宇都宮ライトレール(LRT)です。
路線名や愛称は「ライトライン」に統一することが昨年に決まっているようですが、昔から話を知っている人からすれば何年も「LRT」と呼んできたのでなかなか変えがたいところがあります。
マイナーな地方都市の路線とはいえ新規路線でライトレールが建設されるのは一応日本初ですので、ちょこちょこ全国ニュースにもなっていたと思います。まあ、一番ニュースになったのは開業前に脱線事故を起こした時と、開業早々に乗用車と衝突事故を起こした時ですけども。悲しい。
路線は宇都宮駅から商業施設・工業施設・学校・観光地を繋いでいるため、通勤や通学にも使えますし買い物にも小旅行にも使えます。
特に宇都宮の工業団地へ出張する他県のビジネスマンの足として役に立つでしょう。今までは車かタクシーだったのが安価な交通機関を利用できるようになりました。そのためにわざわざ鬼怒川方面の芳賀・高根沢工業団地まで路線を繋いでいますし、現在の終着駅は本田技研のど真ん前であり、出張と通勤以外に誰がこの駅を使うのかと言わんばかりの駅です。駅を降りて辺りを見回しても本田技研以外にはコンビニ一つありません。
ちなみに宇都宮の工業団地と言いつつも実際は宇都宮市ではありませんが、まあそれは東京ディズニーランドが東京にないのと同じ理由です。
そんな利便性のある宇都宮LRTですが、ただ、駅にそこまで近くない地元民からするとあまり乗る機会がないことも事実です。宇都宮は車社会ですので地元民はみんな車を所有していますし、大抵の施設は車を前提とした場所に設置されています。いくつかの駅には駐車場が併設されていますので車で行ってLRTに乗ることはできますが、「だったら車でそのまま行ったほうが早いし楽」です。
よって開業からおよそ半年ほど経ちますが、ずっと宇都宮に住んでいる私の両親は一度もLRTに乗っていませんでした。稀に帰省するだけの私なんてなおさら乗る機会がありません。
一部界隈とはいえ話題のLRT、このまま乗らないのではモッタイナイのではないか。さらに言えば今年は喪中なのか喪中ではないのか微妙な正月だったため親戚付き合いもほどほどであり珍しく暇な時間の多い正月、恐らく空いているだろうし行くならば今だろう。
ということで、両親と私で記念乗車をしてきました。
宇都宮市民ならば誰もが知っていると言っても過言ではないベルモールから終着駅の本田技研まで、片道40分程度のちょっとしたお出かけです。
定年まで本田技研で働いていた父は懐かしそうに風景を眺めていましたし、私も地元を離れてもう長いので、宇都宮市東部の想定外に開発されつつある様変わりした風景を楽しむことができました。
ちょっとした良い思い出として記憶の棚に仕舞っておきます。
結言
乗り心地は良くほとんど揺れを感じることがありませんでしたし、駅や車両の各種インターフェイスも分かりやすく初めての人でも乗りやすいかと思います。導入には微妙に賛否両論がありましたが、乗った感想としては、これはなかなかに良い物です。
少なくとも、少し近未来チックなライトレールが宇都宮を走るようになり地域の活性化に役立っている。それはポジティブなことだと思いました。