忘れん坊の外部記憶域

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おっさんであることの罪~マンスプレイニング

マンスプレイニングとは

 マンスプレイニング(mansplaining)と言う言葉があります。男性(man)と、説明するの俗語であるsplainingを組み合わせた言葉です。男性が女性や子供に対して見下したかのような、自信過剰な態度で何かについてコメントしたり説明したりすることを意味する批判的な造語です。

 これはおっさんからすると心当たりがあろうが無かろうがヒヤッとする言葉です。心当たりがあるおっさんは相手に不快感を与えていたことに驚きと恥を覚え、心当たりがないおっさんも自身の言動を内省することでしょう。

 マンスプレイニングに関しては講談社の現代新書に良い記事があります。

 今回はマンスプレイニングについておっさんからの視点を少し書いてみたいと思います。しかしこの記事こそがまさにマンスプレイニングなのではないかと怯えるばかりです。

マンスプレイニングの気になる点

  説明好きなおっさんは間違いなく存在します。貴方のそばにも間違いなく絶対に居るはずです。私も毎日鏡を見る度に発見しています。

 しかしこの手のおっさんは特に相手の属性を選んではいないような気がします。相手が子どもだろうが女性だろうがおっさんだろうが説明好きなおっさんは滔々と説教や説明を敢行します。専門家に対して素人のおっさんがその分野の知識を披露しているのは病院やSNSでよく見かけますし、男所帯の職場ではおっさんがおっさんに説教する誰も幸せにならない光景の方がよく現出します。言ってしまえば私のブログもそんな部類に入るでしょう。いとかなし。

 また、おっさんだけが説明好きかと言われるとそうとは言えないような気もします。聞いてもいないことを延々と説明してくださるおばさまもいらっしゃいますし、子どもが学校で勉強したことを楽しそうに説明するようなこともあります。少し調べてみた限りでは統計データが見つからなかったため印象だけの話になるのですが、説明好きはおっさんだけの特徴的なものではないという感覚です。

 ではなぜマンスプレイニングという言葉でおっさんだけが槍玉に挙げられるのか。それはもうただ単純に、女性や子どもと比較しておっさんに説明されるのは不快だから、ということ以外には論拠が無いような気がします。そう、つまりおっさんだから悪いのであり、おっさんであることが罪なのです。おっさん罪です。

 マンスプレイニングはハラスメントの一種です。ハラスメントは今や一般的な用語になりましたが、本人の意図に関係なく相手を不快にさせたり尊厳を傷つけたりすることを意味します。よっておっさんに説明されるのが不快だと思えば、それは立派なハラスメントになります。 

頑張って擁護してみる

 私もおっさんの一味であるからには一味をとりあえず擁護、というよりも自己弁護してみたいと思います。できるかな・・・

 おっさんの社会では基本的に腕力か知力がモノを言います。大雑把な分類としてはブルーカラーとホワイトカラーでの違いでしょうか。腕力の世界は分かりやすく、力による棍棒を振りかざし合っておっさん達が競い合っています。同様に知力の世界では知識を棍棒にしておっさん達が殴り合っています。私のような技術職はまさにそんな知力の世界で、「知らない奴は使えない」、「分からないならいらない」、「着いて来れないのは知識をアップデートしない奴が悪い」というような考え方です。そんな世界に生息するおっさん達の価値観は、「知識が多い奴は偉い」、「知らないと恥ずかしい」、「知らない奴には教えてやることが優しさだ」というようなものです。

 そう、そんなおっさんからすると相手が知らないことを教えるのは優しさのつもりなんです。不器用なだけで悪気は無いんです。駄目だ、ハラスメントしてる側の理屈だこれは。私の文章力ではおっさんを擁護できない!

 おっさんからしても、子どもが説明してくれば微笑ましいですし、おばさまが説明してきてもおしゃべりな方だなーと思いますが、おっさんが説明してきたらうっとおしいですもの・・・擁護とか無理ですよー。

結論

 ハラスメントは行為者の意図とは関係無く、受けた相手の感情によって決まるものです。よっておっさんは特に気を付けなければいけません。私も気を付けます。おっさんの擁護を試みましたが、私では擁護できませんでした。

余談

 マンスプレイニングに似た言葉として、公共交通機関で男性が開脚座りをすることをマンスプレッディング(manspreading)と言います。これは擁護の余地無く邪魔なので、おっさんからしても邪魔なので、控えめに閉脚してもらえると助かります。

余談2

 最初に引用した記事で

女性は「女医」とか「女流作家」のような自分たちを有徴化する言葉に慣れているのが、おそらく男性は例外化されることに慣れていないのではないかと考えられる。

とくに説教好きとは思えない男性まで「マンスプレイニング」にびっくりしてしまうのは、男子文化の中で大目に見られがちな振る舞いが、実はより広い社会の中で見ると人類のデフォルト礼儀ではない、ということを意外な形で突きつけられてしまうからではないかと思う。

 とありますが、例外化とかの高等な理由ではなくて恐らくおっさんとしては相手に不快な思いをさせていることに気付いていなかったからびっくりするだけだと思います。あといきなり「お前らの言動不快なんだよ」と言われたら多分おっさんじゃなくてもびっくりすると思います。