忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

ハラスメントの主張は度が過ぎない程度に

 私は人とお酒を呑むことが好きなので職場の飲み会も好きなほうですが、お酒が嫌いであったり、公私をしっかり分けることを好んでいたり、雰囲気が好きではなかったりと、世の中には職場の飲み会を嫌いな人もいるかと思います。

 誰にだって好き嫌いがあることは承知していますので参加を無理強いすることはしません。呑みの席で気を遣うのは面倒ですので、飲み会は飲み会が好きな人が集まって呑むほうが一番気楽で愉快なものです。

 まあ、私のように職場の飲み会でも気を遣わない無神経な人間だからこその意見ではありますが。お偉いさんが居てもさほど気にしませんし、実のところ酔ったおじさんのトークを聞くのはそこまで嫌いではないので、むしろお偉いさんの近くに座ります。「お酌をしながらお偉いさんのトークを聞く係」がいると雰囲気のおさまりが良くなるので、なんというか、適材適所です。

 

 そんな飲み会に関連して、最近ちょっとハラスメントについて思う所があったので考えを整理してみます。

 

ハラスメントの難しさ

 ハラスメントとは発言や行動によって他者に不利益を与えたり不愉快にさせることを指す言葉です。

 飲み会への参加を強要して欠席したら評価を下げたり、嫌がる人にお酌をさせたり、飲み会で過度な弄りをしたりと、そういった行為は絶対にNGです。これは明確にハラスメントに該当します。

 

 ただ、ここまで過度ではない場合も安易にハラスメント認定されかねないことを懸念しています。

 例えば最近では「上司から飲み会に誘われること自体がハラスメント」だとする見解を見かけました。

 いや、分かります。飲み会が嫌な人からすれば飲み会の話が出るだけで嫌な気持ちになるでしょうし、上司とサシで話すことすら嫌な人だっています。誘われることすら不愉快に感じるのであれば、それはハラスメントに当たります。

 

 しかしながら、これは場合によりけりなパターンもあるかと思うのです。

 それはまあ誘う側に下心や嫌がらせの気持ちがあれば情状酌量の余地はないのですが、ただただ無邪気に本音で部下と向かい合いたい熱血系の上司や、そういったコミュニケーションによって救われた経験を持つ上司など、良かれと思っている場合もあるわけで。

 もちろんハラスメントの定義からすれば発信者の意図は関係なく受けた側が不快を覚えればハラスメントになります。ただ、「上司が飲み会に誘うこと自体がハラスメントです」と拒絶したら、それをハラスメントに感じる上司もいるかもしれないわけです。なんでもかんでもハラスメントだと言ってしまうとハラスメントハラスメントになりかねません。

 互いにハラスメントをし合うような関係はあまり健全ではありませんので、ハラスメントの認定には上手いこと線引きをする必要があると考えます。

 

ハラスメントの線引き

 つまるところ、「それはハラスメントです」とバッサリ鉈を振るうのは少し攻撃的になり過ぎやしないかと懸念しています。不快を感じたからといって相手を不快にしていいかと言えば必ずしもそうとは言えないわけであって、下手をすれば話がこじれて負の連鎖が生じかねません。

 ハラスメントの線引きはどこにあるかと言えば、一方通行で押し付けるのではなく、双方が納得のいくところで落とすことだと考えます。一方通行であるのがハラスメントですが、一方通行であってはいけないのは双方です

 飲み会の例であれば、「上司が飲み会に誘うこと自体がハラスメントです」といきなり斬り付けるのではなく、温厚に断ることもできるかと思います。もしかしたら相手がハラスメントに気付いていない可能性もある以上、いきなり伝家の宝刀を抜くのはまだ早いです。

 拒絶の意思を示しても相手が引かずにしつこいようであればそれは一方通行ですので、ここでハラスメントの刃を抜きましょう。

 

結言

 ハラスメントは立場が弱いものを救うための強力な刃です。そのひと振りで権威者・強者を圧倒することができます。

 しかし、強力だからこそ、その振るい所は気を付けねばならないのではないかと思う次第です。下手に振り回し過ぎると刃こぼれしてしまい、いざという時に使えないナマクラになりかねませんので。