忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

政治のネガティブキャンペーンに異議を述べたい

 選挙の時期は政治系クラスタやメディアが活発化どころか過激化して凄まじい勢いでネガティブキャンペーンが増えるため、眺めているとちょっと疲れてしまいます。とはいえ投票行動のために政治情報を集めるには嫌々覗き込まざるを得ないのですが。

 もっとこう、綺麗事ではあるけども、ラブ&ピースで、穏やかにいこうぜ?という気持ちを吐き出したく、思うところを書いていきます。

 

実在の人物・団体とは一切関係が云々

 私も政治的な話題を時々ブログで書いていますが、その際は特定の政党や個人を話題とはしないように気を付けています。区分しても精々が『与党』『野党』までです。さすがにまったく取り上げないわけではありませんが、そもそも特定の人物・団体を取り上げたくないのです。

 なぜならばその人物や政党にも投票してくれる支持者がいるからです。誰だって自分が好きであったり支持していたり愛していたりするものを悪く言われるのは嫌じゃないですか。

「お前あんな球団応援してんのかよ!あそこすげえ弱いじゃん!」

とか、

「チョコミント好きとかありえないよね!あんなの歯磨き粉でしょ!」

とか、

「田舎が好きって、お前変人だな!都会のほうが便利だし楽しいだろ!」

とかそんなことを言われたら、それらが好きな人はどう考えても嫌な気持ちになるわけで、場合によっては戦争なわけですよ。

 もちろんそういうコミュニケーションスタイルはあります。じゃれ合うようにちょっとキツイ言葉で貶し合うような、もしくはニヤニヤしながら小突き合うような、そういった親しい間柄ならば許されるやつです。

 でも政治クラスタやメディアはそういうコミュニケーションとは一線を画しているとしか思えません。真顔で、真剣に、全力で相手が支持しているものを攻撃する人が多く、どこを見回してもあの政党は何が悪いとかあの政治家はこんな悪いことを言っていたとか、そんなネガティブキャンペーンばかりです。

 なんで政治の話ではそういうのが許される雰囲気なのか、よく分かりません。

 

民主主義では多数派を作らなければいけないのでは?

 食べ物や趣味の話ならまだいいんです。

 例えば私は鶏の唐揚げが大好きですが、別に唐揚げ好きを増やそうと布教する必要もないですし牛肉好きや豚肉好きの人が居たって何も気にしません、そんなのは人それぞれです。誰かが唐揚げをディスっていたとしても「だったら食わなければええやん!」と思う程度のものであって、唐揚げ好きが多数派である必要はありません

 でも政治はそうではないでしょう?どこそこが悪いと個人が愚痴る分にはいいと思いますが、民主主義政治において政治家や政党、その支持者たちが自らの掲げる政策や目的を実現するためには何はともあれ多数派を形成しなければいけないわけです。そのためにはネガティブキャンペーンなんか張ってる場合じゃありません。

 それはまあ、ある政党に対するネガティブキャンペーンが成功すれば「じゃあここに投票するのは止めとくか」となってその政党の得票は減るかもしれません。でもそれは「代わりに君が支持するところに投票するよ」となるとは限らないわけです。むしろ「あそこはこんな不祥事を起こしたのか、じゃあ似た意見を言っているあっちの政党に投票しよう」となるだけで、ネガティブキャンペーンを張ったところが賛同者を増やせるかといえばそうはなり難いのです。

 それこそもしも私が「牛肉なんて高いだけだよ!それに環境負荷も大きいし!」と騒いだとしても、鶏の唐揚げを選ぶ人が増えるとは限らないという単純な話です。下手をしたら豚肉派を増やしてしまうだけかもしれません。

 

嫌いを避けるのではなく、好きを選ぶ時代

 さらに言えば、現代社会は情報化社会であり、どのような事柄においても無数の選択肢がある時代です。特にコンテンツ産業でそれは顕著でしょう。

 そのような時代、そのような分野において、競合へのネガティブキャンペーンはほとんど効果がありません。人々は無数の選択肢から自分が好みのものを選ぶことに慣れているからです。現代の人々は忌避ではなく選好を行動の基準としています。

 選択肢が無いのであればAの代わりにBを選ぶという行動を取りますが、選択肢が多いのであればAが駄目でもB~Zの中からどれかを選ぶだけであり、ネガティブキャンペーンでどこか一つを落としても自身のコンテンツへは集客できないのです。

 よってユーザーへの訴求力を持つのは「うちは他所よりも〇〇〇が優れている」というポジティブキャンペーンです。「あっちの水は苦い」ではなく「こっちの水は甘い」であり、北風よりも太陽こそが集客力を持つ差別化ポイントとなります。

 だから、政治においても他所のネガティブキャンペーンを張るのではなくもっとポジティブキャンペーンを張ってもらいたいのです。そのほうが効果的ですし、なにより穏やかで平和的です。

 

結言

 悪罵を飛ばし合ったりボコボコ殴り合うようなコミュニケーションがあることは分かりますし、それを否定する気はないのですが、政治は世の中を良くすることが仕事であって欲しいです。そして、だからこそ政治活動をする人々にはギスギスするような争い方ではなくもっと穏健にやってもらいたいのです。人に罵言を飛ばす人が世の中をよくできるとは思えませんので。