どうにも今夜は眠れないという夜。本でも読めば眠気が来るかなとKindleを開き、『月刊少女野崎くん』の新刊が出ていたので読み始めたところ、あまりの面白さに全巻読み返すことになり、おかげさまで朝を迎えました。
なぜ眠れない夜だというにギャグ漫画に手を出すのだ・・・
娯楽に対する姿勢
明治における戯作(小説)への批判や野球害毒論のように、新しいものや娯楽性が高いものはどうしても世の中から批判を受けるものです。
漫画もその一種と言えるでしょう。小説や野球と同様、すでに漫画も市民権を得ているとは思いますが、未だ一部の人々に若干の忌避感が残っているのはやむを得ないものと考えます。私個人としては「娯楽は心のビタミン」だと思っていますので積極的に摂取していきたいところですが、娯楽性が高いものを忌避することにも一定の合理性があるのでしょう。
まあ、人が何を好くかは人それぞれということです。
活字もいいし、漫画もいい
私は活字であろうが漫画であろうが読めるものであれば手当たり次第なんでも手に取るタイプです。活字であればAmazonで紹介されている本をポコポコ買いますし、基本的にベストセラーとなった本はなるべく手を付けるようにしています。漫画もネットやSNSでしょうもない広告を見かけるとつい興味を持って買ってしまいます。
・・・無駄遣いの極みです。趣味の一環ということで何卒ご容赦をば。
手に取る本のジャンルや思想はさっぱり考慮していません。Amazonさんはご丁寧にも過去の購入履歴から「こういうのが好きなんでしょう?」という本や漫画を紹介してくれますが、むしろまったく逆ベクトルの作品を紹介してくれと常日頃思っています。
例えば活字、今読んでいる本は「安倍政権とかマジでクソだった」という左派の人の書籍ですが、その前に読んでいた本は「皇室ってこんなに凄い」という右派の人の本であり、思想的には見事に真逆です。弁証法を好む人間として、あるテーゼの本を読んだらそのアンチテーゼの言説を見たくなるせいだと思います。
漫画もジャンルを問わず、過激なアクション物も読みますし、少女漫画も読みますし、ファンタジーものだって読みます。先日は「悪役令嬢」モノの漫画を読んだ後、流れで「うだつのあがらない中年男性が突然活躍する」異世界モノの漫画を読みました。実にライトなジャンルの漫画ですね。雨後の筍のように数多の作品が発刊されているので、この情報だけではまったく作品が絞れないということにある種の面白みを感じます。
脳内では
「不遇だった中年男性が降って湧いた幸運で活躍してる作品って面白いか?」
「一応努力を積み重ねてきた描写はあるし、まあ許容範囲かな」
「パッとしない奴が急に活躍するのは物語のテンプレだし普通だろ」
「そもそも中年男性が主人公で、幸運も無く、活躍もしなかったら物語にならないじゃないか」
「謝れ!シェイクスピアやチェーホフに謝れ!」
「え、あ、ごめんなさい・・・」
と、一人自問自答していましたが、まあ総合的には楽しめていると思います。
多様なほうがいい
一種の妄想に近いものですが、以前にも述べたように人の考えは積み木的なものだと考えています。
同じ形の積み木は積み重ねやすく、高い塔を建築することが可能です。しかしそれでは細く折れやすくなってしまうとも考えています。強固な自我の塔を築きたいのであれば高さだけでなく太さ・幅・広さといった概念も不可欠であり、そのためには多種多様な積み木が必要です。
違う形の積み木は積み重ねにくいので忌避しがちなものですが、何もすでに積みあげてきた塔に重ねる必要は無いのです。すでに積み上げてきた塔の隣に同じように積み重ねていくことで、それぞれを補完し合い支え合って、いずれは一つの大きな城を築くことができるでしょう。
塔と言えばタワーディフェンス、ということでもっとライトにゲームで例えてみましょう。
タワーディフェンスはゲームジャンルの一つです。大雑把に説明すると、自陣に防衛ユニットを配置し、攻めてくる敵キャラを倒すのが目的です。多様なユニットからどれを選び組み合わせるか、ユニットの購入・強化・配置場所の開拓など限られたリソースをどう分配するか、ということを考える戦略性が醍醐味といえます。
防衛ユニットは必ず一長一短の特性を持っており、「これさえ手に入れておけばいい」というようなものは存在しません。(それが存在しているタワーディフェンスゲームはゲームバランスが崩壊しています)
例えば『凄く攻撃力が高いけども攻撃速度が遅いユニット』だけでは『足の速い敵』を取り逃がしてしまいます。そういう時は『攻撃速度の速いユニット』を配置したり、『敵の足止めが出来るユニット』と組み合わせなければなりません。
人の思考も道具的に見れば同様かと考えています。先鋭化するのもまたそれはそれで乙なものではありますが、いろいろなものに触れて、いろいろな考え方を持ち合わせていたほうが様々な状況へ対応することが可能です。だからこそ、ジャンルや思想で毛嫌いしてしまうのはもったいないと、そう思います。
余談
日頃真面目くさったことばかり書き散らしているような気がしますが、ゲームや漫画も好きなんですよ、という意味不明なアピールをする習性を私は持っています。