確実に賛否両論割れるであろう会話の記録。
先日のやり取り
○相手「あんな変な議員が当選するなんて、国民は馬鹿ですよ」
●私「まあ、変な人が当選したよね」
○「もっとちゃんとした人が選ばれるような仕組みのほうがいいです」
●「まあ、ちゃんとした人の定義は人それぞれだから、それは難しいよね」
○「あんな変な人が当選するなんて民主主義の失敗ですよ」
●「そこは見解の不一致があるかな。私はあんな変な人が当選することこそが民主主義の成功だと思うんだけど」
○「変な人や駄目な人、悪い人が政治家になったら困るじゃないですか」
●「うん、もちろんすごく困る。だから次の選挙で落とせばいいと思うよ」
○「最初からちゃんとした正しい人を選ぶべきです、そうすれば困ることも無くなります」
●「そうなると、みんなで選ぶんじゃなくて、正しさを選べる少数の賢い人が選べばいいということになると思うけど、それは民主主義じゃなくて独裁や専制と呼ぶんじゃないかな」
○「それでも正しくない人を選ぶよりはましです」
●「なるほど。まあそこは価値観の違いだね。私は民主主義を”正しい人を選ぶ仕組み”だとは思っていないからさ。私は民主主義を”失敗してもリカバリーできる仕組み”だと思ってるよ」
○「失敗するのは良くないと思うのですが」
●「もちろん良くはないんだけど、独裁や専制で変な人を高い地位につけちゃうと、もう止まらなくなっちゃう。でも民主主義は変な人が選ばれちゃっても後々引き摺り下ろすことができる。そうやってリカバリーができること、選択に失敗しても許容できること、そこが民主主義の利点だと思うな」
○「でもヒトラーみたいな事例もあるわけで、民主主義が失敗を取り返せなくなることもあると思います」
●「良い視点だね、まさにあれは民主主義の致命的な失敗事例だと思う。だから権力者の権限を増やす方向に仕組みを変える時は、凄く注意しないといけないね」
○「それよりもやっぱり最初から正しい人を選べばいいんです」
●「でもみんなで投票して決める仕組みを否定して、みんなで選んだ結果を否定すると、みんな”ではなく”誰か”が”正しさ”を決める仕組みに向かうしかなくて、そうなると小数支配の独裁や全体主義になっちゃうよ」
○「みんなで選んだのならば変な人も全肯定すべきですか?」
●「いや、仕組みは否定すべきじゃないと思うけど、人は否定してもいいよ。あいつは駄目だったな、あいつは間違えている、選挙で落とさないと、と言えるのが民主主義の良いところだと思うし。民主主義ではなく賢い人が正しい人を選ぶ仕組みだと、正しい人が間違えた時に誰も掣肘できなくなるよね、だって原理原則的に正しいはずなんだから。正しいからこそ選ばれたはずなんだから、その人を批判するほうが間違えてるんだって理屈が通っちゃう。そうなると、もう止まらないよ」
結言
民主主義は『より良い道を進む仕組み』ではなく、『より悪い道を回避する仕組み』だと思います。それはなんとも迂遠で、非効率で、じれったいものです。それを嫌う人がいるのは仕方がないことでしょう。
まあ、見解の相違です。そういった異なる見解や思想が共存できることも民主主義の良いところだと思います。
余談
酒の席での会話をこの程度に覚えている私は意外と記憶力がいいのかもしれない。
あと、酒の席で民主主義について聞いてくるのは勘弁して欲しい。応じるけどさ、もっと気楽な話をしない?