忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

ありとあらゆるものに余裕(バッファ)を持とう

 所詮この世は諸行無常。

 全ての物事は流転して変化するものであり、常の形は存在しない。

 

 ・・・なんて仰々しく述べるまでもなく、何事においても決められた通り予定通りに動くことはありません。全ては変化の途上であり、物事は外部からの影響を受けます。

 だから何かしらを計画・設計する際には必ずバッファを持つ必要がある、そんな常識的でつまらない話をしましょう。

 

バッファとは

 バッファ(buffer)は緩衝材や緩衝器を意味する言葉です。急速な変化や過渡的な変化が生じた際、系に支障が出ないよう外乱を吸収する役割を持っています。

 バッファの本義である緩衝材をイメージすると分かりやすいでしょう。緩衝材は落下や衝突といった意図せぬ変化に対して対象物を保護するために用いられます。インパクトを柔らかく受け止めて吸収するものがバッファです。

 バッファは緩衝材に限らず、機械システムで言えばショックアブソーバ、流体システムで言えばアキュムレータが該当します。他にもビジネス用語では時間や人員といったリソースの余裕を指してバッファと呼びます。

 いずれにしても、外乱を吸収して緩和することで目的の出力を安定して発揮するために系に備え付けられている機能がバッファです。

 

人に優しく

 バッファが無いシステムを簡単にイメージするのであれば、サスペンションの無い車が分かりやすいかと思います。平坦な道を走っている時には支障が無くとも、そんな車で凸凹の道を走れば乗り心地は最低です。現代の車において部品や回路が故障せず快適な乗り心地を実現しているのは適切なサスペンションが道の凹凸を吸収しているからです。

 

 同様に、人が立てる計画や人が進める物事も全て外部からの衝撃を受け続けます。それを吸収するバッファが存在しない場合、計画はすぐにあちこち故障して止まってしまい、それを進める人々の気持ちも落ち込んでいきます。

 安定的に物事を進める上では前者の点も重要ですが、より重要度が高いのは後者です。感情的にも合理的にも人の気持ちは無視できません。時に人の気持ちは置き去られがちなものですが、物事とは人が計画を立てて人が進めていく以上、人の気持ちを勘案することは必須条件です。それをする人が居なければ、物事は回りません

 

 誰だって乗り心地の悪い車は嫌いですし、居心地の悪い組織は嫌いですし、快適ではない計画は嫌いです。そんな車は乗り換えますし、居心地の悪い組織からは抜けますし、快適でない計画は計画倒れの憂き目を見ます。

 だからこそ、ちゃんと物事を進めて成し遂げたいのであれば、人が関わるありとあらゆるものには余裕(バッファ)が必要だと理解して計画・設計の段階から用意しておかねばなりません。

 

結言

 大上段に組織やシステムの面でバッファを語りましたが、一個人という系においても同様です

 私たちの日常ではちょっとした悪意やふとした敵意、急な変化や過剰な衝撃などなど、様々な外乱が襲いかかってきます。それらをバッファ無しに受けていてはあっという間に故障してしまうことは疑いようがありません。

 だからこそ、それらを受け止めて吸収することで快適な日常をもたらすためのバッファが、私たちの心にも必要でしょう。