忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

「分からないからできません」「教わっていないからやれません」の有効範囲

「分からないからできません」

「教わっていないからやれません」

 これらは世間一般、様々な場所で聞くことができる言い分です。

 まあ、言い分としては理解しやすい内容です。分からないことをサッとできる人はいませんし、教わっていないことまでパパっとやれる人はいません。それは普通のことです。

 

クリエイティビティの有無

 ただ、この言い分が通るかどうかは状況によります。

 例えば学生やアルバイト、ルーチンワークを主軸とする事務職などであればこの言い分は筋が通る話です。到達すべき"型"が決まっており、その”型"通りに実行することが求められている人々である以上、その”型”が適切に教育をされていなければやりようがありません。教育していない範囲をテストで出してもほとんどの学生は答えられませんし、教わっていない業務手順通りに仕事をこなせる人なんていないでしょう。

 よって”型"を教わっていないのであれば「分からないからできません」を言う権利があります。それは教えていない側の過失です。

 

 対して、求められている行動に僅かでもクリエイティブな要素、創造性が含まれている場合、この言い分は通らなくなります。

 これも自然な話で、クリエイティビティが求められる仕事には正解の”型”が無いためです。”型”を実践することではなく”型破り”をして新たな”型”を模索することが創造性であり、今の時点では誰も分かっていない”型”、誰も分かっていないから教えようがない新たな正解を作ることが仕事に他なりません。

 

 マーケティングを担当する人が新商品の企画を命じられた際に「何が売れるか分からないからできません」なんて通じるはずもなく、その分からない中を模索して売れる商品を考えることが仕事です。

 新製品の設計を担当する人が「どんな新製品を作ればいいか教わっていないからやれません」なんて論外な話で、それを考えて設計するのが仕事です。

 コメディアンが「どんなジョークを言えば笑いを取れるか教わっていないのでできません」なんて言えば、次からは呼ばれなくなるでしょう。

 

 まあ、「分からないからできない」の有効性がクリエイティビティの有無によって変わることは、わざわざ言語化するまでもない、普通の話です。

 

言い訳をする時は相手によって言葉を選ぼう

 なぜわざわざ言語化したかと言えば、私が技術屋、つまり創造性を求められる職種の人間だからです。

 私に対して「分からないからできません」「教わっていないからやれません」なんて言い分が通用すると思っているのであればそれはお門違いだということを、社内で周知したいものです。

 

 つまりは、仕事上でのつまらないトラブルがあるという、つまらない話の続きです。

 

(開発時の揉め事)

 分からないからと他所へ丸投げする部署への怒り。ただ、問題解決をしようとする努力があるだけまだマシだった。

 

(その後のトラブル)

 分からないからやらないで無視する、に進化。

 無視は止めて。せめてヘルプを出して。

 

(ついに業務を放り出し始めた)

 分からないから俺たちの仕事じゃない、に進化。むしろ退化?

 

 技術屋からすればクリエイティブな要素を含む仕事で「分からないからできません」なんて言われてしまうと、それに対する応対は「分からないなら(貴方は)いりません」としか言いようがないのです。厳しい話ではありますが。