忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

旗幟鮮明で尖った意見は人々の立ち位置を明るみに出す役割がある

 やるべきではないことは、あえてやりたくなるのが天邪鬼。

 

気になったコメント

 当ブログは侘び寂びを大切にしている、わけではなく、ただネットの片隅にひっそりと佇んでいるだけの場末の駄ブログです。

 イメージとしてはメキシコやテキサスにあるタンブルウィードが転がる乾燥地帯の荒野にポツリと建ったバーでありたいところですが、恐らく実態は日本の地方にあるメインストリートから外れた個人経営の小さな居酒屋的ポジションです。

 ちなみにそういう居酒屋でツマミを食べながら日本酒を飲むことが好きです。田舎で成人を迎えて飲酒を覚えた我が身としては、オシャレなバーやチェーン店よりも個人経営の小さな居酒屋のほうに慣れ親しんでいます。ゴミ捨てが面倒だという雑な理由で飲酒習慣を止めてから5年以上経ちますが、久しぶりにお酒を飲みに行きたくなってきました。

 

 閑話休題。

 こんな世界の隅っこにあるブログでも宣伝目的のコメントや尖ったコメントが極めて稀に書き込まれることがあります。

 以下は先日見かけたコメントです。

 

この様な書込大変失礼ながら、日本も当事国となる台湾有事を前に 日本の国防を妨げる国内の反日の危険性が共有される事願います 今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。 世論誘導が生んだ民主党政権、中韓の為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退の一方、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など韓国への利益誘導の為に働きました。 メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や"身を切る改革"に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、 日本弱体と侵略に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、 日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。

 

 ネットの海を観測してみると、どうやらあちらこちらにマルチポストしていらっしゃるようです。レッテル貼りは個人的に著しく好みではないものの、テンプレ的な『ネット右翼』的言論で構成されていると思います。

 マルチポストである以上は恐らくコメントへの返信を求めていないと思われますので、返信ではなくブログの記事で見解を述べてみます。

 まあ、本来はそれもあまり宜しくない行いですが、中道的姿勢を重んじる私としてはどのようなイデオロギーであろうと尖った意見を見聞きすることが好みなので、ご容赦願います。

 

個別の見解

 まず、偏見ですが若い人はコメントやポストを「書き込み」とはあまり評さないような印象です。これはどちらかと言えばネット黎明期のBBSやCGIチャット全盛期、プラットフォーマーではなく個人がシステムを管理していた時代に使われていた言葉だと思います。よってコメントをされた人は少なくとも私と同世代かそれよりも年配の方であり、私と同等以上の前提知識をお持ちであり、細かいデータの開示は不要だと推察させていただきます。

 

「日本も当事国となる台湾有事」

 この点は同意です。政治的・経済的な意向に関わらず、軍事的な側面から台湾有事は日本も当事国になると考えます。

 

「日本の国防を妨げる国内の反日の危険性が共有される事願います」

 この点は全面否定しないまでも不同意です。

 たしかに国家間における総力戦では国論の統一が図られます。大日本帝国の特高やアメリカの日系人強制収容、昨今の事例でもロシアやウクライナで反政府的ジャーナリズムへの報道規制や弾圧が発生しているのは残念ながら事実です。

 またサイレントインベーションのように”武力を伴わない侵略行為”があることも事実であり、国家や国民がそれに対する理解と備えを持つことは重要です。

 

 ただ、私も国防は重要だと思っていますが、国防を重んじないことは反日とイコールではありませんので同意しかねます。また、私は日本を好きですがだからといって反日を悪とも敵とも思いません。人それぞれ好き嫌いがあるのは自然なことで、それは善悪で判定する事柄ではないはずです。

 そもそも国論の統一はやむを得ず行われてきた残念な歴史的事実であり、それを積極的に再現する必要はないと考えます。国防の目的は『平和』なのですから、平和のためにできることは皆で手分けしてなんでもかんでもやるほうが平和に近づくことでしょう。私のように国防を重んじる人は国防を論じ、外交を重んじる人は外交を論じればいいだけの話です。民間交流に長けた人はそれをするべきでしょう。それぞれが重んじる得意分野で様々な手を打つほうが全体最適に資するのであり、どれかに一極集中して他を疎かにするほうがリスクを高めます。

 国家とはリヴァイアサン、すなわち多頭の蛇であり、またそうあるべきです。そうでなければ一つの首を取られただけで破滅してしまいます。

 

「今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態」

 この点は不同意です。報道機関の主目的は国益ではないからです。そういった軛に縛られないことこそが報道機関の在り方であり、大本営発表を垂れ流す機関に堕することは許容できません。

 そもそも、仰られるようにたとえメインストリームメディアに「問題」があるとしても、それが「問題」であると判断できるだけの情報を異なる情報源から貴方は入手できているわけで、それは国民の知る権利がまったく阻害されていないことの証左ではないでしょうか。本当に検閲や報じない自由が完全に行使されている世界では、”異常な状態と思う”ことすらできないのですから。

 

「世論誘導が生んだ民主党政権、中韓の為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退の一方、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など韓国への利益誘導の為に働きました。 メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や"身を切る改革"に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、 日本弱体と侵略に励む勢力に二度と国を売らぬ様」

 サイレントインベーションなどは実在の脅威ですので懸念は理解しますが、当事者の心理的な側面に関する物証を持てない以上は陰謀論の域を出ないかと思われます。

 御心配されている点は分かります。国家共同体が保有する資源は構成員の共有財産であり、それを損ねるような売国的行為が許せないと感じる心は共同体の仲間を重んじる人情から生じるものです。仲間を大切に思うその気持ちはとても尊いと思います。

 ただ、他集団への優遇が自集団の損失と過剰に捉えることは、度が過ぎれば自分たちの利得のために他の人々の損失を無視する考えに至りかねません。日米貿易摩擦が激化した歴史などを考慮すれば、可能な限りプラスサムのWin-Winとなるよう与えつつも得られる状態が構築できるように考えたほうが健全かと思います。

 もちろん共同体の共有財産を大切にする管理者は共同体内に必須であり、仲間を重んじる立派な美徳を持った人はその役割に適任です。しかしながらそれが高じて仲間以外を蔑ろにするようなことは望ましくなく、美徳の浪費となることには注意が必要だと考えます。

 

「各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で」

 前半はニュアンスが分かりかねます。各政党毎の政策を個々人が見定めるべきだとするならばそれは自然な投票行動ですので異論はなく、各党に制約を加えるべきだとするのであれば不同意です。それは民主主義の自殺に他なりません。

 私は「読みにくいからもう少し現代の言葉に合わせて明確にする」ために改憲には賛成していますが、改憲の実行自体は内容次第だと思っています。ドラスティックな改憲には反対です。柱を一度に壊してしまってはリフォームする前に屋根が崩れ落ちてしまいますので、一本一本様子を見ながら変えていくべきだと考えます。

 またリアリズムの観点から国防を重視する思想には同意しているため国の成長や強化は必要だと思っています。ただ、「それが絶対善でそれに反対することは許されない」とまでは考えません。

 

「しかし必要なのは、 日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。」

 ここは難しいところです。国家への忠誠や誇りを重んじることは否定しません。それはそれで良いことです

 ただ、同時にそうではない人々も許容されるべきだと考えます

 「国家への忠誠や誇りを重んじないならば反日思想の敵である」や「我々は奴隷ではない、国家や共同体は滅ぼすべきである」まで行きつかなければ、つまりは過激派になって他者へ危害を加えるようにならなければ、誰がどのような思想を選んでも自由です。

 

結言

 どのような方向性であろうと異なる意見を知ることは面白いと、個人的には思います。