内心焦っている。
先日、営業に送ったメールの概要
―――――――――
顧客からの問い合わせメールですが、出来れば私たち技術部門へ転送してくる前に顧客が何を問題として何に困っているのかといった顧客の目的を明確にしていただけますと幸甚です。
顧客の質問に答えることが私たちの仕事ではなく、顧客の不足を解消することが私たちの仕事です。
問い合わせをしてくるお客様は必ず何かしらのトラブルや不足など問題を抱えています。直接その問題に言及しない場合もありますが、その背景には必ず困りごとがあるわけです。困っていなければそもそも問い合わせはしてきません。
私たちの仕事はその問題を解決する対価として金銭をいただくことです。
問題が明確になっていない状態で質問に対する回答を求められてもこちらはYES/NOでしか回答できませんが、しかしそれは顧客の求めているものではありません。
凄く雑な話ですけど、お医者さんに行って「頭が痛いのですが、これは脳腫瘍ですか?」「違います」とだけ言われても困るかと思います。患者が求めているのは質問への回答ではなく、問題である”頭が痛い”ことへの解決方法・ソリューションです。
私たちは顧客の質問ではなく抱えている問題に焦点を当てる必要があります。
―――――――――
困っている理由
返信が来ない。
商売哲学は個人的に大切だと思う
直球で「雑な仕事してんじゃねえよ」と言外のニュアンスが含まれていることを読み取れる程度に率直な仕事へのダメだしではあるのですが、表現はなるべくまろやかにしたつもりです。
ただ、まあ、常識的な範囲の指摘だとは思うのですよ。いくらか昔から”ソリューション”がビジネス界隈で人口に膾炙し出した辺りよりも昔、それこそ近江商人の商売哲学の時代から変わらずビジネスとは顧客の必要を満たすことであるとする哲学は存在しています。
そのような哲学的見地からすれば顧客に損を与えて利得を貪る行為は下衆で下賤で下策です。もちろん人様を騙して金銭を掠め取ってこそなんぼと考える商売哲学をお持ちの方も世間には多数いらっしゃることは存じていますが、個人的にそういった商売は好みではありません。それよりは顧客に幸福をもたらしてなんぼでありたいものです。
第二次産業の製造業に属する技術屋としては『人様や世間様がより良く日々を過ごせるような製品』を設計して販売することこそが理想だとする思想が根強くあり、それは少なくとも悪いことではないと思っています。少なくともユーザーに危険な機械や世間に迷惑を掛ける装置を作ることを良しとする人はそうそういませんし、そういった人が極めて一部の特殊な存在だからこそ物語上の「悪のマッドサイエンティスト」などが描ける理由でもあります。あれは珍種だからこそキャラクター像として成り立つのであり、普通の科学者では物語になりませんので。
このような商売哲学は経営者や職場の雰囲気が構築するものですので、職場の人に説教臭いことを言うのは決して適切な行いではないことは重々承知の上で、しかしズレていたら誰かが指摘しなければならないとも思っています。
好き好んでやりたいポジションではありませんが。
だからこそ
返信が来ないことに内心焦りますし、困っています。拝承!くらいの軽いリアクションが欲しいところですが、極端に重く受け止められていたらコトです。
言説は厳しいかもしれませんが、感情は凪いでいて別に怒っているわけでもありませんし、相手の人格を否定したいわけでもありません。言説と感情と人格は別です。
結言
本当に時々ですが、若手から電話で謝罪されたりすることがあるので困っています。こちらはまったく1ミリも怒っていないというのに。かといってメールに「怒ってないよ」と書くのもまた嘘くさくなるので、難しいところ。
もう語尾に絵文字やハートマークを多用して怒ってないアピールをするしかないかと思うものの、『おじさん構文』はそうやって生まれるんだなと思い至り、自縄自縛。